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私が顔にコンプレックスを抱くようになったのは、中学に入学して間もないぐらいの時期でした。

小学5年生くらいからポツポツとできはじめたニキビの量が、中学入学ともに一気に増えたんです。

真っ赤なニキビがコメカミのあたりにできはじめ、鼻の頭、おでこ、ほっぺたと、どんどん広がっていきました。

鏡で自分の顔を見るたびに醜い姿が映り、次第に気持ちも暗くなっていきました。

母親に相談しましたが「そんなの大人になれば消えていくから」と言われるだけ。

そして私は、ニキビを潰して、白い膿を出すことが日課になっていきました。

もう趣味と言っても過言ではないかもしれません。

膿がニュルッと出るのが快感になり、どんどんとはまっていきました。

そのころはニキビを潰して膿を出すことが、肌を傷つけるということを知らなかったんです。

顔のニキビは減るどころかみるみると増えていきました。

丸い団子鼻がいやでいやでしょうがない……

私の父親は、決してハンサムとはいえない人でした。

とくに、鼻がいわゆる「団子鼻」。

私も父親ゆずりの大きな団子鼻で、思春期になると、自分の鼻の形の醜さに、絶望的な気持ちになったのを覚えています。

同様のコンプレックスを持っていた妹は、暇さえあれば鼻をつまんで、鼻が小さくなるように念じていました。

学年一の人気者に恋。妄想に明け暮れた中学時代

中学2年生のとき、好きな男子ができました。彼は、学年の女子からも男子からも人気のある中心的な男子でした。

自分の顔にコンプレックスをもちながら、私はハンサムな人しか好きになれませんでした。

昔もそうでしたし、実は現在もそうです。たぶん、自分の顔が嫌いだからこそ、逆に美しいものを求めてしまうんだと思います。

私の理想は、背が高く、鼻筋がスッと通っていて、肩幅の広いがっちりとした男性。そして、頭もよくないと嫌です。

今となっては、そんなに条件のそろった男性が私に振り向くわけがないのはわかっています。

でも中学2年生当時の私は、そんなことに少しも気付かない夢見る乙女でした。

ただ、ブスな私が人気者の男子に恋をしているなんて打ち明けたら、笑い者になるだろうと思い、絶対に誰にも言えませんでした。

密かに思いを寄せ、自宅に帰ると、彼と自分が交際する姿を妄想していました。

もちろん彼は、私のことなど見向きもしませんでした。目が合ったことも数える程度しかありません。

私は影の薄い存在でした。顔のコンプレックスのせいで、性格が消極的になり、なるべく目立たないようにしていたんです。

透明人間のような存在。それが私でした。

私の恋は誰にも知られることなく、妄想のなかだけで終わっていきました。

高校生になって、ニキビ顔がもっと醜くなっていく……

高校生になるころには、中学のときに潰したニキビの跡が残り、私の顔はクレーターのようにでこぼこと醜くなりました。

そのころには、美人のクラスメイトやクラスの人気者の女子を見るたびに、嫉妬心がメラメラと心のなかに燃えるように……。

美人だったり、可愛かったりするクラスメイトを恨めしい目つきで追うようになり、顔だけでなく、性格まで醜くなっていきました。

そんな自分が大嫌いで、帰宅すると、部屋でひとり泣いていました。


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