「今度こそは運動を続ける」。そう決意してジムに申し込み、シューズやウエアも揃えたのに、気がつくといつの間にか足が遠のいている……。こんな繰り返しに、自分の意志の弱さを嘆いている人も多いのではないでしょうか。

実は、正しい運動習慣を身につけるには、「強い意志」は必要ではないとメンタリストのDaiGoさんは説明します。気がついたら無理なく続いていた、というコンディションに持っていくためには、「ウィルパワー」を鍛えればいいそうです。「ウィルパワー」とは、一般的に使われる「意志力」ではなく、いわば脳の体力や筋肉のようなもの。これを鍛えることで、無理なく運動を続けることができるようになるのです。

DaiGoさんの著書『ウィルパワーダイエット』から、「ウィルパワー」を鍛えてごく自然に運動を習慣化するためのポイントをご紹介します。

実は運動が苦手だったDaiGoさん

これまで運動する習慣がほとんどなかったというDaiGoさんですが、2年前ほど前に、運動が脳にすばらしい効果を与えるということを知り、ウエイトトレーニングをメインとしたジムに通い始めました。

画像はイメージです

最初は週2回、バーベルのおもりを付けない状態のバー(20キロ)でスタートしたにもかかわらず、「ウィルパワー」を駆使した結果、現在では週に5回ジムに行き、ベンチプレスでは80キロ、スクワットでは120キロのウエイトを扱うようになるくらい、劇的に変化したそうです。

運動を習慣化するメリットとは

DaiGoさんによれば、運動を習慣化することで、以下のようなメリットがあるといいます。

画像はイメージです タバコや酒の量が減る 食生活が健康的になってジャンクフードを止められる テレビを見る時間が減る 勉強するようになる 衝動買いが減る 感情のコントロールができるようになる

※オーストラリアのマッコーリー大学の研究より

これらはすべて、運動を通じてウィルパワーが高まったことにより得られる成果です。

ウィルパワーとは?

誤解されがちですが、ウィルパワーは「我慢」や「根性」とはまったく違います。むしろ、我慢することでリバウンドが起きてしまい、望んでいるのとは反対の結果を招いてしまいがちなのだとか。これは、無理なダイエットにありがちなリバウンドについて考えるとよく分かります。

DaiGoさんは、ウィルパワーをこう定義します。

たとえ面倒でもやるべきことを「やる力」 誘惑があっても「やらない力」 目標を思い出して実現しようとする「望む力」

※スタンフォード大学の健康心理学者ケリー・マクゴニガルより

脳の筋肉や体力ともいえるウィルパワーを鍛えれば、「根性」も「鋼の意志」は必要なく、ごく自然に運動を続けることができるのです。では、どうすればウィルパワーを鍛えることができるのでしょう。

66日間の継続で身につくウィルパワー

挫折してしまうのは、何日間続ければそれが習慣になり、続けることが楽になるか分かっていないから」(『ウィルパワーダイエット』より)

ロンドン大学の研究によれば、運動や勉強など、ある程度複雑な習慣を身につけるには、66日間繰り返すことが必要だといいます(よく言われる「21日間の継続」で身につく習慣は、「朝起きて水を飲む」など、シンプルな行動に限る)。

66日間運動を続ければ、運動しないと逆に落ち着かなくなります。その頃には、運動はつらい修行ではなくなっているはずです。

ウィルパワーを生み出す脳の前頭葉野

脳の領域のうち、動物にはなく、人間だけにあるのが「前頭葉」です。ここは、考えたり判断したりという働きをする箇所です。この前頭葉の一番前にある前頭葉野という部分が、思考やコミュニケーション、注意や集中、記憶のコントロール、情動の制御を担います。

この前頭葉野で、ウィルパワーが生み出されます。ウィルパワーを高めて運動を継続するためには、前頭葉野を鍛える必要があるのです。この箇所を鍛えるには、以下のようなシンプルな習慣がポイント。

画像はイメージです ウォーキングなど15分程度の軽い有酸素運動をする 姿勢をよくする 感情を観察する 血糖値の変化を穏やかにする低GI値(グリセリミック指数)の食べ物を食べる 十分睡眠を取る 鼻で呼吸する

このレベルであれば、簡単に生活の中に組み込むことができそう。新習慣を身に付ける第一歩としてぜひ試してみてください。

──この記事は、2018年5月9日の記事を再編集して掲載しています。

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メンタリストDaiGoさん
慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒。新潟リハビリテーション大学 特任教授。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。その後、活動をビジネスやアカデミックな方向へ転換、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動。書籍累積発行部数230万部。

文/松本恭、image via Shutterstock

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