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運動や食事に気をつけて、コツコツ努力をしているつもりなのに、痩せない……。それは、基礎代謝の低下だけでなく、“無自覚”に太る習慣を繰り返しているからかもしれません。

ダイエット外来医師で、漢方治療・肥満治療のエキスパートでもある工藤孝文先生に、痩せない人が見落としがちな問題点と代謝を上げる方法を教えていただきましょう。

「痩せの大食い」はいても、「デブの小食」はいない

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「ダイエット外来を訪れる患者さんの中には、『私は水を飲んでも太る』『食べてないのに太ってしまう』と言う人がいますが、食べすぎなければ太りません

本当は食べているのに、『食べていない』と思い込んでいること、それが根本的な問題であることに気づいていないのです。

運動や何を食べるかに気をつけるのは、もちろんいいことです。でも、大前提として、代謝を上回るエネルギー量を摂取し続けている限り、今より痩せることはありえません」(工藤先生)

工藤先生曰く、「痩せの大食い」はいても、「デブの小食」はいないのだとか。太っている人は、年齢とともに代謝が落ちていることに加え、本人は食べていないつもりでも、“無自覚”に太る習慣を繰り返しているようです。

太ることに対する「認識のズレ」と「食べ方のクセ」。これらを自覚して修正するには、どうすればいいのでしょうか。

「太る習慣」から目を背けない

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ダイエット外来の診察では、1日4回(朝、朝食後、夕食後、寝る前)体重を測って折れ線グラフに記入する『グラフ化体重日記』と、『食行動質問票』に答えてもらうことで、患者さんのズレとクセを見抜くことからはじめると言います。

「『グラフ化体重日記』からわかるのは、“食べ方のクセ”「グラフの高さ=食べる量」、「尖り=食への衝動性」と定義して、一人ひとりに合ったアドバイスをします。

ある患者さんは、週末になると決まって体重が増えていました。その人は土日にだけジムに行く人で、運動した安心感から食べすぎてしまっていたようです。

もうひとつ、『食行動質問票』は、太ることに対する「認識のズレ」を浮き彫りにすることができる弱点チェックシート

<体質や体重に関する認識>や<食生活>についての質問に4~1点の間で点数をつけていき、点数の高いところから改善していけば、効率よく痩せられるというわけです」(工藤先生)

工藤先生のダイエット外来では「食行動質問票」で50問近くの項目をチェックしていますが、今回はその一部を抜粋します。「これぞ私が太っている原因だ!」と思うものは、どれでしょう。

“無自覚”に繰り返している<食動機> チェック
(複数回答可)

料理があまると、もったいないので食べてしまう。 身の回りに、いつも食べ物を置いている。 スーパーやコンビニでおいしそうなものがあると、予定外でもつい買ってしまう。 他人が食べていると、つられて食べてしまう。 食後でも、好きなものなら食べてしまう。

上記でひとつでも当てはまる項目があれば、それは、いますぐ、あなたが直すべきポイントです! ようやくダイエットのスタートラインに立てたところで、いよいよ「代謝アップ」の実践法です。

便秘・アルコールの飲み過ぎは、代謝を下げる

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「10代をピークに下がり続ける基礎代謝量ですが、食事や日常生活に気をつけることで低下を防ぐことができます。

まず、良質なタンパク質や食物繊維を多く含む食材をとって、バランスの良い食事を心がけること。

過剰な糖質・脂質・アルコール摂取による肝臓への負担、便が腸内にとどまることで起こる腸の動きの低下。そしてタンパク質不足による筋肉量の減少は、基礎代謝の低下につながります」(工藤先生)

太りやすい冬は、代謝も落ちると思いがちですが、実は気温が低くなったら体温を上げようと褐色脂肪細胞が活性化するので、本来、代謝は上がるのだとか。しかし、冬になると太ってしまうのは、どうしてなのでしょうか。

冬は代謝が上がるのに、太るのはなぜ?

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「冬は日照時間が低下することで、体内のセロトニン(“幸せホルモン”といわれる神経伝達物質)が減少します。

セロトニンが少なくなると人は不安を感じやすくなるので、無性に甘いものや炭水化物が食べたくなる。ちょっとだけおかわり、ひと口だけ甘いものを繰り返していくうちに、太ってしまうのです」(工藤先生)

食べたい衝動を無理に我慢しようとすると、ストレスがたまってしまうので逆効果。では、セロトニンを増やすには、どうすればいいのでしょう。

セロトニンは朝日を浴びることで増えますし、いつもより30分早く寝るなど、睡眠時間を長くするのも効果的。夜中にお腹が空いて寝られないときは、“ハフハフミルク”がおすすめです」(工藤先生)

“ハフハフミルク”とは、やけどしそうなほど熱いミルクのこと。熱々だと少しずつしか飲めないし、ミルクにはセロトニンを増やすトリプトファンが入っているので、入眠効果も期待できます。

ゆっくりお風呂は、代謝が上がり幸せホルモンも増える

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いつもより長めに入浴することでもセロトニンを増やすことができます。普通の人は代謝が上がる冬ですが、褐色脂肪細胞がきちんとはたらいてない“冷え性”の人は、そもそも代謝が落ちている状態。

しっかり湯船につかって身体を温めることは、セロトニンを増やすだけでなく代謝を上げる意味でも効果的なので、ぜひ習慣化してください」(工藤先生)

「太る習慣」を自覚した上で「代謝を上げる」生活を心がけること。ゆっくりお風呂に浸かりながら、冬でも太らない身体づくりを考えてみませんか?

工藤孝文(くどう・たかふみ)

工藤内科副院長。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学し、食行動異常について研究を行う。帰国後、大学病院で肥満症や糖尿病などの生活習慣病などの専門に修業し、現在は福岡県みやま市の地域医療を担っている。漢方治療評論家・肥満治療評論家として、メディア出演 多数。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、日本東洋医学会、小児慢性疾病指定医。http://www.kudonaika.com/

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