ローカルの友人であるラスターとそのファミリーのあたたかい協力のもと、はじめてのココナッツオイル作りを体験させてもらうことになりました。
ココナッツオイルの伝統的な作り方レポート(3)に続き、今回はオイルを抽出する作業です。
火にかけてオイル分を抽出
ココナッツオイル作りにもどり、先程の鍋に火にかけていきます。協力してくれているのは、いつも笑顔のラスターのお義母さん。ガス台を使えば薪で作るより効率がよいのですが、ここはトラディショナルスタイルで! 薪をくべて鍋の火加減を調節しながら、様子をみてかきまぜます。
鍋に火をかけてしばらくすると、鍋の中がグツグツして、あたりはココナッツの甘い香りに包まれます。
火をかける時間が長すぎるせいか、ラスターのお義父さんはうとうと......。
さて、2~3時間は経ったでしょうか。火にかけた鍋の中は、当初のそれとは全く別物のように! 水分がどんどん蒸発し、油分と見た目がひき肉のようなもの(もちろんココナッツです)が鍋底に残りました。この鍋底に残った琥珀色の油分こそが、ココナッツオイルです。
ここからオイルを漉して、固形物をとりのぞいていきます。ちなみに、鍋底に残ったひき肉のようなものは、料理に使うそうです。
ペソールなどのローカルフードによく用いられているようですが、すこし食べてみると......とびきりの美味しさにビックリ! ローカルフードの中でも一番のお気に入りの食材になりました。
粗く漉した後のオイル。
ジョウゴで鍋の中のオイルを取り出し、保存容器に入れれば完成です。
ここでもジョウゴがなかったので、ジョウゴの代わりにバナナの葉を使い、ペットボトルにオイルを移します。すくない道具でモノ作りをすることに慣れている彼らの発想にすこし驚きつつ、私の頭はなんて硬いのだろう、と刺激を受けました。
やっと完成! 手作りココナッツオイル
これで、ココナッツオイル作り、完了です。4つのココナッツからとれたオイルの量は、500mlのペットボトルに3分の2程度。午前中から作業を開始して、オイルが完成したのは、時計が午後7時をまわった頃。とても手間暇がかかる長い過程を経て、ココナッツオイルは作られていました。
こうした伝統的な製油方法は、ココナッツオイルの良さを最も保つものと言われています。インドネシアの遠い時代に生きた人びとは、その知恵をもっていたんですね。
日本に帰国してから、さらに日本手拭いで漉してみると、こんなにきれいなココナッツオイルになりました。今回の旅の中で、かけがえのない思い出と、スペシャルなお土産ができたことは言うまでもありません。
日本で暮らしていると、大抵のものはお金を払えば手に入ります。しかし、それがどのような過程を経て手元にきているのかということに意識を向けてみると、ものに一層の愛着がうまれます。感謝して大切に使おう、と。ものづくりのルートを探ると、大切にしたいものだけが自分の手元に残っていくと思うのです。そしてそれが、「無駄に使わない、無駄に買わない」という愛ある買い物に繋がると信じて。
最後に、ラスターとそのファミリーのみんなへ。忘れていた大切なことをたくさん思い出させてくれて、本当にありがとう。
Terima kasih banyak Rasta!
All Photo by Masashi Yoneda All Rights Reserved.
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