健康や美容に気を使って過ごしている人が増えた今の時代。体に良い食べもの、美容に良い飲み物、エクササイズ......。
しかし、私たちの暮らす地球で流通する"食べもの"や、私たちを取り巻く"環境"は本当に安全なのでしょうか。そんな素朴な疑問について改めて考えるきっかけを与えてくれるドキュメンタリー映画「世界が食べられなくなる日」が、6月8日から公開されます。
"遺伝子組み換え"と"原子力"が大きなテーマ
この映画で主に描かれているのは、20世紀に生まれた二つのテクノロジー、"遺伝子組み換え"と"原子力"について。遺伝子組み換え作物は、既に世界中で栽培が開始され、市場に出回っています。原子力も、世界中に多くの原子炉が建設され、多くの電力を生み出しています。"遺伝子組み換え"と"原子力"は、知らず知らずのうちに生活に入り込み、大きな影響を与えているのが現実です。
ジャン・ポール・ジョー監督は、2009年から2年にわたってフランスで行われた、遺伝子組み換え作物をラットにエサとして与える実験に密着し、驚きの実験結果を映画を通して教えてくれます。遺伝子組み換え作物を与えられ続けたラットの変化は、まさに驚くべきもの。この結果は、ぜひ自分の目で確かめていただきたいのですが、私個人としては、遺伝子組み換え作物をなるべく避けていきたいと思うようになりました。
福島でのインタビューも真摯に映像化
さらに監督は、東日本大震災後に来日し、福島の避難区域の模様を映像に収めました。そして、その土地に先祖代々暮らして来たにも関わらず、原発事故により生活を一変させられた人々へインタビューを行っています。外国人監督が率直な疑問を人びとにぶつける姿は、日本人がつくる原発ドキュメンタリーとはやはりひと味違うもの。客観的な事実として、福島で起きた現実を受け止め、その土地に暮らす人びとに起こった悲劇を真摯に伝えてくれているように思いました。
すでに世界に広がっている"遺伝子組み換え"と"原子力"。汚染が広がった結果は取り返しがつかず、そしてこれからどうなっていくのかを誰も知らない、この二つのテクノロジーを描いたこのドキュメンタリー映画の原題は「Tous Cobayes?(みんなモルモット?)」というもの。
モルモットでいたくない、自分のこれからは自分で選びたいと思う方は、このドキュメンタリー映画を観て、じっくりと考えてみて欲しいと思います。
[世界が食べられなくなる日](118分/フランス/2012年/原題「Tous Cobayes?」)
製作・監督:ジャン・ポール・ジョー
ナレーション:フィリップ・トレトン
パーカッション:ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ
公開日:2013年6月8日
劇場:渋谷アップリンクほか全国にて順次公開
配給:アップリンク
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(松村知恵美)