先日、普段は肉やチーズを好んで食べているというパリ在住のフランス人男性が、週末だけVeganの食事を楽しんでいると聞きました(パリで見つけた「週末Vegan」 )。 image via Shutterstock

彼は自転車(スポーツバイク)が趣味なのだそうですが、Veganの食事はなんとなくカラダが軽くて元気に漕げるという実感が、「週末Vegan」を続けるモチベーションになっているのだとか。

カラダの変化を感じられるなら真似したいけど、Veganの食事はハードルが高いと感じる方へ朗報。お肉やバター、チーズが大好きなフランス人でもハマるVeganの習慣ですが、実は日本人の食生活こそ、日常をVeganに切り替えやすいのです。週末の食事は大切な楽しみですので、我慢もしなくていいんです。

今回は、日本人にぴったりな「週末Vegan」の3つのコツをお伝えします。植物性のみのごはんにこだわる、おいしくて楽しい週末で、ココロとカラダを癒してみませんか?

1. パン派の朝ごはんに「ベーグル」

和食のごはんならば、お米、梅干し、ワカメのお味噌汁……と、植物性のイメージがつきやすいけれど、パン食でVeganは無理でしょう? と思っていませんか? 実は、バゲットなどヨーロッパの伝統的な食事パンのほとんどの材料は穀物の粉、酵母、塩、水のみ。純植物性なのです。でも、ハードな欧風パンよりもっちりした日本らしいパンが好き、という方にはベーグルがオススメです。

基本のベーグルは、卵やバター、牛乳をつかわないレシピ。プレーンなベーグルや、ドライフルーツ、ナッツなどが入ったベーグルは、もちもち食感でもVeganです(お店によってはアレンジでバターなど使っている場合もあるのでご確認ください)。

そして、ベーグルにはぜひ、「ピーナッツバターの秘密」という以前の記事でもご紹介した、国産のピーナッツと少しの砂糖と塩のみでつくられたピーナッツバターをどうぞ。 ピーナッツバターとバナナのサンドイッチは、週末だけといわず毎日でも食べたくなる味ですよ!

2. ランチは、カラフルにおめかしした「蕎麦」

そばは、ビタミンやミネラルが豊富でヘルシーな穀物。近年とくにヨーロッパではグルテンが少ない点も注目され、ブームになりつつあり、パンやお菓子に使用され、スーパーではそば粉のパスタも販売されています。

Vegan食材としても大注目のそば粉。日本人ならば、打って茹でてつゆでいただくあの“蕎麦”で満喫したいところですが、「週末Vegan」で楽しむならふたつのポイントがあります。 ひとつは、見た目! ザルに盛った蕎麦の渋い風合いもよいですが、お家で食べるなら野菜をたっぷりカラフルに盛りつけて、栄養バランスとテンションをアップしてみては?

もうひとつのポイントは、出汁です。一般的な蕎麦つゆには鰹やアゴなど魚の出汁が入っています。「週末Vegan」の日はせっかくなので、動物性の魚をつかわず、しいたけや昆布の濃厚な旨みを味わってみませんか?

<しいたけ&昆布出汁の蕎麦つゆ>

【出汁】水 650g・干し椎茸10g・昆布10g 【調味料】 みりん20g・醤油100g・てん菜糖20g タッパーなどに「出汁」の材料をすべて入れ、冷蔵庫に一晩入れておく。 鍋にみりんを入れ、弱火にかけアルコール分を飛ばしたら、醤油とてん菜糖を加え、弱火でてん菜糖が溶けるまで温めておいておく。 一晩おいた「1」からしいたけと昆布を取り出して細く刻んで出汁に戻し、別の鍋で中火で10〜15分、全体量が2/3程度になるまで煮詰める。 「2」と「3」をあわせて完成。

外食でVeganの店やメニューを選ぶのも楽しいですが、自分で料理してみると、Vegan料理への理解も深まるというものです。魚を使わない出汁を味わうと、しいたけや昆布ってこんなに濃厚な味なのか! と、きっと驚くはずです。 醤油やみりんなど調味料の種類によっても仕上がりが変わるので、お気に入りの味を探してみてくださいね。

3. メインディシュはカツ! ごちそうVegan夜ごはん

こちらは、高野豆腐で作った「カツ」を乗せた丼。 Veganはヘルシーな料理ばかりで味気ない……と思っている方にこそ試していただきたいのが、Veganの「カツ」!

実は、お肉のカツよりも失敗が少なく作れる簡単メニューです。 乾燥した高野豆腐は好きな味のスープにそのままつければグングン味を吸ってくれるので、ほったらかすだけでお好みの味付けに。筋のあるお肉に下味をしみこませるのには時間がかかり、コツも必要ですが、ひとくちサイズの高野豆腐なら温かいスープに入れればわずか15分で中までジューシー。しっかり味がつきます。

Veganカツのコツはただひとつ、衣のみ。卵を使わず小麦粉と水でパン粉をつけます。これも、卵を使うよりも手軽で失敗がないように思います。 以前のレシピ、ジューシー車麩のカツ丼を参考に作ってみてください!

ボリュームたっぷりで揚げ物の満足感もあるのに、「Veganの食事にしておくと、自転車を漕ぐ足が軽い(冒頭の男性談)」 というとおり、お腹いっぱい食べても、しばらくするとすぐにカラダが軽くなるのが不思議です。また、欧米だと高野豆腐やお麩は高級食材。手軽に活用できるのは日本人の特権です!

いかがでしょうか? 野菜ばかりの食事は味気ない、物足りない、と思っている方こそ、自分好みで気分の上がるVeganメニューで「週末Vegan」を楽しんでみてはいかがでしょうか? お肉を食べていないことを忘れてしまうかもしれませんよ。おいしくて、楽しくて、ココロとカラダの気持ちがいい。「週末Vegan」で、そんな週末を体験してみてください。

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Vegan(ヴィーガン)とは、完全菜食。 動物性のものを一切使わないライフスタイルや、そのような食事のことをさす言葉。 本連載『TOKYO VEGAN』では、おうちでつくれるVeganレシピのほか、おいしい野菜や調味料、世界のVegan事情についてなどをゆるゆると綴っています。

大皿彩子 Saiko Ohsara
Alaska zwei 店主 / 株式会社さいころ食堂代表、“おいしい企画”専門のフードプランナー。Veganカフェ「Alaska zwei」の運営のほか、食に関わるブランドプロデュース、レシピ開発、空間コーディネート、イベントのトータルコーディネート等を行う。saikolo.jp

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