──ライフハッカー[日本版]より転載
最初に野菜を食べて、食べ過ぎを防ぎ、糖質・脂質の吸収も抑えるという「ベジファースト」ダイエットはご存知の方も多いと思います。
しかし、それよりもダイエット効果が高いということで、今後注目されそうなのが、「ミートファースト」ダイエットです。これは、文字通り肉(ミート)を最初に食べ、次に野菜類、最後に炭水化物を食べるというやり方。
提唱者は、工藤内科(福岡県みやま市)の副院長である工藤孝文医師。ダイエット外来の専門医でもある工藤医師は、著書の『ミートファーストダイエット』(ワニブックス)で、その理論と実践について詳しく解説しています。
「ミートファースト」ダイエットとは、具体的にどのようなダイエット法なのでしょうか? 本書を下敷きに紹介します。
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そもそも「炭水化物ファースト」はなぜよくない?
image via Shutterstock「ベジファースト」も「ミートファースト」も、最初に(米やパンといった)炭水化物を摂ることからくる問題を解決するために考え出された方法です。
では、なぜ「炭水化物ファースト」が問題なのでしょうか?お腹がすいて、糖質を多く含む炭水化物をたくさん食べると、すみやかに糖質が吸収されて血糖値が急上昇します。血糖値が高いままだと、血液中に活性酸素が生まれて細胞や血管内壁を傷つけるなどトラブルが生じます。
このとき、ホルモンのインスリンが分泌され血糖値が下がりますが、血糖値の急降下は、さらなる食欲を呼び、また糖質を摂取したくなるという悪循環が始まります。
また、体内でエネルギーに変換されきれない糖質は、脂肪として蓄えられ、太る原因になります。これを毎食繰り返していくうちに、糖尿病や肥満になりやすくなってしまうのです。
「ベジファースト」が生まれたのは、こうした問題を解決するためです。そして、「ミートファースト」も同じ考えから出発していますが、メリットはもっとたくさんあると工藤医師は説きます。
キーワードは「インクレチン」
image via Shutterstock「ミートファースト」ダイエットの土台にあるのが、小腸から分泌されるインクレチンというホルモンです。これは、食べ物を食べてしばらくすると分泌が始まり、胃の蠕動運動が抑制され、脳の満腹中枢に働きかけて食欲も抑える働きがあります。
インクレチンは、野菜や炭水化物を食べても分泌されます。しかし、肉だと分泌が開始されるのは、野菜・炭水化物よりもずっと早いため、その効果(食欲抑制)が出るのも早いです。特に脂身が多い霜降り肉を食べると、量の割に満腹感が出やすいのはこのためです。
こうして、自然と過食を抑えることが可能になります。また、肉の消化器官での滞留時間の長さ(腹持ちの良さ)も、これにプラスの効果を及ぼします。このような仕組みで、続けることで自然と減量できてしまうのが、「ミートファースト」の一番のメリットです。
「ミートファースト」で筋肉量・代謝も向上
image via Shutterstock「ベジファースト」は、短期間に痩せられるため、体重を気にする女性の人気を得やすいダイエット法と言えます。しかし、これには大きな落とし穴があります。「ベジファースト」による体重の減りは、筋肉量の減少によるところが大きく、ぜい肉(脂肪)はしっかり残って、基礎代謝も悪くなるという不健康な側面があるのです。
対して、「ミートファースト」の要になる食材は、筋肉の原料となるタンパク質が豊富。しかも、体内で分解されたタンパク質を再合成するエネルギー源として、肉に含まれる飽和脂肪酸は効率が良く、魚に含まれる多価不飽和脂肪酸よりも優れています。その結果、筋肉量も基礎代謝もキープされて、脂肪を燃焼しやすい「やせ体質」になります。
ミートファーストとベジファーストの比較
ベジファーストとミートファーストの両グループの間で総タンパクの差異が認められた。『ミートファーストダイエット』より本書には、工藤医師が勤務する工藤内科の患者さん30名を、「ベジファースト」組と「ミートファースト」組の半々に分け、それぞれのダイエット法を2週間実行してもらっての結果が掲載されています。
どちらも体重の減少(ベジは平均-2.4kg、ミートは平均-3kg)と血糖値の低下が見られましたが、総タンパクで言えば、前者は減少し、後者は増加。「ベジファースト」だと、「かくれ栄養失調」のリスクがあることが示唆されました。
どんな肉を食べるのがよい?
他の肉よりも栄養面でメリットが大きいラム肉。『ミートファーストダイエット』より肉といってもいろいろありますが、工藤医師がすすめているのは、牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉の4つ。牛肉なら、ロース、ヒレ、ももなどと、イチオシ部位も解説されています。なかでも「最強のダイエットミート」とされているのが、ラム肉。
ラム肉がベストとされている理由として、他の肉と比べて低カロリー、牛肉よりも低脂肪・高タンパクであること、体内の脂肪燃焼を促進するビタミン様物質のL-カルチニンがダントツで多いことが挙げられています。
また、肉に続くものとして、牛乳、チーズ、卵も「効果あり」とされています。朝食で肉を食べるのは負担と感じる人は、これらをメインにするとよいでしょう。各肉を使った低糖質レシピも掲載されていますので、「ミートファースト」を始めたら、まずこうした料理から試してみるとよいでしょう。
もともと肉好きの人なら、このダイエット法を始めるハードルは低いと思いますので、気軽にチャレンジしてはいかがでしょうか。
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