しあわせだから感謝するのではなく、まずは感謝
感謝について研究する専門家によると、感謝の気持ちやありがとうと思うことは大きいものでも小さいものでも、長くつづくしあわせへの近道だとゆるく定義しています。しあわせな人は、しあわせだからより感謝すると思われているけれど実はそれは明らかに逆だというのです。
「感謝は、心の栄養剤のようなもの」とカリフォルニア大学の心理学の教授、ロバート・エモンズ博士は話します。エモンズ博士は『Thanks! How Practicing Gratitude Can Make You Happier』の著者。感謝は脳のシステムをふやして、精神的安定を助けてくれるとエモンズ博士は加えます。
いくつかの実験のなかでエモンズ博士と研究者は「感謝すること」に意識を向けたほうが喜びや幸福感、そして全体的な気分が明らかに改善することを発見しました。研究の参加者で感謝した人はよく眠れ、周囲の人とのつながりをより感じ、楽観的になるという結果が出たそうです。さらに感謝をしなかったグループに比べて、痛みのスコアも8パーセントも低かったとか。
多くのポジティブな効果があるので、エモンズ博士たちはこれを「前向きなスパイラル」と呼んでいます。これは、不安やネガティブな気持ちによるマイナススパイラルとは真逆のこと。
なぜ感謝することはこんなにも強力なのか
エモンズ博士は「マイクやアンプのように、感謝は人生におけるよいことを大きくしてくれる」と解説します。放っておくと、脳は感情に支配されやすく、ネガティブな気持ち、やってもらうべきこと、憎しみ、忘れっぽさ、感謝できない気持ちなどが頭のなかで大きくなろうとしてしまうそう。ニュースや毎日の中で生まれるこういった感情は私たちを疲れさせてしまうけれど、感謝の気持ちが慢性的なネガティブな感情を打ち消してくれるのです。
エモンズ博士はこうも言います。「脳は入ってくる考えや気持ちによって形づくられるので、もし頭が心配や不安でいっぱいなら、しあわせな気持ちにはなることはできない。毎日のなかの感謝できるようなことに気持ちを向けることで、それ以外のハッピーではない感覚をのぞくことができる」というのです。
どうすればもっと感謝の気持ちでいられるか
毎週1度、最近経験した5つのことで感謝したいことを書き出してみましょう。友人と楽しい夜をすごせた、仕事でよいことがあった、などなんでもよいのです。小さくても大きくてもどんなことでもよいので、書き出してみましょう。
エモンズ博士の研究によるとこういった行為は感謝の気持ちを増やすことができるといいます。さらに、感謝日記をつけることでは長生きにもつながるそう! さらに、このエクササイズの効果を挙げるには、ありがとうのメモを書いたり、実際に感謝を伝えたりしてみましょう。「感謝の思いを表明することも大切で、アクションにすることが必要」とエモンズ博士も言います。
感謝のマイナス面はあるのか
感謝を示したり、ありがとうと言うことが「だれかに借りをつくったり、義務だと思うのならそれは、あまりよくないこと。そういった場合には、感謝の気持ちを伝えることはむしろ他人を遠ざけているように感じることもある」とエモンズ博士は話します。
また、感謝をしようと頑張りすぎると逆効果の場合もあります。もし、感謝の量で自分を評価しようとしているならそれはやめましょう。感謝そのものではなく、感謝している自分に目を向けてしまうと、「自分はどれだけ頑張っているかどうか」に気持ちが向いてしまうので、これには注意しましょう。
Markham Heid/Here’s Why Being Grateful Leads To Happiness (And Not The Other Way Round)