体にいいもの、食べていますか?
管理栄養士の中村美穂さんが、バランスよくヘルシーに食べるコツとレシピをお届けする、「MYLOHAS ヘルシーレシピ」。
今回は暑い夏を元気に乗り切るための手軽なスープレシピをご紹介。
すべてプラントベースの食材なので菜食の方にもおすすめです。

食欲の低下で食事のバランスを崩しやすい夏

夏は暑さによって食欲が落ちやすく、食事を抜いてしまったり、喉ごしのよい麺類や冷たいものばかり食べたり、栄養のバランスが崩れやすい季節です。

暑い夏を元気に乗り切るためには、朝・昼・晩と1日3食、簡単なものでよいのでバランスよく食べることが理想です。また、熱中症予防のためにも、水分補給や塩分などミネラルの補給も欠かせません。

暑い季節は、何を食べて何を飲むといいのか、改めて見直しましょう。

夏はとくに、「良質なたんぱく質」を意識。「糖質」は摂りすぎに気をつけて

毎日の食事では、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をまんべんなく摂ることが理想です。

なかでも、肉や魚、大豆製品、卵などに多く含まれる良質なたんぱく質は、体を構成する重要な栄養素のひとつ。ただ、暑さで食欲が落ちると不足しやすいため、意識して食べるようにしましょう。たんぱく質性食品のなかでも、豆腐や納豆などの大豆製品は、調理の手間がかからず、火を使わずに食べられるのでとても便利。豆腐には体内の余分な熱をとる作用もあるため、夏におすすめです。

一方で、糖質の摂り過ぎに注意を。夏は冬に比べ基礎代謝が低下しやすいとされています。暑い日はアイスや冷たい飲み物をつい口にしてしまいますが、意外と糖質が多く含まれているものも。夏太りの要因になるため、糖質の摂り過ぎには気をつけましょう。

ミネラルと水分補給で熱中症対策を

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夏は暑さ対策として、水分補給とともにミネラルの補給も大切です。

ミネラルとは、ナトリウムやマグネシウム、カリウム、鉄、カルシウムなどのことで、体内で合成することができないため、食事から摂る必要があります。

このミネラルが不足すると、疲労や脱力感が増したり、食欲不振になったり、体の不調を招くことに。貧血や骨粗しょう症の予防にも必要なため、とくに女性は普段から意識して摂りたい栄養素です。

また、ミネラルは熱中症の予防にも重要な役割があります。

人は汗をかくと、体内から水分とともにミネラルを失います。入浴時や睡眠時の発汗のほか、夏は体を動かさなくても知らず知らずのうちに汗をかいているもの。喉が乾く前に水分を摂ることと、ミネラルを意識した食事を心がけましょう。

ミネラルの賢い摂り方は?

ミネラルを食事で摂るときは、夏は特に熱中症対策としてナトリウム(塩分)とカリウムを意識するのがポイントです。

味噌汁、梅干しなどの漬物は、ナトリウム(塩分)を含む身近な食事です。塩分を摂りすぎないように注意しながら、意識的に食べるとミネラルも摂取できますね。

また、きゅうりやトマトなどの夏野菜は、水分とカリウムを多く含みます。きゅうりにはみそをつけ、トマトやスイカには塩を振る、などは、自然に水分とミネラルが摂れる理にかなった食べ方。とても手軽なのでぜひ取り入れてみましょう。

ビタミンやミネラルたっぷり。水分補給にもなるスープレシピ

撮影時、スタッフがみんな「おかわりしたい」と思った絶品スープ「モロヘイヤと豆腐のレモンスープ」。レモンの酸味と出汁のうまみがたまらない。モロヘイヤは小さめにカットして、さっと火を通して混ぜすぎないようにすると粘りが少なく仕上がる。

