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食事で軽くムセてない? 年齢に関係ない「誤嚥(ごえん)」の怖さ
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食事で軽くムセてない? 年齢に関係ない「誤嚥(ごえん)」の怖さ

2019-11-18 05:30
    時々、軽くムセてしまうことがある。

    そんな症状を抱えているのは、意外と若い人の中にも多いようです。最近では、「嚥下力に対応したフランス料理のフルコース」を提供しているフレンチレストランもあるのだとか。嚥下力(えんげりょく:食べ物などを飲みこむ能力)低下は、決して老人だけの問題ではないといえるでしょう。

    普段の食事で気がつかない程度の軽い誤嚥(ごえん)を続けていると、気管支炎や誤嚥性肺炎に繋がることもあるようです。

    西山耕一郎著『肺炎がいやなら、ご飯に卵をかけなさい』(飛鳥新社) には、手軽にできる意外な誤嚥の対処法が紹介されています。

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    逆にムセないのもこわい。なぜならば……

    北里大学医学部を卒業し、医学博士である著者。これまで、耳鼻咽喉科・頭頸部外科医師として、北里大学病院をはじめとした多くの大病院で研鑽を積んできました。現在は、医療法人西山耳鼻咽喉科医院理事長として、地域に根ざした診療を行なっています。

    誤嚥の専門家になったきっかけは、病棟医時代に「術後の誤嚥性肺炎の危険性」を経験したこと。嚥下治療を専門分野として、1万人の患者を診てきたその道の権威です。

    不顕性誤嚥とはなにかと言うと、誤嚥性肺炎につながりやすい「ムセを自覚しない誤嚥」のことです。(中略)誤嚥をしていてもその自覚がないために誤嚥物が滞留し、誤嚥性肺炎をこじらせやすくなるのです。

    『肺炎がいやなら、ご飯に卵をかけなさい』7ページより引用

    本来は、盛大にムセや咳が出るはずなのに症状が出ない「ムセを自覚しない誤嚥」というものがあり、中には、まったく自覚がないままに誤嚥性肺炎にかかって亡くなってしまう人もいるようです。

    飲みこむ力の低下は、高齢になってから急激に進むのではなく、若いうちから刻むように進んでいくようです。若いときからちょこちょこ誤嚥を繰り返していると、喉や肺が衰えて不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)になりやすくなってしまうというのです。

    喉の感覚や反応性が弱ってしまうと、ムセようにもムセられなくなってしまう。そうならないためには、どうしたら良いのでしょうか。

    誤嚥しやすいのは、こんなとき

    そうはいっても誤嚥の自覚がないのだから、防ぎようがないように思ってしまいます。知っておくべき日常に潜む誤嚥リスクとは、どんなものがあるのでしょうか。

    誤嚥をしないように気をつけるキーワードをピックアップしていくと、大体次の7つにまとめられます。

    離水 二相性 硬い繊維・長いスジ 吸気食い あごの向き イレギュラー ???

    『肺炎がいやなら、ご飯に卵をかけなさい』41〜42ページより引用

    いつもの食べ方が、実は要注意であると説明している著者。気をつけるべきキーワードの中には、誰でもしがちな習慣の数々が挙げられています。

    たとえば、キーワード(1)の離水。噛んだ拍子に、中身の水分や内容物がピュッと飛び出てくる現象のことを指しています。プチトマトやブドウなどの水分の多い食品を食べると、果汁や果肉が口内にほとばしり、気道に入ってムセたりするもの。高野豆腐や小籠包なども、相当します。

    キーワード(4)の吸気食いは、かき込み食いやすすり食いのことで、牛丼やラーメン、焼きそばなどが該当する食品です。食べている最中に、吸気(吸い込む空気)が混じりやすく、食べ物が気道に入りやすくなってしまうことをいいます。

    そして、キーワード(7)に入るのは、まさかの「定年」! 飲みこむ力は、全身の体力やしゃべる機会と相互関係にあるようです。リモートワークやフリーランスなどになって、人と会う機会が大幅に減ったり、以前より運動量が極端に減った若い人も、気をつけるべき習慣であるといえるでしょう。

    こうしたリスク行為を知って注意するだけでも、誤嚥を防ぐことにつながりそうです。

    誤嚥グセを減らす「食べ物」は?

    誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクを減らすためには、「飲みこみやすい食べ物」を摂ることも必要になってきます。

    飲みこみやすい食べ物とは、「口の中でバラバラにならず、やわらかいかたまり」になり、「のどをゆっくりと落ちていく」ものです。硬いものはもちろんダメですし、口やのどの中でネバついたり貼りついたりするのもダメ。

    『肺炎がいやなら、ご飯に卵をかけなさい』92ページより引用

    ダメ要素は他にもあり、水分が多すぎたり少なすぎるもの、粉などが軌道に入りやすいものもNGであるといいます。

    ダメ要素がなるべく少なく、いつも通り咀嚼すればいい食べ物とは、いったい何があるのでしょうか。それは、「とろみ」があるもの。食べ物が喉を落ちていくスピードが、適度にゆっくりになるからです。

    そして、著者のオススメは「卵かけごはん」。白ごはんに卵をかけることで、適度なとろみが加わり、口の中でまとまりやすくなるからです。白ごはんだけではモサモサしてしまいますが、卵のとろみ効果で、口の中の白ごはんがバラバラにならないようにまとめてくれます。

    また、「とろけるチーズ」も、洋食系の料理のとろみ付けに万能。ハンバーグやピラフなどの料理にプラスすることで、飲みこみやすさを補填。卵もチーズの栄養価については、いうまでもありません。

    無自覚な誤嚥による、誤嚥性肺炎にならないために。常日頃の食べ方や食べるものを、少し注意することが大事なようです。

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    肺炎がいやなら、ご飯に卵をかけなさい ]image via shutterstock

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