寝不足が脳に与える影響は深刻

寝不足で頭が働かないと感じるのは、気のせいではないようです。睡眠不足がもたらす脳への影響は、これまで考えられていたよりもはるかに深刻であることが、アメリカの研究で示されました。睡眠不足が認知機能に与える影響は注意力だけにとどまらず、難度の高い作業の遂行を妨げて、思ったより大きな危険を招く恐れがあることが分かったということです。

今回の研究では、計138人の参加者のうち、77人にはひと晩中眠らず起きていてもらい、61人には自宅で普段通りの睡眠を取らせて、実験当日の夕方と翌朝に認知機能に関するテストを2つ行いました。

1つは「注意力」で、光に反応してボタンを押すまでの時間で評価。もう1つは「プレイス・キーピング」の能力、つまり複数の手順を踏む作業の途中で作業を中断されても、目的のタスクを完了できることで、これについての評価も行いました。研究規模はこの分野では最大級でした。また、睡眠不足がプレイス・キーピングに与える影響を検討した研究は、今回のものが初めてでした。

その結果、睡眠不足のグループでは、作業中断後にプレイス・キーピングのエラーを起こす割合は、実験当日の夕方には15%だったのに対し、翌朝には30%と2倍に上昇していました。一方、自宅で普段通りに眠ったグループでは、実験当日の夕方と翌朝でエラーを起こす割合に変化は見られませんでした。

1回の睡眠不足で不注意ミスは3倍、プレイス・キーピングのエラーは2倍に

研究リーダーは「不注意でミスが起こる割合は睡眠不足で3倍に上りましたが、プレイス・キーピングのエラーが起こる割合も2倍になりました。これは驚くべき結果です」と語り、「睡眠不足になると、何をするにも十分に注意する必要が出てきます。

でも、注意さえしていれば大きなミスなど起こさない、などと考えてはいけません。とりわけ運転の際は、そうしたミスが悲劇的な結果につながることが少なくないのです」と警鐘を鳴らしています。

共著者のひとりは「研究結果は、睡眠不足が認知機能に与える影響は注意力に限られるという一般的な見方を覆すものです。睡眠不足でも、日常的な作業―例えば、医師なら体温や血圧の測定は、普通に行えるかもしれません。しかし、いくつかの手順を踏む必要がある医療行為であれば、睡眠不足の状態だと、ミスを犯す危険性は予想していたよりもはるかに高いと考えられます」と説明しています。

研究リーダーも「睡眠不足は、仕事や生活のあらゆる面に多大な損失をもたらすことを知っておくべきです」と注意を促しています。(ヘルスデーニュース 2019年11月26日)

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HealthDay News 2019年11月26日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.(参考情報)Abstract/Full Text/image via shutterstock

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