昔、北欧雑貨店「CINQ」でまとめ買いをした木製ハンガー。軽いのでフリーマーケットなどをおこなうときにに運び入れて洋服をかけています。
服は人が袖を通してはじめて、魅力の全てを発揮する。コート、ワンピース、ブラウス、気に入った全てハンガーにかけ仕舞っているのも、つねに人のまるい肩の形を感じていた方が、服も快いだろうから。
昔は服を買ったりクリーニングに出すとついてくる、プラスチック製のハンガーを使っていたけれど、しばらく前に大半をまとめて買った木製のハンガーに吊るし替えた。すると以前は無理のあるいびつな形で眠っていた服たちが、生き生きとして見える。肩の線や厚みを感じられた方が、服もより自然体でいられるのだ。
アパレルショップで使用されていたのを、そのお店が閉店するというのでいただきました。まるみをおびた珍しい形。
真鍮製のスカーフハンガー。クローゼットの中でかさばるスカーフもすらりとまとまります。バスルームやキッチンでタオルかけにしても。
東京から友人家族が移住したのをきっかけに、兵庫県豊岡市に縁ができた。柳細工を起源に柳行李が作られ、鞄の生産地へと発展したもの作りの町。
その豊岡には、日本唯一の木製ハンガー工場もある。昭和21年創業の「中田工芸株式会社」は、ファッションブランド、セレクトショップ、ホテル、一流店のハンガー作りを担う木製ハンガー専門メーカー。
はじめは荒物屋として生活雑貨を販売していたという。それが終戦後に暮らしが安定してきたことで、洋服を仕立てる人が増えたのだろう、次第にハンガーの需要が高まり専業になった。当時はレディメイドの服は少なく、オーダーメイドが当たり前の時代。自分用にできあがったスーツやワンピースは、さぞかし大事にハンガーにかけられたことだろう。
百貨店やセレクトショップ、高級ホテルで使用されている、豊岡製の「ナカタハンガー」。私が持っているのは女性用で、男性用はもう少し幅が広い。
豊岡訪問をきっかけに、中田工芸のハンガーブランド「ナカタハンガー」の、硬くて丈夫なブナの木のハンガーもクローゼットに仲間入り。とりわけ気に入っているワンピースのお供である。ナカタハンガーの美しい湾曲を手にするたび、ハンガーは洋服の付属品でなく、洋服と同等のひとつの道具なのだと思えてくる。
最近は、「服(福)を掛ける」縁起ものとして、卒業式の記念品や、結婚式の引出物にも選ばれることが多いらしい。上質のハンガーを贈りものでいただいたら、たしかにとても喜ばしい。
アメリカ人アーティスト、アン・ラインハートさんが手がける猫のハンガー。他に、犬、キツネ、ブタなど他の動物も充実。
アン・ラインハートさん、最初は動物を飼う友人のために、木製ハンガーを製作したそう。猫だけでも数種類が。