第1回 疲れや痛みを予防できる「はじめてのテーピング」
つねに最高のパフォーマンスを求められるアスリートやアーティスト。スポーツトレーナーで鍼灸師であるSPCT代表の上杉徹さんは、彼らの身体の不調や違和感の原因を瞬時に突きとめ、改善に導いています。そんな身体メンテナンスのエキスパート上杉さんに、「自分で」「簡単に」できる、セルフメンテナンス法を教えていただく5回シリーズがスタート。第1回は、運動する前に貼っておくと、疲れや痛みを予防できる「キネシオテープ」を使った「はじめてのテーピング」をご紹介します。
リンパが流れて、コンディションが整えられる!
テーピングといえば、「ケガしたところをサポートするために、プロのトレーナーに貼ってもらうもの」と思っている人が多いのではないでしょうか。でも、ケガや疲れの予防や応急処置であれば、専門的な知識のない私たちが貼っても、十分効果が期待できるのだとか。
そもそも、上杉さんがおすすめする「キネシオテープ」とは、どのようなものなのでしょうか?
上杉隆さん :
「キネシオテープは、筋肉の流れに沿って貼ることでリンパ液の流れがよくなり、痛みやコリを改善する伸縮性のあるテープです。
運動して筋肉が硬くなると、皮膚も動かなくなってリンパの流れが悪くなる。テープを貼っておくと、動くたびに皮膚もつられて動くので、リンパが流れ、コンディションが整えられていく、というわけです」(上杉さん、以下同)
自身も、マラソンやサッカーをする前には、痛めやすい箇所や疲れる部位にキネシオテープを貼っておくという上杉さん。ふだん運動をしない人が山登りやマラソン、ゴルフなどをしたあとに、痛みや疲れで苦しまないためにはどのように貼ればいいのか?
さっそくご指南いただきましょう。
01.ヒザ ぐるっとひと巻きするだけで、半月板とじん帯を補強
上杉さん :
「運動して痛めやすいのは、なんといってもヒザの半月板(軟骨)とじん帯です。筋肉は鍛えると強くなっていきますが、軟骨とじん帯は使えば使うほどすり減るだけ。
いつも運動したあとにヒザが痛くなる人は、事前にキネシオテープを巻いておくことをおすすめしています」
ヒザの軟骨と外側と内側のじん帯を補強するには、ひざの周りをキネシオテープでぐるっとひと巻き。
ヒザを曲げ、つま先と同じ向きにそろえてから、肌に沿わせて貼っていきます。伸縮性のあるテープですが、貼るときは決して引っぱらないように。
02.足の裏 かかとからつま先に向けて貼れば、疲れが軽減できる
上杉さん :
「登山やマラソンだけでなく、立ちっぱなしの人にも効果的なのが、足の裏のテーピングです。1枚貼っておくだけで、1日を終えたときの疲れ方が全然違います」
足の裏を伸ばした状態で、縦に1枚テープを貼るだけ。かかとからつま先に向けて、土踏まずにも沿わせて貼りましょう。テープを引っぱって貼るとストレスがかかってしまうので逆効果、絶対にNGです。
ご紹介したヒザや足裏のほか、肩こりが激しいときにも効果的なキネシオテープ。伸縮性があり、粘着力の強いテープだけに、うまく使うにはコツがあります。
「キネシオテープ」を使うときの注意点
01.テープを引っぱって貼っちゃダメ!
筋肉を伸ばした状態で、テープは引っぱらずに貼ること。筋肉を縮めたときに、テープにしわができるくらいが目安です。テープがしわをつくり皮膚を引っぱることで、リンパの流れをよくします。
02.端からめくっちゃダメ!
端からめくるとテープ同士がくっついてしまいます。真ん中だけをはがして身体に貼り、そのあとで両端をめくるようにすれば、自分でもきれいに貼れます。
03.お風呂に入る前にはがしちゃダメ!
乾燥した状態でテープをはがすと、肌に大きな負担がかかりカブレの原因に。テープを貼ったままお風呂に入り、濡れた状態ではがすと、肌への負担が軽減されます。
たった1枚貼るだけで驚くほど楽になるテーピング術。「こんなにゆるゆるで、ほんとに効くの?」と思うあなた。ぜひ一度、試してみてください!
上杉徹(うえすぎ・とおる)さん
スポーツトレーナー、鍼灸師。医療国家資格(鍼灸師 柔道整復師 理学療法師)を持ったスポーツトレーナー集団「SPCT(スぺクト)」代表。JUJUやAK69など、アーティストのツアーにトレーナーとして全国を帯同する一方、世の中に健康とスポーツヘルス・メンタル作り・予防学を発信すべく、企業や団体とパートナーシップを組み、社会貢献活動を行うなど新たな試みにもチャレンジしている。
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撮影/高村瑞穂、モデル/村上加世 (SPCT/ハワイアントレーナー 鍼灸師)、 image via Shutterstock