もう「薬」がいらない時代がくるのかも……?
プラセボ(プラシーボ)効果とは、臨床試験に参加している患者が、効能のない錠剤などの偽薬を服用した後に、治療薬と信じて楽になったと感じる現象をいうもの。
まもなく、プラセボ治療がクリニックや薬局で行われるようになるかもしれません。
これまで、偽薬の効用を信じることおろかだ、とか、偽薬が効くのなら病気じゃなかったのでは? といったようにプラセボ効果はありえないと批判されてきました。しかし、研究が進展するにつれて、「プラセボ効果はない」という批判が徐々にしりぞけられるようになっています。
やっぱりプラセボ効果はあるのかも!?
image via shutterstock「長い間、プラセボ(偽薬)は、“患者に本物を服用していると信じ込ませることで機能する”と考えられてきました。だから、プラセボに反応した患者は、権威に異常に従順であるか、あるいは知性が低いとも言われてきたんです」と、『The Cure Within: A History of Mind-Body Medicine. 』の著者アン・ハリントン博士(米国ハーバード大学・科学史教授)。
しかしながら、近年では、脳の画像診断などの科学的進歩や、プラセボに反応する身体的・心理的反応を示すさまざまな症例研究のおかげで、もはやそうではないと考えられるように。
プラセボ効果について進められている現在の研究を見ていきましょう。
プラセボが脳を変える
image via shutterstockプラセボ効果が明らかになってきたのは、20世紀半ば。
薬の開発時には、その新薬がプラセボよりも効き目があり、優れていることを確認するために臨床試験を行います。しかし、ある臨床試験をとおしてプラセボ効果が明らかに。プラセボ自体が参加者に大きな効果をもたらすとすぐに判明したのです。
「データを見ると、砂糖の錠剤を服用している人たちも時々よくなっていることが明確になりました」と、ノースウエスタン大学ファインバーグ医学部教授ヴァニア・アプカリアン博士。
さらに、研究を進めると、根本的な理由はひとつではないことが明らかに。
継続的に繰り返されることで脳が本当にその通りに働く「条件づけ」と、実際には薬が含まれていないのに薬を打たれたことを聞いただけで痛みが和らぐ「暗示」の2つが、脳に備わる痛みに対する反応を変える可能性があることがわかってきたのです。
神経科学の分野において、条件付けは神経伝達物質のやりとりを変えるとされます。「過去に治療を受けて効果を経験すると、脳は関連付けて神経回路を作り、治療されると癒やされたと感じるようになるのです」と、コロラド・ボルダー大学・心理学および神経科学教授トーア・ウェイガー博士。
民間療法も似たようなもの
image via shutterstockそういった研究以外でも、プラセボ効果を体験したことがある人はいます。
例えば、エビデンスのない民間療法で具合が良くなったときに、再び同じ療法をすると、また同じことが起こる。これは脳が記憶していて「そうであるはず」だと判断したためです。
ある要因のために条件付けが強化され、改善するはずという期待につながる。「治療を受け、効くと言われた場合、その暗示だけでポジティブになり、症状の自覚を変えるのです」とウェイガー博士。
「気分は快適」と、自分に言い聞かせるだけで、脳はもっとその通りに感じるようになるのです。
こうした変化は、人それぞれ。プラセボ効果を最大限に発揮しやすい人は、自分の体と感情をつよく意識し、さほど不安感がなく楽観的である傾向が。
暗示に反応しやすいと考えている人も効果を示しやすくなります。また、特定の遺伝子が、個人の脳の反応と関連しており、プラセボに対する感受性にも関係しています。
次回は、プラセボで痛みは和らげることができるのかを掘り下げます。
思いの力は強い
ちょっとした不調でも「自分は病気」と思い込む心気症。対処は?
Alice Oglethorpe/How to Use the "Placebo Effect" to Your Advantage/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)
コメント
コメントを書くプラシーボってあくまで薬の効果を発揮させる効果だって最近の論文で発表されなかったっけ?
思い込みだけで効果が改善する、まるで魔法のような扱いをされているって脳科学研究者が嘆いたような
プラシーポの厳密な定義はないので論文にしにくいのが実際の話。(プラシーポ研究者が実は薬学と無縁だったりする) もっとも日本では「先天性の学習障害が親の教育で治る」という初歩的な似非科学の信奉者(主にネトウヨ)がいる時代なんだから、プラシーポ以前にもっと基本から問うべきだろうよ。 そもそも「温泉の効能」という詐欺がまかり通る社会だから医療分野ではもう手遅れなんだろうな。未だに「自然分娩ではないから虐待する」とか荒唐無稽な評論されてるしなぁ
両津式特効薬の黒い瞳のバラード思い出した
思い込み云々置いといても、病気やケガ治すのは結局体自身だゾ
医者や薬は症状を緩和したり治癒の条件を整えて回復の後押ししてるだけで
ブラセボ効果がある病気とない病気がある。
上の人が言っているとおり、虫歯もそうだし、水虫とか癌とかはないだろう。
>>8
不思議なことに偽薬だとわかった状態で服用しても効果があるというのが実験結果で示されたことがあった
プラシボ効果が確認された後偽薬だと明かしたうえで服用を続けた場合だったと思うが
この偽薬を使った治療が広く知られたせいで、逆に実効性のある薬を投薬してもこれは偽薬なのではとと不信がってしまうのが原因なのか期待通りの効果が出ない実例も出てきてる。
これらの論文が学会でどのような扱いを受けているのでしょーか?
気の持ちようで色々変動するなら、それはもう制御困難で
前提として想定する意味がないんじゃないか。
人の感情を任意に制御する仕組みがない限りは。
でも処方薬は一通りネットで調べるよね、作用とか副作用とか。
まあ普通にビタミンEを処方されることもあるけど…。