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初心に戻れる中原淳一さんのことば。甲斐みのり「コンフォート雑貨のある暮らし」
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初心に戻れる中原淳一さんのことば。甲斐みのり「コンフォート雑貨のある暮らし」

2014-03-13 00:30
    広尾駅からすぐの、中原淳一ショップ「それいゆ」

    中学生の頃に祖母の影響で竹久夢二を知り、どこか憂いを帯びた美しい女性画にことあるごと見入っていました。少女時代の祖母が憧れたという女性の姿に、私も憧れを抱いたのです。

    夢二との出会いをきっかけに、男性が描く女性画を好んで追いかけるようになり、大阪の大学に進学してからはさらに熱心に、古本屋で雑誌や画集を探して買ったり、展覧会へ足を運ぶ日々がはじまりました。

    伊東深水、東郷青児、山名文夫、宇野亜喜良、金子国義、長沢節、林静一、上村一夫、松本零士......(敬称略)。画家でも漫画家でも好ましい女性画を見つけると、毎日眺めていられるように、切り抜いて壁に貼るように。

    多岐に渡り活躍した淳一さん。幅広いテーマの書籍が揃っているので、ゆっくり好きなものを選ぶことができます。

    中でも学生時代の自分を大きく変え、支えてもらったのが、画家・イラストレーター・ファッションデザイナー・編集者・スタイリスト・インテリアデザイナー・人形作家と多才な才能で女性たちを魅了した中原淳一さん。

    愛らしく、美しく、品のある女性画だけでなく、淳一さんの言葉にどれだけ救われたり希望を見出したことか。

    「ー女らしいーという事は、めそめそしたり、はにかみ過ぎたり、すぐに泣いたりする事ではありません。ほんとうにー女らしいーのは、男の人ではとても持てない、女の人だけに持つ事の出来る、美しい心を持つ事だという事を知っていましょう」(中原淳一)

    大学卒業を控えた当時の私は、卒業後の進路も決まらず、社会に出て人とうまく付き合っていける自信もなく、毎日のように泣いたり落ち込んだりしていました。そんなとき、もっと広く世界を見て、もっと自分を、もっと毎日の積み重ねを、大切に思わなければと、淳一さんに気がつかせてもらったのです。

    淳一さんデザインの、セミオーダーのワンピースや、ブラウス。

    淳一さんの言葉を紙に写し、壁にぺたぺた貼りました。出かけるときにはその日の気分でこれだと思ったものをはがして手帳に挟み、電車やバスの中で開いて、淳一さんの言葉を反芻するのです。そうして少しずつ外の世界に触れ、自分の"好き"を追い求めるようになり、今はどうにかやりたかった仕事ができるまでに。

    中原淳一さんが生まれたのは1913年。昨年は生誕100周年で、全国各地の美術館や百貨店で記念の展覧会が開催され、今年も巡回は続いています。

    4月に京都高島屋で「生誕100周年記念 中原淳一展」が開催されるのを前に、私も親しくさせていただいている本屋さん「恵文社一乗寺店」でおこなわれる「中原淳一へのとびら」というワークショップの一部を担当することになりました。

    B6サイズの小さめのノート。カバンに入れて持ち歩くのに便利。

    さらには3月15日~3月31日「中原淳一 小さなパネル展 本とグッズフェア」に並ぶ淳一さんグッズのセレクトも。

    淳一さんは「着飾ったりお化粧したりすることを忘れていても、みだしなみだけは忘れてはいけません」と書いています。自分の好みや流行を取り入れたおしゃれと違って、身だしなみは他者に不快感を与えない服装や言動を心がけること。清潔感や、感謝の気持ちを持って人に接することも身だしなみのひとつ。自分の身の回りを整えるためのファイルや付箋やノート、お礼状を書くのにちょうどいいカードや一筆便箋、ハンカチや手ぬぐいなどを選びました。

    リボン柄のハンカチと手ぬぐい。ちょっとした贈りものにも。

    展覧会の販売コーナーやフェアに足を運べない方は、ぜひ東京・広尾の「それいゆ」へ。赤い扉に、ストライブのテントが目印の中原淳一ショップです。淳一さんは戦前にも「ヒマワリ」という自身のグッズを扱う店を開いていましたが、その店や生前の住居を彷彿とさせるチャーミングな佇まい。紙や布の雑貨や書籍、こちらでしか手に入らない限定商品、ブラウスやセミオーダーのワンピースまで、淳一さんの世界がぎっしりと詰まっています。

    てっきりお客さまは女性ばかりだと思っていたら、「妻へのプレゼントを」とか「じつは昔から大好きで」という男性客も多く、淳一さんを知ったばかりの若者も訪ねてくるのだそう。

    私もまだ仕事を持つ前の初心にかえって、もう一度、淳一さんの絵や言葉の世界に触れる毎日を過ごしています。

    京都・恵文社一乗寺店

    3月15日~3月31日 

    小さなパネル展 本とグッズフェア

    3月30日 

    「中原淳一への扉 トークイベント・ワークショップ」

    京都高島屋

    4月2日~4月14日

    生誕100周年記念 中原淳一展

    RSSブログ情報:http://www.mylohas.net/2014/03/036761kai.html
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