でも、そんな前向きな言葉や声が、心に入ってこないことがあります。気持ちが疲れきっているときは、パワーを与えられるよりも、心の底にそっと寄り添ってくれる温かさを求めるものなのかもしれません。
心に寄り添う『オチビサン』の言葉漫画家、安野モヨコさんの『笑う手伝いはできても流したなみだを消すことはできないんだ』(朝日新聞出版)は、まさにそんな人のために作られた漫画『オチビサン』の言葉を集めた本です。
いずれにしても声をかけ合う相手がいるのは幸せなこと
(『笑う手伝いはできても流したなみだを消すことはできないんだ』 p24より引用)
どんなに話しても相手と理解し合えないとき、この短い言葉の中にある『いずれにしても』が、とても優しく心にしみてきます。
どんな状況にあっても、たとえ理解し合えずに気持ちがしぼんでしまいそうになっていても、声を交わすという行為そのものに幸せという要素があるんだよ、とささやいてくれているようです。
でも僕らはなぜそれを「さみしい」と思うのだろうね......
(『笑う手伝いはできても流したなみだを消すことはできないんだ』p51より引用)
寂しいなあ、と思うときがあります。誰かと背中を合わせているときでさえ、ひとりきりだと思えてしまうときがあります。
でも寂しい気持ちに「なぜ?」と思ってみること。そうすることで、気持ちがふっと切り替わる、そんなときがあるかもしれない、そんなふうに思わせてくれる言葉です。
もらってばかりだともらうことしか思いつかなくなるよ
(『笑う手伝いはできても流したなみだを消すことはできないんだ』p58より引用)
気持ちがうずくまっているときは「手をつないでほしい」「温めてほしい」そんなふうに何かをしてもらいたいと思いがちです。でも、もらってばかりでは、いつまでもそのまま。
回復したいのなら、自分のなかの何かを差し出してみることを考えてみるとよさそうです。
これらの言葉たちは、かわいらしく温かみのある絵とともに、うつむいていた気持ちを回復させてくれるでしょう。
[笑う手伝いはできても流したなみだを消すことはできないんだ]
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