すぐに結果が出るといえば、「糖質制限ダイエット」。炭水化物をはじめとする糖質を抜けば、1週間に1kg減らすのは難しいことではありません。
糖質制限をすると、どうして簡単に体重が落ちるのか。第3回は「糖質制限ダイエット」の仕組みについて、じっくり教えていただきましょう。
「動かないから太るんだよ!」京大名誉教授が語る、筋肉が必要なワケ
第3回まとめ
糖質カットをしても、脂肪はほとんど減らない。むしろ犠牲になるのは大切な筋肉! 糖質制限ダイエットを繰り返すと「隠れ肥満」になって、リバウンドもしやすくなる。 人間の脳と筋肉には、炭水化物が不可欠!糖質制限では、脂肪はほとんどなくならない
──今日は「糖質制限ダイエット」について教えてください。
森谷塾長(以下、塾長)出たな、「糖質カット」信者め。
──そ、そういうわけではなんですが……。炭水化物を食べなくなると、すぐに体重が落ちるのはどうしてですか?
塾長それは、身体から水分が一気に抜けるから。水は重いから、体重はすぐに減る。水がなくなっただけなのに、脂肪まで減ると勘違いしている人がどれほど多いことか……(ため息)。
「糖質制限ダイエット」の仕組みを説明しましょう。人間の「脳」と「筋肉」は、「糖質」をエネルギー源として使います。炭水化物を抜いて、糖が足りなくなると、「肝臓」「筋肉」「脂肪」に貯蔵されている「グリコーゲン」を分解し、ブドウ糖に変えてエネルギーを補給する。グリコーゲンは、糖1に対して水4が結合したものだから、分解されると「たくさんの水が体外に排出される」というわけ。
──でも、糖質が不足したとき、脂肪のグリコーゲンが分解されれば、体脂肪は減りますよね。
塾長そんなに都合よくはいかないんだよ。体内の糖分が不足すると、まずは肝臓のグリコーゲンを分解し、その次に筋肉という順番で分解されるので、残念ながら脂肪はほとんど減らない。
炭水化物を食べない人の肝臓には十分なグリコーゲンがないので、筋肉をどんどん分解して脳に必要な糖質を補おうとする。
つまり、糖質カットで犠牲になるのは大切な筋肉。糖質制限ダイエットは、大事な筋肉をなくす行為を自ら進んでやるようなものです。筋肉がなくなるとどうなるか、第1回で話しましたね。
──はい。糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなって、将来寝たきりになるリスクも高くなるんですよね。
塾長糖質制限ダイエットをやるたびに筋肉が減っていくし、その分体脂肪率が上がって、より太りやすい体質になっていくという悪循環。こんなの、身体にいいわけがない。
──ダイエットをやるたびに太りやすくなる……。だから、すぐにリバウンドしちゃうんですね。
塾長そのとおり。以前より筋肉が減り、体脂肪率が上がった身体になったところで食事制限をやめてしまうと、あっという間に元に戻るどころか、前より体重が増えることも。この繰り返しが「隠れ肥満」を生むんです。
それに、体内から水分がなくなるから、肌はカサカサ、髪もパサパサの「ドライフラワー症候群」になってしまう。糖質制限ダイエットをしたせいで、太りやすい体質になるうえに、ドライフラワー状態の身体になる。目先の体重ばかりに気をとられ、安易に糖質カットをするのは、ほんとにやめたほうがいいと思います。
人間の「脳」と「筋肉」には、炭水化物が不可欠
──そんな負の側面もある「糖質制限ダイエット」が、どうしてこんなに広がったのでしょう。
塾長それは、内科のお医者さんの約6割が「糖質制限は正しい」と思っているから。患者さんにもすすめているので広がるのは当然です。
糖質制限は、もともと2型糖尿病患者のために考案された食事法。医学部、薬学部、農学部の研究は、ほとんどの場合、人ではなくラットやモルモットで実験します。ラットは脳がとても小さいので、高い比率で炭水化物を与えると、すぐに脂肪肝や糖尿になるけど、人間の脳はラットよりもはるかに大きいから、ラットと同じようにはいきません。人間の脳と筋肉はたくさん糖を消費する大食漢なんだから。
──人間は、炭水化物を食べないといけないんですね。
塾長言わずもがな、です。だって、主食は炭水化物ですよ!
