エクササイズにまつわる5つの迷信
そこで、このような運動にまつわる迷信で、実は調べてみるとなにもメリットがないものを5つご紹介します。あなたはこんな迷信、信じていませんか?
迷信1:痛みがないと効果がない
運動は痛くなくてもよいのです。もし、あなたのトレーナーが「痛みがなければ効いていない」と言ってモチベーションをあげようとしてくるのなら、担当を替えたほうがよいかもしれません。痛みは運動をやめたほうがよいサインだとNFLのキャロライナパンサーのチームカイロプラクター、ジョシュア・コールマンは話します。「身体はとても賢くできていて、なにかケガがおきそうなときはきちんと警告してくれるように神経ができている」のだとか。
でも、筋肉痛はまた別のもので、しっかりワークアウトした後に、筋肉痛になるのは正しいことです。これは、筋肉が強化される過程でおきるもの。筋肉に微細断裂がおきるくらいまで負荷をかけて、修復を促すことで筋肉を大きくしていくのです。だいたい筋肉痛は運動してから24時間から48時間後におきますが、アイシングをしたり、血行をよくしたり、圧をかけることによってやわらげることができます。
迷信2:腹筋をすればおなかは平らになる
腹筋をやっておなかの脂肪を減らすのは一見論理的に思えるかもしれないけれど、実は生理的には不可能なことです。これは、ある特定の部位を動かしても、全身のカロリーを燃やすことになり、狙った部位だけを燃やせるわけではないからです。チリで行われた研究によると、被験者は週3回、利き脚ではない脚で一日約1000回ずつレッグプレスを行いました。エクササイズをした方の脚が細くなると思うかもしれませんが、実はその反対だったそう。結果的に、被験者の脂肪量は全体で5パーセント減りましたが、運動した脚の脂肪はほとんど減っていなかったのです。
迷信3:結果を出すなら最低でも1時間は運動しないといけない
量よりも質のほうが大切! 研究によると、激しい運動を短時間行うのと、それよりも長く時間をかけてゆっくりしたペースで運動をするのでは、同じくらいの効果があるということが分かっています。PLOS ONEの最近の研究によると、週3回高負荷をかけた状態でバイクをこいだ成人グループと、50分間ゆっくりのペースでバイクをこいだグループを比べと心臓血管への影響は同じくらいだということが判明したそうです。一番効果が出るのは、心拍数を最大心拍数の80パーセントに保って運動することだと、認定トレーナーのキラ・ストークスは話します。(自分の最大心拍数の目安は220から年齢を引いて出して)。
迷信4:運動前に時間をかけてゆっくりストレッチすればケガの予防になる
『Scandinavian Journal of Medicine & Science』に発表された論文によると、静的ストレッチと呼ばれるものは、ワークアウトの効果を実は減らしてしまうのだとか。「運動前にストレッチをすることは重要だが、正しい種類のストレッチ、つまりダイナミックストレッチでないと意味がない」とコールマンさんは説明します。
ダイナミックストレッチは身体を動かすようなストレッチなので、ストレッチをしながら筋肉をあたためてくれます。たとえば上半身をひねりながらのランジなどがダイナミックストレッチにあたります。ロサンゼルスのパーソナルトレーナー、サラ・クッシュによると、普段のワークアウトで行うような運動に似たものをずっと負荷を少なくして行うことがポイントだとか。
迷信5:体重を減らしたいのなら、有酸素運動よりも筋トレのほうがよい
心臓や血管を刺激するようなエクササイズは、筋力トレーニングよりも時間あたりの燃焼カロリーが多いのです。つまり、体重を減らすために脂肪を減らしたいときにどちらをやったほうがいいかは明確なはずです。
2012年にデューク大学が有酸素運動と筋力トレーニングとを比べた研究ではこのようなこともわかっています。この研究では119人の肥満の人を、有酸素運動、筋力トレーニング、有酸素運動と筋力トレーニングとの組み合わせの3つのグループに分けて実験を行いました。8ヵ月後には、有酸素運動を行ったグループはウエストと体重の両方を減らすことができたのに対して、筋力トレーニングしか行わなかったグループは筋肉は増えたが、脂肪は減りませんでした。両方のエクササイズを行ったグループは、体脂肪、体重、ウエストサイズのどれも減りましたが、運動時間も一番多かったという結果が出ています。
「レジスタンストレーニングは、筋力アップや筋肉量を増やすにはとてもよい」と研究を行ったデューク大学医学部の助教授、クリス・スレンツさんは話します。でも、もし肥満でおなかの脂肪を減らしたいのなら、有酸素運動のほうが燃焼カロリーも多いので、賢明な選択のようです。
Blake Miller/5 Myths About Exercise, Explained
訳/Maya A. Kishida