人間関係を円滑に過ごすためにも、できるだけ自分の感情をコントロールして、大人な対応をしたい......。そう思ってはいても、どうしても振り回されてしまうのが「怒り」です。今回は、怒りに振り回されないための感情コントロール方法を3つお伝えしたいと思います。
自分を守るための手段だと考えるまず、多くの人が「怒ってはいけない」「怒ることは大人げないこと」と、怒りに対して抑えなければならないものだと誤解してしまっています。しかし、人は自分を傷つけられたときや、理不尽なことをされたときに、自分の身を守るために、防衛本能として怒りを感じます。
「怒りは感じてもいいものなんだ」「自分の身を守るために、私は怒りを感じてしまったんだな」と、怒りを嫌わず受けいれる考え方をしてみてください。こうして「あ、私は傷ついたから怒ったんだ」と、一歩離れたところから自分を見つめられるようになると、以前よりも感情に振り回されなくなります。
ただし、怒りを感じていいからといって、喧嘩越しに感情に任せて相手にぶつけてしまうことは問題を引き起こしてしまいます。「私はとても傷ついた」「自分を守るために怒りを感じた」と、自分自身の感情を受け取った後は、それをそのまま表現してしまうのではなく「こういうことはしないでください」と、あくまで冷静に相手に伝えるようにしましょう。感情を乗せずに伝えることで、喧嘩になるのを避けることができます。
怒りを上乗せしていないか確認する私たちが怒りを感じるときは、2通りのパターンがあります。
・その相手、そのシチュエーションに対してのみ、怒りを感じる
・その相手、そのシチュエーション」に、さらに過去の怒りを上乗せしてしまう
前者は、その相手そのものに対して感じている怒りですから、特に問題はありません。不当な扱いをされた・理不尽なことを言われたなど、自分を傷つけられる扱いをされたときは、きちんと自分を守るために、目の前の相手に毅然として怒りを感じていいものです。
しかし、「過去もこう言ってた」「いつも私ばっかりこんな目に遭わせられる」と、過去を結びつけながら怒りを感じてしまうときは、過剰に怒ってしまっている証拠です。
そんなときには、目の前の出来事に向き合う前に、今までの人生で貯めてきた怒りを発散してみてください。たとえば、過去に怒りを感じた相手の行動があるなら、その記憶を思い出しながら、イメージの中で過去の相手にしっかりと言い返します。こうすることで、脳は「記憶の中の怒り」を解消することができます。
すると、「目の前の出来事」に余計な怒りを乗せずにすむようになるので、結果的に「そんなに怒りっぽくなくなった」と改善していくことができます。
怒りに隠された本音に気づいてみる最後に大切なことは、怒りとは「何か他に分かってもらいたいことがあるからこそ、沸きあがってくる感情」だということをしっかり受け止めることです。
たとえば、無視されて怒りと感じる時は、本当は「声をかけてもらえなくて寂しかった」という気持ちがあるかもしれません。不当に扱われて怒りがおさまらないときは、本当は「もっと評価してほしい」という純粋な願いがあるのかもしれません。
このように、怒りに囚われずに、その下にある自分の本当の欲求に気づいてあげることで、問題をこじらせずに対処することができます。
無視されることが寂しいのなら自分から声をかけることもできますし、無視するような相手はほうっておいてもいいのかもしれません。評価してほしいときは、まずは自分で自分を評価してあげてもいいのかもしれません。
こうして「怒りに隠された本音」を受け止めてあげることで、自分が求めていたものを得やすくなっていきます。
怒りとは、自分の心の傷や本当の気持ちを教えてくれる大切な感情です。ただ抑えることばかり考えるのではなく、怒りの本質に寄り添いながら、自分を大切に扱ってあげてください。
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