オリーブオイルにも旬があるのをご存じですか。先日、ボジョレーヌーボーが解禁になりましたが、オリーブオイルの初物を表す「オリーブオイルヌーボー」なんて言葉もあるほど。オリーブオイルも土地の個性や作り手のこだわりが味に反映されるという意味ではワインによく似ています。

国産オリーブの名産地といえば、香川県の小豆島。1908年にオリーブ栽培がはじまり、今では国産のオリーブの約9割が小豆島産です。

そんな小豆島では今まさにオリーブが旬を迎えており、各農園では収穫や搾油作業の真っただ中。実際に産地を訪ねました。

オリーブオイルができるまで

今回訪れたのは、小豆島で親子3代続く「井上誠耕園」。高品質な食用&美容オリーブオイルを作るオリーブ農家です。

瀬戸内海を見下ろせる気持ちのよい畑で、8品種のオリーブの木、約4500本を栽培しています。まずは実際にオリーブオイルができるまでを体験・見学させてもらいました。

1.収穫

収穫時期は年によって変動しますが、大体9月中旬から12月初旬ごろ。成熟具合を見ながら、傷がつかないよう、1粒ずつやさしく手摘みをします。果実は傷がついたところから酸化がはじまってしまうので、果実を傷つけない手摘みがベストな収穫方法なのだそう。

ただ、果実から搾れるオイルは平均約7%にすぎず、1本のボトルを作るにはかなりの量の果実が必要。なかには脚立が必要なほど高い場所に成っている実もあり、やってみるととても手間がかかる作業であることがわかります。

2.選果

収穫した果実は手作業で選別されます。オリーブの果実は熟すにつれて、実の色が緑色から黒色へと変化していきます。井上誠耕園では熟度を0〜7の8段階に分類。1は新漬け(塩水漬け)に、1〜2と5〜7は食用オイルに、4〜7は化粧用オイルに、と使い分けています。

ちなみに0は未成熟段階であるため用途はなく成熟を待ちます。また3は収穫せず、化粧用オイルに適した4になった段階でまた収穫するそうです。

選果は単に色分けするだけでなく、病気になっていたり、傷がついていたりする果実も区別する必要があり、とても集中力のいる作業です。

ちなみに若い実と熟した実では、色だけでなく、味わいや香りも変わります。若い実は爽やかな香りで、味わいはすっきり。一方、熟した実は芳醇でフルーティな香りがし、まろやかで風味豊か

若い実のほうがポリフェノールは多く、力強い苦みやきりっとした辛みを感じられます。

スキンケアの場合、ポリフェノールが多すぎると刺激を感じる人もいるため、井上誠耕園では美容オイルには、ほどよくポリフェノールが含まれる熟した実を使っているそうです。

3.搾油

選別された実は水で洗浄。さらに、ペースト状に粉砕・かくはんし、遠心分離機で水分と油分にわけます。搾りたてのオイルは本当にいい香り。できるだけ収穫してすぐ搾ることで上質なオリーブオイルができるそうです。

さらにそれを自然ろ過。オイルにストレスがかからないよう、時間をかけてゆっくりろ過しています。

ショップやレストランを併設した井上誠耕園の「らしく園」では、12月初旬まで、実りの秋を体験できる「収穫祭」の一環として無料で収穫体験ができます(※収穫状況によって期間の変更の可能性があります)。

オリーブオイルの栄養と食べ方

ここからはオリーブオイルのメリットを。

まずはあらためて食用オリーブオイルの特長をおさらい。 オリーブオイルソムリエの資格を持つ井上誠耕園の八十定樹(やそさだき)さんに伺ったところ、

「オリーブオイルの約5~8割を占めるオレイン酸には、悪玉コレステロールを減らすことが知られています。また、オリーブポリフェノールやビタミンEなど豊富な抗酸化物質は老化や病気の原因となりうる酸化ストレスを軽減させる効果があることがわかっており、疾病予防や老化防止に効果があるといわれています」(八十さん)

食べ方はサラダにかけたり、パンにつけたりする定番の使い方はもちろん、味噌汁やうどんなどいつもの料理にひとかけするのも簡単でおすすめとのこと。高温に強いので、生食だけでなく加熱にも向いています。

スキンケアにも使えるオリーブオイル

オリーブオイルは、スキンケアにも使えるスグレモノ。なんと紀元前から天然成分100%の化粧品として愛用されてきた歴史があります。

「オリーブオイルの主成分は人間の皮脂に含まれる『オレイン酸トリグリセリド』なので、肌なじみがとてもよく、肌のバリア機能を補ったり、肌の水分を守ったりする力も。ビタミンEやポリフェノールといった天然の抗酸化成分には、シミ・シワなどの原因となる活性酸素を除去する働きも期待できます」(八十さん)

井上誠耕園のオリーブ化粧品はいろいろありますが、オリーブの果実の恵みを一番実感できるのが「美容オリーブオイル」(30ml 1296円~)。天然オリーブ100%で、無香料・無着色。顔はもちろん、髪や全身に使えます。

スタッフのおすすめケアはお風呂でのオイルパック。洗顔後に顔に美容オリーブオイルをつけて、熱めのタオルをのせてしばらく蒸すと肌がとてもうるおうそう。パック後も洗い流す必要がなくラクです。

毎年、旬の時期限定で、同園のこだわりをたっぷり詰め込んだ最高峰の美容オリーブオイル「エッセンシャルオリーブオイル」(30ml/10800円)も販売。特上の完熟オリーブだけを選りすぐって搾ったもので、目元や口元のピンポイントケアに最適。今年は12月●旬に発売予定です。

食べてよし、塗ってよしのオリーブオイル。ぜひスキンケアアイテムとしても活用してみては。

井上誠耕園

RSS情報:https://www.mylohas.net/2018/11/179916oliveoil.html