我が家に新しいフライパンがやってきました。明治41年の創業以来、プロの料理人用から一般家庭向きまで、数々の料理道具を扱う釜浅商店の鉄打ち出しフライパン。横浜・中華街の料理店御用達、山田工業所が家庭でも使いやすいよう改良を加えた釜浅商店のオリジナル品。

買ったばかりのフライパン。丁寧に油紙にくるまれた様子も美しい。

特徴は鉄板をハンマーで数千回打ち出すこと。叩くことで鉄は強度を増し、底面に凹凸ができて油なじみがよくなります。それに普通の鉄フライパンより厚みがあるから、焼きものでも炒めものでも食材にやわらかく熱が伝わり、じっくりしっかりうまみを引き出すのです。

食いしん坊の私は一等の料理道具が並ぶのを眺めるだけで幸せになれるから、合羽橋に赴くたび釜浅商店へ立ち寄っていました。そのときスマートな形に惹かれて手にとったフライパンについて、丁寧に説明してもらっていたのだけれど、活かしきれるか自信がわかず迷ったまま時が過ぎていたのでした。

18・20・22・24・26cmとサイズがある中求めたのは、たっぷりめの24cm。4.340円。

それがさきごろ、これまで使っていたステンレスのフライパンが痛み、買い替える必要が出てきました。またステンレスか、それとも鉄か考えた末、手をかけながら一生使える料理道具と付き合おうと決心。これから長い年月をともにする誓いの意味を込めて、フライパンの柄に「Loule」と仕事の屋号を名入れしてもらいました。

名入れは無料。私は自分の仕事の屋号をお願いしました。
☆など簡単なマークも彫っていただけるそう。

鉄のフライパンは表面に油の皮膜を作ると焦げ付きにくく錆びにくくなります。だから油を破壊する洗剤と錆の原因となる水気を残すのは厳禁。使ったあとは水とたわしでゴシゴシ洗い、軽く火にかけ水分を飛ばしてから片付けます。こうして前よりほんのちょっと手間をかけて、"おいしい"が生まれるフライパンを育てていかねば。

凹凸がついているのが分かりますか?
油の皮膜を作って焦げにくく錆びにくいフライパンに育てていきます。

つい最近、奥沢のD&DEPARTMENT TOKYOにも、釜浅商店の常設ブースができたのだそう。東京の東と西とどちらもで、釜浅商店の道具たちに見て触れて求めることができるとは、嬉しいかぎりです。

 (甲斐みのり)

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