「冷凍」と「冷凍食品」に関する食のライフハックメディア「ほほえみごはん(ニチレイフーズ提供)」から、鮮度を保つ冷凍・解凍のテクニックや、野菜ごとに適した冷凍のしかたをご紹介します。
野菜をおいしく冷凍する4つのポイント
野菜を自分で冷凍すると、解凍したときに中身がスカスカになったり、水っぽくなったりしてガッカリすることがあります。
それは、食品中の水分が冷やされて、食材が凍るときに生じる「氷結晶」が原因。氷結晶が食品の細胞や組織を壊したり、氷が溶けたときに空洞ができることで、食材の食感が変わってしまうのです。
これを避けるためには、氷結晶が大きくなる前に凍結させられるように、できるだけすばやく凍らせる工夫が必要。ニチレイフーズで商品開発に携わってきた庄司有希さんが、4つのコツを教えてくれました。
食品についた水分はしっかり拭き取る 冷却効率を上げるため、平たくする 下茹でや下調理の後は粗熱を取る 熱伝導のよいアルミのバットなどに食品を並べる。ない場合は、ラップの上からアルミホイルで包んで冷凍する(「ほほえみごはん」より引用)
冷凍後の野菜は色があせてしまうことがありますが、冷凍前に下茹でして酵素の働きを止めれば、色あせ防止につながるそう。
また、玉ねぎのみじん切りならラップに包んで小分けにする、冷凍用保存袋に入れて平たくしておくなど、解凍後の使いやすさを考えて冷凍することも大切です。
7種類の定番野菜、どう冷凍する?
ここからは、代表的な野菜を例におすすめの冷凍方法を見ていきましょう。
キャベツ
料理研究家の阪下千恵さんによると、キャベツは生のまま切るだけで冷凍が可能とのこと。凍ったまま、炒めものやスープなどに使えます。
<冷凍の手順>
使いやすい大きさに切る。細切り(約1~1.5cm)、ざく切り(約4cm角)、細めのくし形切り(約3cm)の3つがおすすめ。 水気をしっかりと拭く。余分な水分が残っていると冷凍時の劣化につながるため、丁寧に拭き取ること。 冷凍用密閉保存袋に平らに入れ、空気をぬいて薄くして冷凍する。冷凍庫で2週間程度保存可能。 使うときは凍ったまま加熱調理を。袋の上から軽くもむと、キャベツがバラバラになって取り出しやすくなる。玉ねぎ
野菜ソムリエプロの根本早苗さんいわく、玉ねぎは冷凍すると甘みとコクがアップし、火が通りやすくなるそう。味も染みこみやすくなります。
<冷凍の手順>
玉ねぎの皮をむき、くし切りやみじん切り、薄切りなど使いやすい大きさにカットする。 冷凍用保存袋に玉ねぎを平らになるように入れ、空気を抜いて封をし、冷凍庫へ。この方法で約1ヵ月保存可能。使うときは使いたい分だけを手で押し出して、凍ったまま加熱調理する。
くし切りは煮物や炒め物、肉豆腐などに、みじん切りや薄切りは飴色玉ねぎなどに使うことができる。
トマト
毎日の料理にどんどん使える冷凍トマト。料理研究家の阪下さんオススメの方法がこちらです。
<ざく切りトマトの冷凍の手順>
トマトはヘタを取り除き、皮つきのままざく切りにする。種と、ゼリー状の部分に酸味とうま味があるので、どちらも取り除かないで。 冷凍用密封保存袋に重ならないように入れ、空気を抜いて薄くして冷凍する。冷凍庫で2週間程度保存可能。<丸ごとトマトの冷凍の手順>
トマトは皮つきのまま、ヘタをくり抜いて取り除く。 冷凍用密封保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍する。凍ったまま流水に当てるだけで、皮がツルンとはがれる。冷凍庫で2週間程度保存可能。長ねぎ
冷蔵庫でひからびがちな長ねぎですが、野菜ソムリエプロの根本さんによると、じつは冷凍庫で1ヵ月も保存できるそう。
長ねぎの香りのもとであり、殺菌・抗菌作用がある「アリシン」という成分が飛ぶのを防ぐために、長いままで冷凍するのがコツです。
<冷凍の手順>
長ねぎを洗って根元を切り落とし、3等分する。乾いたペーパータオルで水気を拭き取ってからそれぞれをラップで包み、冷凍用保存袋に入れて、空気を抜くように袋の口を閉じる。冷凍の場合は長ねぎの白い部分と青い部分の傷む速度が変わらないので、同じ袋に入れてOK。 金属製のバットと保冷剤ではさみ、冷凍する。白い部分も青い部分も、冷凍庫で1ヵ月程度保存可能。 使うときは凍ったまま切り、料理に入れる。青い部分も一度冷凍して細胞を壊すことで食感がよくなり、食べやすくなる。ピーマン
野菜室で保存していると、しわしわになりやすいピーマン。料理研究家の舘野鏡子さんのテクニックを使えば、冷凍で1ヵ月程度保存可能です。
<冷凍の手順>
洗ってヘタと種を取り除き、1.5cm幅に切る。ペーパータオルで水気を拭きとり、重ならないように冷凍用保存袋に入れて口を閉じ、冷凍庫で保存する。 使うときは冷凍のまま他の具材と一緒に加熱調理する。シート状に凍ったピーマンは手で適当な大きさに折ることができるので便利。もやし
安くて家計にやさしいもやし。傷みやすいのが難点ですが、冷凍すれば2週間おいしさをキープできます。料理研究家の阪下さんのテクニックがこちらです。
<冷凍の手順>
もやしを流水で洗って水気をきる。洗わなくても冷凍はできるが、洗うことで特有の臭みも軽減できる。水気が残っていると霜の原因になるので、しっかり切ること。 冷凍用密閉保存袋に入れて、空気を抜いて冷凍する。 使うときは凍ったまま加熱調理する。※冷凍もやしは生ではなく、必ず加熱調理に使うこと。セロリ
野菜ソムリエプロの根本さんによると、セロリは冷凍することで独特の香りが弱くなるため、苦手な人でも食べやすくなるそう。さらに1ヵ月も長持ちします。
<冷凍の手順>
茎は斜め切り、葉は粗みじん切りにする。 茎と葉をそれぞれ分けて冷凍用保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて封をする。茎はラップで包み、切断面をできるだけ空気に触れさせないようにすることで、おいしさを長持ちさせることができる。気温が高くなるこれからの季節は、野菜も傷みやすくなります。まとめ買いした野菜は新鮮なうちに冷凍して、無駄なく使い切っていきましょう。
太りにくい食事のヒント
[ほほえみごはん]
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