レシピ本やお料理に関するエッセイはたくさん存在しますが、こんなに感動するお弁当エッセイは読んだことがありません。

「TOKYO No.1 SOUL SET」「THE ZOOT16」「猪苗代湖ズ」といったグループや、ソロでも活動しているミュージシャンの渡辺俊美さん。ミュージシャンという不規則な仕事にも関わらず、二日酔いの朝も、早く家を出る朝も、休むことなく作り続けたお弁当。息子さんと交わした「高校3年間、毎日お弁当をつくる! 」という約束は、最後まで破られることはありませんでした。

そんな渡辺さんが作った461個のお弁当で登場した特製おかずのレシピや、こだわりの調味料、料理道具、お弁当箱にまつわる話などがまとめられたお弁当エッセイ『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』が発売になりました。

お弁当には作った人の愛情が注がれる

お弁当作りには、「調理時間は40分以内」「1食にかける値段は300円以内」「おかずは材料から作る」というルールがあるという渡辺さん。決して贅沢をするわけでなく、旬の食材を使い、色合いにもこだわった愛情たっぷりのお弁当は、見た目にも華やかでおいしさが伝わってきます。また、渡辺さんが手探り状態から研究を重ね、少しずつ上達していく様子がわかるので、一緒に成長している気分にもなれます。

さらに、「こんな風に手を抜けば楽になるんだ」「この味付けもおいしそう!」といったお弁当作りのコツも満載なので、お弁当初心者はもちろん、お弁当マスターにとっても新しい発見に繋がります。

お弁当作りで何よりも大切なこと

値段を安く抑えたり、旬の食材を使うことも大事ですが、この本から感じることは父親と息子との愛情。息子が喜ぶように好きなものを入れたり、ダイエットに知恵を絞ったり、地方ライブに出れば、その土地のお惣菜ネタを探したり、居酒屋では味を盗んだりと、常にお弁当=息子さんのことを考えている様子が手に取るようにわかり、読み進めていくうちにこみ上げてくるものが......。

この本を読んで、わたしも6年間、毎朝、母にお弁当を作ってもらっていた頃を思い出しました。誰かのためにごはんを作ることの大切さ、それによって自分が成長できることにも改めて気づかされますよ。

[『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』]

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