心が弱っているときや悩みを抱えているとき、人生の先輩たちの言葉は、私たちをやさしく包み込み、そして励ましてくれます。

たとえば、99歳で詩集を出版した柴田トヨさん。94歳にして多くの有名デザイナーにリスペクトされるアメリカのファッショニスタ、アイリス・アプフェルさん。どちらの言葉も経験に裏打ちされているからこそ、多くの人たちの胸に響くのでしょう。

現在、シネスイッチ銀座や渋谷アップリンクなどで公開中のドキュメンタリー映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』。主人公は89歳のピアノ教師、シーモア・バーンスタインさん。50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ち、以降は教えることに力を注いでいます。

©2015 Risk Love LLC

ピアノ教師としてのシーモアさんは、「生徒にできる最善のことは、生徒を鼓舞し、感情的な反応を引き出させること」と語ります。「人生のあらゆる場面で重要なことだから」と、彼はピアノのテクニックだけでなく、人として豊かに生きる可能性も伝えようと心がけているのです。そんな彼の言葉は、教え子以外の胸にも響いています。

例えば......

人生には衝突も喜びも調和(ハーモニー)も不協和音もある。<中略>同じことが音楽にも言える。<中略>不協和音がなかったらどうか? 和解の意味を知ることもない

(『シーモアさんと、大人のための人生入門』より)

悩みを抱えている間はつらいものですが、そうした経験をしたからこそ、解決したときの喜びが分かり、自分と同じように悩んでいる人の気持ちが分かる人間になれるというものです。

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また、シーモアさんはこんなことも言っています。

自分の演奏に満足感を覚えたのは、50歳になったころだ

(『シーモアさんと、大人のための人生入門』より)

10代で成功を収めた彼ですが、満足のいく演奏ができるようになるまでには長い時間がかかりました。

何度やってもうまくいかないと思い、あきらめてしまうことは簡単です。ですがじっくり腰を据え、試行錯誤しながら何かを成し遂げたときの達成感は大きく、苦労は大事な経験として今後の人生の糧になるでしょう

©2015 Risk Love LLC

よく「ピンチはチャンス」と言います。つらいときこそ、成長できるいい機会です。シーモアさんの言葉は、あなたの心をやさしく包み込み、鼓舞してくれるでしょう。

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<ストーリー>

イーサン・ホーク監督作、89歳のピアノ教師が教える、人生のうつくしさ

人生の折り返し地点――アーティストとして、一人の人間として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークは、ある夕食会で当時84歳のピアノ教師、シーモア・バーンスタインと出会う。たちまち安心感に包まれ、シーモアと彼のピアノに魅了されたイーサンは、彼のドキュメンタリー映画を撮ろうと決める。シーモアは、50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ち、以後の人生を「教える」ことに捧げてきた。ピアニストとしての成功、朝鮮戦争従軍中のつらい記憶、そして、演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出。決して平坦ではなかった人生を、シーモアは美しいピアノの調べとともに語る。彼のあたたかく繊細な言葉は、すべてを包み込むように、私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる。

シーモアさんと、大人のための人生入門

シネスイッチ銀座、渋谷アップリンク全国順次ロードショー

監督:イーサン・ホーク

出演:シーモア・バーンスタイン、イーサン・ホーク、マイケル・キンメルマン、アンドリュー・ハーヴェイ、ジョセフ・スミス、キンボール・ギャラハー、市川純子ほか

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