丁寧な暮らし。そんな言葉から思い浮かべるのは、手作りのいろいろや、素材にこだわったものを選ぶこと、自然に寄り添うようなあり方でしょうか。もちろんこれらが「丁寧」の現れであることもあるでしょう。でも、「丁寧」であればこれらの現れがあるとは限りません。

ていねい【丁寧】

(1)注意深く念入りであること。細かい点にまで注意の行き届いていること。また、そのさま。
(2)動作や言葉遣いが、礼儀正しく、心がこもっている・こと(さま)。

「大辞林」より引用

丁寧の意味をあらためて見てみると、あくまでも心のあり方です。1の内容はまさにマインドフルネス。大切なのは外側に現れる現象ではなく、自分の内側に何が起きているか、そこに目を向けているかです。たとえオーガニックの食材をそろえて、時間をかけて料理をつくったとしても、その行為をするときに自分の内側に注意深さがなければ、それは「丁寧」ではないわけです。反対に言えば、たとえコンビニで買ってきたお弁当を食べるのだとしてもそれは「丁寧」になりうるということでもあります。

わたしたちはつい、外側に起きる現象にとらわれてしまいます。そして、そこをなんとか変えようと努力をします。でも、それは頭痛がしたら鎮静剤を飲んだり、胃が痛いからと胃薬を飲んだりするようなもの。それ自体は悪いことではありませんが、対処療法であって根本の治療にはなりません。結局のところ、いつまでも薬に頼ることになってしまいます。

自分を変える、ということはその大元のところ、つまり頭痛が起きやすかったり胃が痛くなったりするような生活習慣を見直すということです。丁寧に暮らそう、そう思ったときには、まずは内側に目を向ける必要があります。自分の内側の細かい点にまで注意が行き届いているだろうか。そうしてはじめて、外側の現象に「丁寧」が現れてくるのだろうとおもいます。

今日の1枚:

打ち寄せる波、引いていく波。波打ち際でただ足を海に浸しているといろいろな感覚がわいてきます。サーフィンをする、という目的に向かっているときには見逃してしまうような些細な感覚も、目的なくただ立っていると鮮明に感じられます。

明日の後編に続く>>

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