・動物を使った新しい研究によると、ストレスがあると早く白髪になるのは、交感神経系が活発になるからなのだそう。世界的に有名な科学雑誌『Nature』誌で報告されました。
・交感神経系が活発になると、神経伝達物質の「ノルアドレナリン」(「ノルエピネフリン」とも呼ばれます)が放出され、これが毛包(皮膚内で毛を包み込んでいる周囲組織)の中にある色素を作る細胞を破壊するとわかりました。
・ストレスが体のほかの部分にどんな影響を与えるか、リラックスすると体全体の健康アップにどんな効果があるか、皮膚科医が説明します。
ストレスがかかると早く白髪になる
image via shutterstockハーバード大学などの研究グループが『Nature』誌で報告した、ネズミを使った新しい研究によると、「交感神経系」と白髪に関連性があったのです。交感神経系は「闘争・逃走」の反応をつかさどる神経回路として知られており、ストレスがかかるとこの神経系が神経伝達物質の「ノルアドレナリン」を放出し、体に行動の準備をさせます。
このたび研究者らは、ノルアドレナリンが、毛包の中で色素を再生してくれている「メラノサイト」(メラニン色素を作る細胞)の幹細胞を傷つけるとわかりました。その結果、頻繁にストレスにさらされていると髪の色素が作られなくなって、普通より早く白髪になることがあるわけです。
研究では、ネズミに3種類のストレスを与えました。3種類とも、マウスの毛の色がいくらか変わる結果になりましたが、激しいストレスを受けてメラノサイトの幹細胞がすべてなくなったマウスだけが、白い毛になりました。ストレスだけのせいではありません。以前の研究によると、メラノサイトの幹細胞は時間経過によっても損なわれるようなのです。
間違いなくアメリカで一番ストレスの多い仕事に就いていたバラク・オバマ元アメリカ大統領。左から2007年、2011年、2016年。 image via Gettyimages「この研究を始めたとき、ストレスは体によくないだろうとは予期していました。でも今回発見した望ましくない影響は想像を超えるレベルでした。数日後には色素を再生する幹細胞がすべてなくなったのです。一度なくなると、色素は二度と再生されません。損傷は永久的です」と、研究グループのスー・ヤーチェー博士は発表の中で述べています。
もちろん、人間ではなく動物を使った研究ですが、理論的には人間にも当てはまります、とニューヨークシティー、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学の皮膚科臨床助教、ゲイリー・ゴールデンバーグ医師。
「世間一般には、物理的、精神的なストレスで白髪になるとずっと考えられてきました。少し前に、毛包の中のメラノサイトは、皮膚のメラノサイトよりはるかに敏感だとわかったのです。そのため、酸化ストレスでも、ホルモンや炎症性のストレスでも、この細胞が破壊される可能性があります」(ゴールデンバーグ医師)。
では、ストレスが少ないと白髪になりにくいの?
image via shutterstockストレスを和らげる方法が見つかれば、髪だけでなく体全体に驚くほどの効果も期待できそうなのです。「全般的にストレスは健康と皮膚にマイナスの影響を与えるとわかっています」と、ニューヨークシティー、マウント・サイナイ病院の皮膚科美容・臨床研究主任、ジョシュア・ツァイヒナー医師。
ツァイヒナー医師によると、ストレスは傷の治りを遅くし、ニキビを出やすくし、浮腫や乾癬などの皮膚症状を悪化させます(言うまでもなく、心臓の病気など命に関わる病気になるリスクも高めます)。
もちろん、ストレスをあまり感じないようにすれば、健康増進に効果があるでしょう。それに多分、白髪になるのも遅くなるかも。
でも、口で言うほど簡単ではありません。「『ストレスを感じないように』と言うだけでは無理です。ほとんどの人にとって、自分でコントロールできないものですからね。でも、普段のストレスを減らす体の働きを助けてやれば、効果があるかもしれません」(ゴールデンバーグ医師)
そこで、ゴールデンバーグ医師のおすすめは、栄養価の高い食事をとり 、十分な水分補給と定期的な運動を心がけ、できるだけ自分の体に優しくして、普段からの自然なストレスのレベルを下げることです。科学的に裏付けられたリラックス法もチェックしてみましょう 。
そして、いずれにしても白髪になったら、快く受け入れます。年をとれば自然なことなのですから。
髪の悩みを解消!
Korin Miller/The Fascinating Reason Why Stress Turns Hair Gray Faster, According to Science/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)
剥げるよりはいい。髪があるなしでは全然ちがう。
禿げるよりはマシです。
育毛はストレスにあり、脱毛を増やさないための予防方法なのですね?
記事を転載するなら写真のリンクくらいちゃんと貼っといてくれよ