私たちの行動の約4割は「習慣」という名をした日々のくりかえしであり、それは未来まで続いていく。だから習慣を変えれば生き方が変わると、ニューヨーク在住の作家グレッチェン・ルービンは『人生を変える習慣のつくり方』(文響社)で説いています。
その人の性格に合った方法を正しくつかめば、無駄な時間とエネルギーを使わずして良い習慣を身につけられるし、無駄な習慣を断つこともできるというこの本。やる気に頼るのではなくやり方を考えぬいた内容に心をひかれ、ルービン流の新習慣術に学ぶことに。
4タイプ別、習慣を身につける方法
著者曰く、人は大まかに分けると以下の4タイプに分かれ、タイプ別に習慣の力を強化する方法は違うとのこと。
アップホルダー(約束を守る人)
約束したことは何が何でも守ろうとする貴重なタイプ。約束、締切、スケジュールを守ることが苦になりません。その反面、守るべきルールをはっきりさせないと動き出せなくなることも。
こういうタイプは、リストを作って項目をつぶしていくのが大好き。「今日やることリスト」「これからやりたいことリスト」「やらなくてもいいことリスト」……、何でもリスト化して実践を。日時、頻度などを具体的に決めて予定に組みこむとうまく行きます。
オブライジャー(義務を果たす人)
周りから必要とされると応えられるけれど、自主性が問われることは苦手。「責任意識」は人一倍強いので、誰かに見られている状況を作ると動けるタイプです。
目標を周りに宣言する、習い事の支払は一括払いにするなど、周りの目を意識した作戦が功を奏しやすい。ひとりだと挫折することは、グループやパートナーと行動し人を巻きこむ方法をとることで、習慣として定着しやすくなります。
クエスチョナー(疑問をもつ人)
「なぜ、いま、そうしなければならない? 」などと何事にも疑問をもつタイプ。自分自身を納得させる理由を得られなければ動き出せません。
このタイプの人は物事を分析するのが得意。十分な量の情報を集め、効果のほどを徹底的に調べるのが向いています。他人ではなく本人にとって「正当だと思える理由」「やるべきだと思える価値」を見いだせるかが鍵。「やらなくてもいい理由」を考えだすのもうまいので、自分が言い訳上手であることも知っておくこと。
レブル(抵抗する人)
あらゆることに反発するタイプ。人から言われるとやりたくなくなるので、習慣めいた行動をとるのは大の苦手。
手ごわいタイプですが、ルービンは「そのときどきの自分自身に誠実であろう」とする傾向が強いことを突き止めました。「これが私」「こう見られたい」といった自分らしさへのこだわりから行動を変えることはあるよう。自分の一部を表すような習慣なら受け入れられるでしょう。
タイプが違うと逆効果
これまで習慣を変えようとして失敗してきた人は、自分に合わない方法で無理をしてきた可能性があります。この本は、違うタイプの成功例を「真似だけ」をすることは「絶対」しないでほしいと念を押しているのです。タイプが違えば逆効果になりかねません。
ただし、アップホルダー寄りのクエスチョナーのような混在タイプはいます。大切なのは自分を知ること。自分の傾向をしっかり見つめた分だけ習慣の力は強まるのです。
「習慣」で精神力を温存する
毎回、どんな決断も必要とせずに同じことを繰り返す――これこそが、本当に身につけたい習慣を身につける秘訣だ。
(『人生を変える習慣のつくり方』P117より引用)
習慣に組みこんだ行為には迷いが生じないので、決断力や自制心を使わずにすむ。とるべき言動を自動化することで精神的な負担を減らせるのが、とりたい行動を習慣にすることの最大のメリットです。自分の価値観にしっくり来る「やり方」で習慣を身につけ、「やる気」は本当に必要とするときまで温存しておければと思います。
[『人生を変える習慣のつくり方』]