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自分だけの星座を探しに。アートを通して「つながり」を体感
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自分だけの星座を探しに。アートを通して「つながり」を体感

2015-01-30 23:30
    淺井裕介《全ての場所に命が宿る》2011/2015年

    星と星を結んで、神や伝説の英雄、動物などにみたてた星座のことを「コンステレーション(constellation)」といいます。しかし、心理学(ユング心理学)では、心の中の状況と偶然に起こる外的な出来事がうまく結びついて、全体として星座のようにまとまることを「コンステレーション」と呼びます。

    なるほど。夜空に点在する一見バラバラな星々を星座として認知することと、自分にはまったく関係ないはずのコト・モノ・ヒトに対して、自分との関係性を意味づけすることは、同じメカニズムなのかもしれませんね。

    自分となにかが思いがけずつながったときの喜びや驚き、感動。そんな感情を、アートを通して体験できる展覧会「未見の星座 <コンステレーション> ―つながり/発見のプラクティス」が東京都現代美術館で開催中です。

    実際に足をはこんでみて、どの作品にも「コンステレーション」を感じましたが、今回は2作品をピックアップしてご紹介しましょう。

    ひとつ目は、ビデオインスタレーション。水溶性の透明シートにペンやスパンコールで星座絵を描き、それを水面に浸して星座絵がとけ出す様子をビデオカメラに収めた作品です。

    大﨑のぶゆき《water drawing -stardust-》2007-2008年

    ふたご座、おとめ座、いて座など、見たことのある星座絵がスクリーンに次つぎと現れては、ゆっくりとカタチを失っていく。その時間の経過に立ちあっていると、宇宙空間に放り出されたような、なんともいえない浮遊感で全身が包まれます。もとのカタチを失った絵をじっと眺めていると、色のシミひとつひとつが、細胞のようにも見えてきて不思議です。

    そもそも人体を構成する元素は、気が遠くなるほど昔に、宇宙で輝いていた星の中でつくられたもの。そういう意味では、私たちひとりひとりが星のかけらであり、宇宙とのつながりを持っています。この絵が細胞のように見えるのは、地球人(宇宙人)としての本能がはたらいているからなのかも......。

    こんなふうに、頭の中からいろんなことを引っ張り出しては、自分なりに意味づけをしていく。私たちは何に対しても、この作業をやめることはできず、その作業から自分とは何者なのかを知ろうとしているのかもしれません。

    作品はCGではなく、星座絵が崩れていくスピードも、色彩の散らばり具合も、すべてが実写。リアルです。自分とは関係のない、でも、ここではないどこかで実際に起きているリアルな世界に自分をつなげてみる。

    これって、テレビのニュースやインターネットで知る世界中の出来事を、自分のこととして楽しんだり、悲しんだりするプラクティスになるのかも。他人事を自分事として考え、受けとめることができたとき、これまでにない行動や活動、ムーブメントが起きるのではないでしょうか。さらにその先には、新しいつながりを発見できる予感がします。

    淺井裕介《大地の色見本》2015年

    ふたつ目は、壁画です。使われている絵の具は、世界各所から集められた天然の土。土と聞くと、茶色や黒をイメージしますが、色見本には淡いグリーンやブルーもあり、地球って、ほんとうにすごいなぁと、感激してしまいます。

    糊などのつなぎを使用せず、水を混ぜて泥状にした土を壁面にのせていく。インドのスジャータ村、韓国のソウル、アメリカのヒューストン、熊本や青森、そしてこの美術館の周りの土など、各地の土が大きな絵の中でひとつになる。それぞれの土地で存在すべき土が、絵の中で出会うなんてロマンチック。ですが私には、新たな出会いというより、土同士の懐かしい再会に感じられました。

    淺井裕介《全ての場所に命が宿る》2011/2015年

    今からおよそ46億年前。生まれたばかりの赤ちゃん地球はダイナミックなマグマのかたまり。ぐるんぐるんと元気よく自転していました。当時はもちろん土地はなく、すべてがいっしょくた。今ではそれぞれの国で存在する土も、もともとはひとつだったのです。そして、まだ姿形を持たない私たち人間の存在も、そこに内包されていました。

    そう考えると、長さ20mもある広い空間に描かれた壁画が、原始の地球のようにも思えてきて、さまざまな生命の存在が見え隠れしているのを感じずにはいられません。

    大昔はひとつだったものが、別れ別れになり、悠久の時を経て絵の中で再会する。壁画そのものが新しい大地となって、再び一緒に呼吸しはじめる。土の歓喜と、あらゆる命の根源の脈動が、絵を生き生きとさせているのでしょうね。

    この壁画は、会期中も作家によって手が加えられるのだそう。訪れるたびに、成長・変化する様子も見どころとなっています。

    さて、ここまでに書いたことは、私の意味づけであり、私なりの解釈です。みなさんも作品と向き合いながら、まだ見ぬコンステレーションを発見してみてくださいね。それは自分の中に新しい何かを生み、ゆくゆくは自分だけの星座(コンステレーション)として輝きだすはずです。

    [東京都現代美術館]

    <インフォメーション>
    未見の星座 <コンステレーション> ―つながり/発見のプラクティス
    会期:1月24日(土)~3月22日(日)
    休館日:月曜日
    会場:東京都現代美術館(企画展示室1F、ほか)
    アクセス
    開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
    観覧料:一般1,100円、大学生・専門学校生/65歳以上800円、中高生600円、小学生以下無料(価格は税込)※小学生以下の入場には保護者の同伴が必要です

    RSSブログ情報:http://www.mylohas.net/2015/01/043909constellations.html
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