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お腹の中で「ビール」を作り、酔っぱらっちゃう奇病って!?
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お腹の中で「ビール」を作り、酔っぱらっちゃう奇病って!?

2019-12-14 07:30
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    お酒を飲んでないのに、飲酒運転で捕まった!

    そんなことが、実際に海外で起きたそう。英国の有名な医学誌が伝えています。

    炭水化物が腸内でビールに

    自家醸造症候群と呼ばれる珍しい病気になったこの男性(46歳)は、炭水化物を口にすると腸内でビールのような物質が作られるように。ついには症例として医学誌で報告される結果になったのです。

    男性の情報は明かされていませんが、『BMJ open gastroenterology』誌の報告では、男性が2011年に親指をケガして抗生物質による治療を終えてからおよそ1週間後、めまいや物忘れ、頭がぼんやりする、攻撃的になるといった問題が現れはじめた詳細を伝えています。

    医師にもどこが悪いのかわからず、男性は精神科医を紹介され、2014年には抗うつ薬を処方されることに。しかし症状はよくならず、ある朝、男性は飲酒運転で警察に車を停められました。

    男性はアルコールを全く飲んでいないと話しましたが、飲酒検査器によると当初の血中アルコール濃度は200mg/dL。男性の体重はおよそ100kgでしたから強いお酒を11〜14杯飲んだことになります。当然ながら、男性は逮捕されてしまいました。

    醸造酵母のせいだった!

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    報告によると、男性の叔母さんがたまたま、酔っ払ったような行動をするのにお酒を飲んでいないと言う人たちのケースについて読んだことがあり、もっと検査してもらうようにすすめられたとのこと。そして最終的に、男性の便から「サッカロマイセス・セレビシエ」(別名「醸造酵母」)という菌が見つかりました。

    「サッカロマイセス・セレビシエ」は普通、お酒の醸造で炭水化物をアルコールに変えるために使われますが、それが男性の腸内で働いていたわけです。男性は自家醸造症候群と診断され、抗真菌薬を処方されて、炭水化物を摂らないようにと言われました。

    たまに起こりうるケース

    しかし治療は成功せず、男性は症状が再発し、頭を打って、頭蓋内出血を起こしました。報告によると、不運なことにその際にはお酒を飲んでいなかったことを医師に信じてもらえず。その後、別の医師によって腸内に酵母菌がいると確認されました。男性は違う抗菌薬を処方され、6週間にわたって炭水化物を断ち、やっと回復したそう。

    とても本当と思えないかもしれませんが、これは初めてのケースではありません。2016年にはニューヨークの女性が、自家醸造症候群と診断されて飲酒運転での起訴が取り下げられたというニュースも。めまいを訴えてERに行き、血中アルコール濃度が運転中法定上限のほぼ5倍とわかって自家醸造症候群と診断されたテキサスの男性も、話題になりました。

    自家醸造症候群のメカニズム

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    米国国立医学図書館のウェブサイトによると、自家醸造症候群は「腸発酵症候群」とも呼ばれ、消化器系の中で真菌類(酵母やカビなど)や細菌(バクテリア)による発酵のために、アルコール類の一種である「エタノール」が作られるというまれな症状。

    食べたものを消化するときに体内でエタノールが少し作られるのは正常ですが、普通はごく少量です。でも、体内に酵母や細菌がいると、作られる量が極端に多くなります。

    誰でも自家醸造症候群になる可能性があるとはいえ、糖尿病や肥満、クローン病などほかの症状がある人の方が多く見られます。

    自家醸造症候群のサインは?

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    自家醸造症候群の人は、お酒を飲んでいなくても酔っ払った人と同じように見え、嘔吐、げっぷ、めまい、物忘れ、思うように身体が動かないなどの症状が現れます。また、たいていは糖分と炭水化物が多い食事をとっています。

    自家醸造症候群は治療できるの?

    治療にはいくつか選択肢がありますが、まず、症状が急に強く出た場合は、急性アルコール中毒の治療が必要です。その後、症状を引き起こしている酵母なり細菌なりを標的とする薬を服用。それから治療に「不可欠な」部分となるのは、症状がなくなるまで高タンパク質・低炭水化物の食事を続けること。多くの場合、その後にプロバイオティクスを摂って、腸内細菌のバランスをよくします。

    抗生物質を服用すると再発のリスクが高くなりますから、自家醸造症候群の人が抗生物質を使う場合は、様子を見ながら必要に応じて治療することが大切です。

    症例報告の男性は、今ではまた炭水化物を食べられるようになり、症状は現れていません。考えられる原因? 医師の考えでは、親指のケガの治療に抗生物質を長い間服用したため、腸内細菌が変化したせいではないかということです。

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