世に出回っている美容習慣のなかには、効果がないばかりでなく、老化を加速させる危険なものもあると言います。そんな「NG美容法とその医学的根拠」をまとめた本が『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)。慶田先生が警鐘を鳴らす、ついやりがちな間違い美容習慣とは?
女医が教える、やってはいけない美容法33:実は老化を加速! (実用単行本)
1,404円
クレンジングマッサージで、肌のきめ崩壊
あと1分! 毛穴を小さく! リフトアップ! と頑張りがちなクレンジング。しかし、慶田先生は「クレンジング料には強力な除去力があり、メイクを落とすと同時に肌に必要な潤いも奪ってしまう、実は要注意アイテムでもある」と言います。成分として含まれる界面活性剤が、肌に存在する潤いのもと「保湿因子」を一緒に溶かし出してしまうのがその理由。
長々とマッサージをしていたら……。そのぶん、保湿因子が溶け出す量も増え、肌は水分を抱え込めなくなって、潤いがあってこそふっくらする“きめ”もペタンコに。透明感やふっくら感が失われてしまいます。
『女医が教える、やってはいけない美容法33』16ページより引用
本書では、クレンジング料を顔にのせてから1分以内にすすぐことが提唱されています。マッサージをするのではなく、肌表面をそっとなでるように優しくなじませることがポイントに。
ハトムギエキスは気休めにすぎない
また、最近では一般的なハトムギエキス入りの化粧品にも要注意です。ニキビやイボに効く、という説が知られていますが、いくら使っても気休めにすぎないと慶田先生は言います。
この説がでたのは、あるウイルス性のイボに対して漢方薬の「薏苡仁(よくいにん=ハトムギから抽出したエキス)」を内服すると効果がある、という論文が発表されたことに由来します。しかし、ハトムギの効果が実証されている論文はこれだけ。
ニキビや、大人の首や腕などにできる「アクロコルドン」「脂漏性角化症」という老人性イボとの関係性は、一切ありません。
『女医が教える、やってはいけない美容法33』61ページより引用
つまり、医学的論拠が無いのに、名前ばかりがひとり歩きしてブームになったという流れ。何が正しい情報なのかをしっかり把握していないと流されてしまいます。
布ナプキンは、むしろ肌荒れに?
本書ではスキンケア以外に、間違った美容習慣にも注目しています。毎月のように訪れる生理についても驚くべき事実が。
デリケートゾーンから化学物質を経皮吸収して子宮にたまるから布ナプキンをつかうべき、という話は、よくネット上で散見されます。しかし、「医学的にはまったく根拠がない」と慶田先生は断言。
子宮に異物がたまることは、構造上ありえない
『女医が教える、やってはいけない美容法33』126ページより引用
とし、使い捨てナプキンに含まれている“高分子”の吸収体は、分子が大きいため、そもそも粘膜から吸収されることはありえないし、月経のたびに子宮の壁は剥がれて新しくなるため、何かが蓄積するとは考えにくい、と説明します。
それよりも、湿った布ナプキンのほうが不用意に使うと危険がいっぱい。どうしても使いたいなら、使い捨てと組み合わせて使う、こまめに取り替えるなど、扱い方にも気をつけるとよいようです。
本書には、頭皮マッサージは薄毛の解決にならない(ほかにも要因があるから)、小顔整体で骨が動いたら、それは事故(頭蓋骨は指の力では動かないから)、ファンデーションのブラシ塗りはニキビを増やす(物理的な刺激への防御反応で角層が厚くなり、毛穴が詰まりやすくなる)など、体によかれと思っていたのに実は間違っていた美容法が、33も紹介されています。
間違った美容法は、時間も労力もお金もムダになるもの。医学的見地に裏付けられたものだけを、かしこく取捨選択したいですね。
女医が教える、やってはいけない美容法33:実は老化を加速! (実用単行本)
1,404円
美容の知識、しっかり知ろう
シミ、たるみなど肌トラブルをオーダーメイドで治療/皮膚科医・慶田朋子先生
[女医が教える、やってはいけない美容法33]イラスト:黒猫まなこ、画像提供:小学館