人間に近いチンパンジーは一日に必要なエネルギーの9割を果物などの炭水化物からとっています。炭水化物が身体に悪いなら、チンパンジーはもうとっくに絶滅してるはずでしょ。
それに、あまり炭水化物を摂らないと死亡率が高くなるというデータもあるくらい。「炭水化物を60%摂ったグループ」と「35%しか摂らなかったグループ」に分けて、男性4万4,000人を20年、女性8万5,000人を26年追跡調査した結果、「炭水化物60%」の人たちが病気で死んだ確率を1とすると、「炭水化物35%」は1.5倍、死亡率が高くなることがわかっています(Fung TT et al.Ann Intern Med.2010:153(5)289-298)。
炭水化物をきちんと食べて、しっかり運動する。これが一番!
【今日の宿題】朝ごはん食べましたか?
夕食をしっかり食べたとしても、翌朝には肝臓のグリコーゲンは、ほぼ空になっている状態。脳は糖質がエネルギー源なので、「朝スムージーだけ」では足りません。糖質が不足すると頭がボーっとしてしまうことも。朝ごはんには、必ず炭水化物を食べること。何も食べないなんて、もってのほかです!
第1回:「動かないから太るんだよ!」京大名誉教授が語る、筋肉が必要なワケ
第2回:誰が見ても「やせた!」とわかる身体を手に入れるダイエット法
炭水化物を食べてますか?
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森谷敏夫(もりたに としお)教授
1950年、兵庫県生まれ。1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給費留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授等を経て1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年から京都大学名誉教授。専門は応用生理学とスポーツ医学で、生活習慣病の温床になる肥満のメカニズムに関する研究や運動ができない人々のための骨格筋電気刺激研究などを精力的に進めている。
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コメント
コメントを書くしっかり食べて空き時間に運動してしっかり寝る、それが一番健康的に痩せれる
まあどんな暮らし方してても糖質はある程度取ってるし、デブは糖質制限してちょうどいいくらい。現代人はただでさえ運動不足・糖質過多だから食べないくらいでも問題なく動ける
要するに干からびて軽くなっただけってことですね
糖質カットだけしても無意味では……
健康的に体重落すには栄養と運動が必要なわけで、
もともと足りてない栄養が「糖質制限」の名のもとの食事制限でさらに不足すればまともな結果になるはずがないのでは……
そもそも、「健康=体重を落とす」じゃないと思うんだ。
体重があることが悪ってんならボディビルダーなんて最悪じゃん、筋肉の方が贅肉より圧倒的に重いんだから。
大抵の人が糖質制限って言いながらろくすっぽ飯自体を食わないから、蛋白質が足りなくなって筋肉が落ちて軽くなる
筋肉落ちてるから基礎代謝が下がる。基礎代謝が下がるから食ったものを燃やせない体になる。
体重堕ちたわーいって食事量を基に戻すと、その食事量を燃やしきれない体になってるから体にたまる。(リバウンド)
結局のところ、健康的に体重増やして(筋肉付けて)基礎代謝上げるのが一番の方法
食いたい奴は食えばいいよ。
痩せたい奴は食わないから。
この先生はお医者さんではないんですね
>>それは、内科のお医者さんの約6割が「糖質制限は正しい」と思っているから。患者さんにもすすめているので広がるのは当然です。
思ってねーよ、むしろ普通の医師は糖質制限には懐疑的。
少し考えればわかるはずなんですよね。脳は糖分と、予備燃料のケトン体しか燃料として使えない。糖分過多ならまだしも、過剰に糖分を削れば脳が常にガス欠寸前状態になる。(加えて長期間ケトン体で賄おうとした結果「ケトーシス」や「アシドーシス」に発展する危険性もある)
大体が食事制限は体を機能させるための燃料や材料を削る方法で、通常の方法でバランスが制御できない場合の手法。
兎に角適度な運動あるのみ。普通に食生活を見直して運動してもどうにもならない時に食事制限で過剰な栄養を削ってバランスをとる。ちゃんと運動していれば多少食生活が悪かろうが割といい塩梅に収まってくれる。太るのは単に供給量に対して消費量が少なすぎるだけ、ちゃんと消費すれば大体の場合は食事制限などせずとも普通に痩せる。
素朴な疑問なんだけど力士ってそれなりにハードな練習してるはずなのに他のアスリートみたいにムキムキにならないの?むろん筋肉は発達してるんだろうけどそれが体のラインに現れないのが不思議。
>>14
がっつり筋肉付けてかつ基礎代謝以上にがっつり食えばいいんじゃね?