今回紹介する「モロヘイヤと豆腐のレモンスープ」は、夏バテ予防にぴったりのひと皿。

主役のモロヘイヤは、葉物野菜のなかでも「最強」といえるほど栄養がたっぷり。

ほうれん草(夏採り)に比べて、カルシウムは5倍、ビタミンCは3倍、タンパク質・食物繊維・βカロテンは2倍以上。独特の粘りの秘密は水溶性食物繊維で、腸内環境の改善にも役立ちます。調理法はとても手軽。さっと火を通すだけなので、火を使った調理が辛い、夏の暑い時季にも助かります。

また、豆腐は良質なたんぱく質源であり、代謝を促すビタミンB1も含みます。夏疲れや体力の消耗時に意識したい食材です。玉ねぎには、硫化アリルというビタミンB1の吸収を助ける成分が含まれ、豆腐と一緒に食べることに意味があります。また、レモンのクエン酸には疲労回復を促す働きも。夏バテ予防にぴったりのスープです。

温かいまま食べてもおいしく、冷蔵庫で冷やして冷製スープとしても喉ごしよくいただけます。素麺やご飯を入れてもいいですね。

「モロヘイヤと豆腐のレモンスープ」

<材料(2人分)> 
絹豆腐…1丁(300g)※冷蔵庫で冷やしておき、水をきる
モロヘイヤ…1/2把(40g)
玉ねぎ…1/4個(50g)
レモン…1/2個(40g)※レモン汁でも可

[A]
野菜ブイヨン(粉末)…小さじ1(3g)
塩…小さじ1/3(2g)
水…2カップ
にんにくすりおろし…少々(1g)

しょうゆ…小さじ1/4(1.5g)
白こしょう…少々
オリーブ油…小さじ2

<作り方>
1.耐熱ボウルにAを混ぜ、繊維を断つように薄切りにした玉ねぎ、枝の部分を除いてざく切りにしたモロヘイヤ、スライスし種を除いたレモンを入れ、ラップをして電子レンジで約5分加熱する。
2.耐熱ボウルを取り出し、しょうゆ、こしょうを混ぜる。
3.器に冷たい豆腐をスプーンで大きくすくって盛り、2をかける。オリーブオイルを垂らしたらできあがり。

■ 「モロヘイヤと豆腐のレモンスープ」の栄養量
<1人分の栄養成分>エネルギー:148㎉、タンパク質:9.7g、脂質:9.6g、糖質:9.6g、食物繊維:4.0g、カリウム402㎎、カルシウム182㎎、マグネシウム88㎎、鉄:2.1㎎、βカロテン:2012μg、ビタミンE:7.2㎎、ビタミンB1:0.23㎎、葉酸:78μg、ビタミンC:35㎎、食塩相当量1.7g

食欲がないときは、スープやジュースで栄養を

夏は暑さで消耗する季節ですが、食べたくないからといって食事を抜くのではなく、食べやすいものを組み合わせて栄養を補いましょう

今回のモロヘイヤスープはひと皿でビタミンやミネラル、たんぱく質などの栄養を手軽に摂ることができるのが特徴。水分も一緒に摂れるので水分補給にもなります。

クーラーで体が冷えているときは、体をあたためるしょうがやスパイスを活用するのもおすすめです。

最後にドリンクもご紹介。左はトマトジュースとオレンジジュースを混ぜたもの。右はオーツミルク、アーモンドミルクなどの植物性ミルクに青汁を混ぜてレモン汁ですっきり仕上げた一杯。朝食や間食に、混ぜるだけのドリンクはおすすめです。

中村美穂(なかむら・みほ)
管理栄養士、フードコーディネーター、プラントベースフードアドバイザー、国際薬膳調理師。料理好きから管理栄養士となり、おいしく楽しく体にやさしい料理やお菓子を探求。商品開発や保育園栄養士の経験を活かし、料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。食事講座や栄養相談、書籍・雑誌・企業のレシピ提供も多数担当している。

撮影/中山実華、構成・編集/鈴木ゆうこ

RSS情報:https://www.mylohas.net/2021/07/lemon_soup.html