今の生活は楽しいけれど、いつまでこの働き方ができるのか。もしかしたらずっと独り身かも。ふとそんな思いがよぎることがあります。

仕事に熱心に取り組み、結婚・出産を経て、現在一児の母としての時間を過ごすカヒミ カリィさんと岡村貴子さんは、これからをどのように考えているのでしょうか。

ご自身の子育てや仕事復帰、さらにマイロハス読者へのメッセージを対談を通して伺いました。

岡村:カヒミさんは、これからの人生をどういう風にしていきたいですか?

カヒミ:私たち熊谷家は、このままNYに定住するのかどうかも確定していないんですよね(※パートナーの熊谷和徳さんは、NYを拠点に活動する世界的なタップダンサー)。なので、どう転んでも柔軟に楽しくやっていけるような気持ちを持っていようと思います。日本、ヨーロッパ、アメリカと3か所住みましたが、わたしはきっとどこでも大丈夫(笑)。住めば都になってしまうんです。それに、今まで住んだところじゃなくても、行ったら大体、ここに住めると思っちゃうんですよね。

現在は、単発のボーカルのお仕事や原稿執筆などを中心に活動しているカヒミさん。本格復帰はいつ頃?

カヒミ:NYにいるので、本格的な音楽活動は早くてあと数年先になりそうです。実は

わたし、子育てがここまで大変だと思っていなくて、妊娠中にレコーディングをして、出産とともにリリースをしたんですけど、ほんとに大変でした、時間も体力も。


岡村:わたしも、もともと体力には自信がりましたが夜はバタンキュー! 夜中に自分の時間を作ろうと頑張って起きていてもすぐにぐったり......。

カヒミ:創作活動、特にレコーディング中は、友だちにもほとんど会わず時間も忘れて作り上げるタイプなんです。そのこと以外は考えられなくなるというか、寝食忘れて集中してしまうし、逆にそうでないと作れなくなってしまうというか。よく考えると子育ても同じ。とにかく今やることに集中して楽しむタイプなのかな。子育てもクリエイティブなところがあるので本当に面白くて飽きないです。

岡村さんも、本格的な仕事復帰はもう少し先と考えているそう。

岡村:子供の成長だけを見守るという生活にすごく憧れていたから、毎日こんなに充実していていいの!? というくらい満たされています。子育てはオーガニックの大事な要素をすべて詰め込んだ感じ。今はまだ子育てというよりお世話の段階。おむつ換えて、食事を与えて。これから喋り出したり、歩き出したりする場面に出会えるのがものすごく楽しみです。

カヒミ:今の時代は、女性にも仕事のキャリアがあったり子育てのための経済的な負担もあるので、育児だけに専念するのはなかなか難しいことでもあると思うんです。でも、子どもが母親をいちばん必要とするときは限られているので、その時間をなるべく一緒に、大切に過ごせるようにしたいと思っています。

マイロハス読者の皆さんへのメッセージをいただきました。


カヒミ:どんな状況でも、やっぱりいい面と悪い面のどちらもあるなぁと思うんです。なので、今いる状況の中で出来ることを思いきり楽しむのがコツかなと思います。プラスの面により焦点を置くというか。そうしたほうが、将来どんな環境になってもまたその時をより謳歌することが出来るし、気持も動かしやすくなるんじゃないかな。

わたしもシングル時代が長かったので、結婚して子どもが欲しいという気持ちもすっごくわかる。でも、子育てしてみると、幸せもいっぱいありますが、大変だなぁという気持ちもあります。


岡村:わたしも同じ思いです。独身も楽しいですよね。

カヒミ:女友達で集まって、酔っぱらって愚痴ったりして。朝方まで飲んで、夕方まで寝ちゃうみたいな息抜きもできる生活は贅沢だったなと思います。

岡村:出産してわかったのは、自分の体をどれだけ知らなかったかということでした。不都合や痛いところがなければ健康だと思っていましたが、女性の体はメンタルもすごく関わってくるから意外と複雑だし、検査しないとわからない症状も多い。将来子どもがほしいと思っている方がいたら、今のうちから生活を整えて自分の体質や長短所をわかっていた方がいいと思います。妊娠してから生活を変えようという人がいますが、妊娠に気づいたときには、もう体のなかに命が芽生えている状態なのでそこから体質改善してもちょっと遅いですよね。

さらに、お二人に嫌なことがあったときの解消法を伺ったところ、とても印象的な答えが。


カヒミ:「考えない」でしょうか(笑)。以前、自分の性格は自分で作っている、という内容の本を読んでなるほどと思った事があるんです。思い込みやクセで随分変わるものだから、それを意識すると随分変わると。実際、そういうことを意識することで嫌なことがあった時も、ちゃんと消化出来るようになったかなぁと思うんです。


岡村:「忘却力」かな。宿坊したときお寺の住職さんが、人間にいちばん大事なのは上手に忘れること=忘却力だとおっしゃったのが忘れられないです。おおらかな人って、いい意味で物忘れがいいですよね。

さまざまな経験を経て、今子育てを楽しむお二人の言葉は、将来への漠然とした不安を拭い去る道しるべとなるような気がします。

文/渡部えみ 写真/小林みのる

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