耳にしたことがある方もいるかもしれませんが「ホメオスタシス(生体恒常性)」という仕組みが人には備わっています。生きていく中では、温度や湿度など外側の環境は変化していきますが、そんな変化があっても、体の状態を一定に保とうとする仕組みです。この仕組みがあるために、夏の暑いときに体温がどんどん上がり続けることはないですし、冬になって気温が下がったからといって体温も下がっていくことはなく、1年を通してほぼ同じ体温を保っているわけです。環境の変化に反応して体を働かせ、健康な状態、生命を維持しようしています。
私たちは腕を動かそう、と思って動かすことはできますが、ホメオスタシスは、私たちが体にいちいち言わなくても勝手に調整をしてくれる仕組み。そんな素晴らしい機能を私たちは持って生まれてきているというわけです。
体にそんな機能があるにもかかわらず、現代に生きる私たちは、どうも体よりも頭を優先してしまうようです。食べ物が必要になれば空腹感を感じさせ、水分が必要になればのどの渇きを感じさせるように、体の状態の変化に応じて、いろいろなサインを出して行動をうながしているのも、ホメオスタシスという仕組みによるものです。
それなのに私たちはお腹が空いてもいないのに食べたり、体がだるいのに体にムチを打って活動したりします。そんなことを続けていると、体は本来の機能を働かせられなくなってしまいます。
体の声を聴いてみましょう。お腹が空いたら食べ、お腹が一杯なら食べない。寒さを感じたら、体を温め、疲れたら休息をとりましょう。あれこれ心配しなくても、私たちには調和的に生きるシステムが基本搭載されています。この機能を邪魔しなければいいだけなのです。
今日の1枚:急な冷え込みで、ほぼ冬眠状態の猫。猫は、体が心地のいい場所を探すのが得意です。冬は家の中でいちばんあたたかい場所にいますし、夏はいちばん涼しい場所にいます。
>>明日の後編に続く