「ありがとう」について、NVC(Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)のトレーナーであるホルヘ・ルビオさんがこんなふうに言っていたのが印象に残っています。

「春は、ちょうどいい時期に、適度な気温と湿度を桜に与える。見返りも求めない。でも、春が与える環境がいくら適切であっても、木が死んでいたら桜の花は咲かない。桜の木の意思とタイミングで開花するんだ。僕は、感謝というのは、桜の木が春に対して、自分がどう花開いたかを伝えるようなものだと考えている」

「ありがとう」を言うことの目的は、相手の言動によって自分のいのちがどれだけ輝いたかの自己表現であると同時に、それを受け取ってもらうことで信頼を築いていくことなのだとおもいます。

「ありがとう」を言わない練習中に「ありがとう、と言いたいけれどむしろ、ありがとうだけではこの感謝の気持ちは伝えきれない」と思ったことが多々ありました。普段「ありがとう」とひとまとめにしている自分の内側も、きちんと見てみるといろいろなものがあるものです。それを探ってみることは、自分との関係、そしてそれを伝える相手との関係を深いものにすることに役立つと思います。

もうすぐ母の日です。「いつもありがとう」と言う前に、母親のどんな言動を受けて、自分はどんなふうに花開いたのかを顧みてはいかがでしょう。「私が落ち込んでいるようなとき、何も言わずに私の好きな食べ物を作ってくれたよね? 見守ってくれていると感じて、安心したし元気が出てがんばれた。ありがとう」。あたたかさとつながりを生む自分らしい表現が出てくるかもしれません。

今日の一枚:

先日の朝焼け。その美しさに「有り難い」と思いながらも、毎日朝が来て夜が来る、その繰り返しそのものが「有り難い」ことかもしれないなあと思いました。

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