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虫にかまれただけ、とあなどらないで。

アメリカ、ニューヨークのアルスター郡の住人が、マダニによって媒介される珍しい病気のために亡くなって、住民は警戒を強めています。ポワッサンウイルスとして知られるこの病気は、感染したマダニによって広がる、深刻な症状を見せることも多い病気なのです。

アルスター郡衛生局によると、2019年にニューヨーク州でポワッサンウイルスと診断されたのはこれが初めて。詳細は不明ながら、この衛生局によると、亡くなった人物は「基礎的な疾患のある状態」だったそう。

それでも衛生局は地域の住民に対して、マダニに刺されないように、できるだけの用心を求めて警告を発しているところ。例えば、ズボンを靴下の中に入れる、ダニよけスプレーを使う、外出後に自分自身やペットにマダニに刺されていないか、全身をチェックしたりすることだ。

ポワッサンウイルスはどのくらい一般的?

「このウイルスは珍しい病気です」と、ジョンズホプキンス大学健康安全センター認定感染症専門医でアメッシュ・A・アダルジャ医師(上級研究員)。

米国疾病対策センターのデータによると、症例報告は増える傾向はあるものの、過去10年で年間の症例数が最も多かったのは2017年で33例にとどまります。ほとんどの症例は、ウィスコンシン州、ミネソタ州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州などの数州に限られているのです。

米国疾病対策センターのデータによれば、ポワッサンウイルスによる死亡は、さらにまれ。過去10年間にこのウイルスで亡くなったのはわずか12人といいます。

しかし、「最近、ポワッサンウイルスがシカの持つダニ(ライム病の感染も媒介することがあります)に認められ始めたため、より多くの人に感染する可能性も高くなっています」。オハイオ州アクロンの感染症医師でノースイーストオハイオ医科大学の内科准教授であるリチャード・ワトキンス医師はこう説明します。

もうひとつの恐ろしい事実として、「マダニは人をかんでから、15分でポワッサンウイルスを伝染させることができるのです」とワトキンス博士は言います。

ポワッサンウイルスの症状とは?

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米国疾病対策センターによると、感染したダニに刺されてから1週間から1か月後のうちに、気分が悪くなり始めることが多いといいます。ほとんどの人は症状を現さないのですが、症状のある人では次のような症状が確認されます。

発熱 頭痛 嘔吐 けん怠感

また、「ポワッサンウイルスは中枢神経系や脳にも感染して、脳炎(脳の感染症)や髄膜炎(脳と脊髄を取り囲んでいる膜で起こる感染症)などの重篤な症状を引き起こす可能性があります」と、アダルジャ医師。精神錯乱、協調運動障害、会話障害、けいれんなどの症状を引き起こすことも。

「重症型のポワッサンウイルスによる感染症を発症して生存した人の半数で、頭痛の反復のほか、筋肉量や筋力の低下、記憶障害などの長期にわたる健康問題が残ることがある」と米国疾病対策センターは説明しています。

ポワッサンウイルスはどのように治療する?

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「ポワッサンウイルスは、ウイルスですから、抗菌薬による治療はできません。代わりに行うのは、感染した人への十分な水分補給による対症療法。重症型のポワッサンウイルス感染では、通常は入院となり、呼吸の管理や水分補給、脳の浮腫を抑える治療が必要になることもあります」と米国疾病対策センター。

全体的に見れば、ポワッサンウイルスを過度に恐れる必要はありません。「あくまでごくまれな病気」とアダルジャ医師。

その上で、「ポワッサンウイルスの重篤度を考えると、マダニにかまれないよう注意することがとにかく大事。マダニを家の中に入れないよう、また体から遠ざけるようにして、アウトドアでは虫除けを必ず使いましょう」

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Korin Miller/New York Man Dies of Rare Tick-Borne Illness That Can Infect the Brain/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)

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