一日の大半をマスク着用で過ごすようになった昨今。リスク管理のうえでマスクは欠かせないものですが、反面、着用することで困ったことも……。

そのひとつが、涙液トラブル。「近頃やけに目が乾いたり、霞んだりする」と感じている方がいたら、それはマスクの着用と関係しているかもしれません。

そこで、マスクが引き起こすといわれている目のトラブルとその対策法をご紹介します。

ドライアイとマスクが関係している!?

マスクと涙腺トラブルの関係を指摘しているのは、カナダのウォータールー大学眼科研究・教育センター(CORE)。マスク着用による目の状態についてMask Associated Dry Eye(※1)” 、マスクはドライアイに関係していると警笛を鳴らしました

マスク着用がドライアイを引き起こすメカニズムはこうです。

鼻の部分に隙間が空いていると、ドライアイの可能性が高くなる。

顔にぴったりとフィットしていないマスクを着けているとき、吐き出された息は上方向に流れます。すると、目の表面を通過して涙の膜を蒸発させることになり、これが、涙を乾燥させてしまうのではないかと言われています。

現にユタ大学の研究者は、「複数の地域のクリニックでは、定期的なマスクの使用が原因で、ドライアイの症状が顕著に増加していると指摘しています。

発症者の中には、過去にドライアイで苦労したことがない人もいるとのことで、マスク着用と目のトラブルの因果関係は、“まったくないとは言えない”とされています(※2)。

※1 「the Centre for Ocular Research & Education(CORE:目の研究教育センター)」 Mask Associated Dry Eye (MADE)
※2『A report published in the journal Ophthalmology and Therapy on July』

マスク着用の長期化で“真のドライアイ”になる可能性も

日本人はマスクの着用に慣れていると思われますが、海外の例と同様に、マスクで目にトラブルが起こる可能性はあるのでしょうか。

「元々、涙液トラブル気味だった人は、マスク着用の長期化で“真のドライアイ”に進行するリスクはあると思います」と話すのは、東邦大学医療センター・大森病院の眼科医、堀裕一先生。

堀先生は「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」メンバーとして、目のトラブルと涙の関係性について正しい知識の啓発活動を行っています。

マスク着用が必要不可欠の生活で、目や涙液のトラブルを予防する方法があれば実践したいところ。掘先生は有効なマスクの付け方についてこう話します。

マスクのフィット感を必ず確認してください。目に向かう呼気の流れを防ぐ必要があるので、自分の顔に合わせて成形できるノーズブリッジや、調整可能な耳ループが付いているマスクを使用すればフィット感が増すでしょう」

左:マスクにノーズブリッジが付いていれば、鼻にぴったりとフィットさせる。右:眼科医の堀裕一先生。

夏も侮れない!涙液トラブルを防ぐ基本のケアとは

夏は冷房による乾燥が目の負担になるため、より「涙液トラブル」が起こりやすい季節。堀先生がすすめる以下3つの方法で積極的にケアしましょう。

1. 瞬きで涙を瞳に行き渡らせる

リモートワークなどで集中して画面を見ていると瞬きの回数が減ります。目の負担となるので、意図的な瞬きで涙を瞳に行き渡らせましょう

2. 目を温める

蒸しタオルや市販のホットアイマスクなどで、目を温めて眼の周囲の循環をよくすることも大切です。

3. 点眼を上手く使う

点眼は重要です。まずは、市販薬で目が乾かないように保つことが必須。市販薬で不十分な場合は、眼科医に相談しましょう。

マスクによる涙液トラブルは目を労る行動で防ごう

長引くマスク生活で、目の乾きを感じることが増えた、目がやたらと疲れるといった不調を感じている方もいるのではないでしょうか。涙液トラブルが深刻になる前にマスクの付け方や選び方を工夫しつつ、日頃から目を労る行動を心がけましょう。

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気づいて!涙液トラブル啓発委員会 Supported by 参天製薬株式会社

RSS情報:https://www.mylohas.net/2021/07/mask_dryeye.html