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【のりこえねっと通信0049号】本日10月6日の放送は、『ヘイト内閣全解説! 安倍内閣とレイシストとの深い関係 解説:野間易通』です!
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【のりこえねっと通信0049号】本日10月6日の放送は、『ヘイト内閣全解説! 安倍内閣とレイシストとの深い関係 解説:野間易通』です!

2014-10-06 18:41
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ■■■■■-ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク-
    ■■■■
    ■■    のりこえねっと通信 0049号 2014年10月6日発行
    ■■
    ■                        ◆転送歓迎◆
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    
     賛同者の皆さま のりこえねっと通信をお読みの皆さま
    
     9月29日夜、霞が関の総務省前では、「山谷やめろ」という山谷えり子国
    家公安委員長の辞任を求めるコールが響きました。告知期間がほとんどな
    かったにもかかわらず、400人もの人々が集まったのは、それだけ人々の怒
    りがあふれていたことの現れです。山谷大臣は、在特会との密接な関係を追
    及されるや「そんな団体は知らない」とシラを切ったり、「知らない」とい
    うこと自体が日本の治安責任者として不適格と気づくや、「個別の団体には
    言及しない」と逃げきろうとしています。どれだけ彼女の言動が在特会と同
    様なものであり犯罪的なものかは、これからも追及していきます。
     9月29日の様子は、ツイッターをまとめたものが以下でみることができま
    す。抗議行動に参加された皆さんお疲れ様でした。
     http://togetter.com/li/725582?page=1
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    〈今号の目次〉
    1.10月6日 のりこえねっとTV   
    2.9月29日のりこえねっとTV報告
      「アイヌ・沖縄の今 石井ポンペ×金城実×寺中誠」
    3.今後の反レイシズム情報
    4.今週のヘイト街宣・デモ Pick Up
    5.新聞・雑誌記事・Webより
    6.のりこえねっと動画アーカイブ公開
    7.ヘイトスピーチまんが&シナリオコンテスト
      漫画大賞が決まりました。
    8.ボランティアスタッフ募集(リサーチ、TVスタッフなど)
    9.編集後記
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●1.10月6日のりこえねっとTVのご案内
    
    ★タイトル:ヘイト内閣全解説! 安倍内閣とレイシストとの深い関係
    
    ◎放送日時 10/6(月) 21:00-22:00
    
    ◎ニコニコ生放送入口URL http://live.nicovideo.jp/watch/lv195760410
    
    毎月第1月曜日はC.R.A.C.×のりこえねっとTV。
    今回は、野間易通氏による解説です。
    
    野間易通(のま・やすみち)
    1966年、兵庫県芦屋市生まれ。大阪外国語大学
    (現・大阪大学外国語学部)卒業後、音楽雑誌編集部を経て
    フリーの編集者となる。2013年1月、「レイシストをしばき隊」
    (現・C.R.A.C.)を結成。新大久保などで行われていた
    排外デモへのカウンター行動の一翼を担う。著書に
    『金曜官邸前抗議』『「在日特権」の虚構』(河出書房新社)
    などがある。
    ツイッター:https://twitter.com/kdxn
    
    C.R.A.C.
    http://cracjpn.tumblr.com/
    https://twitter.com/cracjpn
    
    
    ◆視聴方法についてあらためて記載します。
    【視聴方法】
     ▼初回にニコニコ動画に会員登録が必要です。(一般会員は無料です)
      http://www.nicovideo.jp/
    
     ▼メールアドレスとニックネーム、性別、年齢等のプロフィール、
      パスワードを登録してください。
     ▼そして、以下にアクセスするとのりこえねっとTVをご覧いただけます。
      http://ch.nicovideo.jp/norikoenet-tv
    
    ※ブロードバンドのインターネット環境、もしくはLTE通信環境のスマート
    フォンなどからもご覧頂けます。あらかじめタイムシフト予約をしていると
    放映後1週間以内はいつでも見ることができます。
    
    ◆皆さまへのお願い
    
    現在、のりこえねっとTVはニコニコ生放送( http://live.nicovideo.jp/)
    のトップページ番組表に掲載されておりません。
    Twitter、公式サイトにて告知しておりますが、ニコ生のトップページ番組
    表に掲載されると目に留まりやすく、さらに視聴者が増えると思われます。
    番組表に掲載されるためには、【タイムシフト予約】の人数が200名を
    超えなければなりません。ぜひ、みなさまのご協力が必要です。
    拡散・周知も続けて頂けますよう何卒お願い致します。
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●2.9月29日のりこえねっとTV報告
      「アイヌ・沖縄の今 石井ポンペ×金城実×寺中誠」
    
     札幌市の金子快之(やすゆき)市議が、「ツイッター」に「アイヌ民族な
    んて、もういない」と書き込んだ問題で、市議会は9月22日の本会議で、金
    子氏の議員辞職を求める決議案を賛成多数で可決しました。この問題につい
    て、札幌市在住でのりこえねっと共同代表の石井ポンペ氏に電話でお話を伺
    いました。また、ヘイトスピーチにさらされている沖縄の現状について、沖
    縄県読谷村在住の彫刻家、金城実氏とも電話でつなぎ、沖縄の今を語ってい
    ただきました。
    
    アイヌ民俗に認められているのは、文化振興法だけ!?
    
     国連人権差別撤廃委員会の勧告にはヘイトスピーチ以外にも幅広い内容が
    盛られており、今回は違った角度から検討したいとして石井さんにお話をう
    かがいました。勧告でアイヌと琉球の先住民族の権利に触れているが、日本
    政府はアイヌを先住民として一応認めているもののその権利については認め
    ておらず、実際にどんな問題が起きているのかを尋ねます。
     石井さんたちは金子市議の書き込みに対して記者会見を開き、アイヌは社
    会的に文化を継承していると表明したそうです。そして寺中さんは、市・
    道・政府とも「配慮に欠ける書き込み」と表明しているが、果たしてそう考
    えているのだろうかと問います。
     アイヌは1871年に戸籍法により平民として日本名に変えられ、土地の収
    奪、アイヌ語の廃止、文化の禁止、納税の義務は明治以来変わっていない。
    声をあげれば生活や文化に対してクレームがつき、就職先もない中でアイヌ
    として活動していこうという若い人たちが傷ついたと石井さんは語ります。
    また道外在住のアイヌの問題も深刻だと言います。
     そして、政府は先住民族としての先住権と自決権は認めない一方で、「ア
    イヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」をつくり文化振興法(アイヌ文化
    の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法)だけ
    が生きている。金子発言によってアイヌは振興法でお金をもらっているとか
    「利権」だとの声が出たが、しかし振興法だけでは私たちは生きていけない
    ことを全国の人は知らないのが実状だと語ります。また、札幌市長も参加し
    ている懇談会に期待したが何ら見解が出されていないし、そのメンバーは日
    本人12人に対して当事者のアイヌはたった1人だそうです。
    
    有識者懇談会は権利を認めているように見せるアリバイづくり
    
     寺中さんによれば、先住民族の権利宣言が出たときに政府は先住民族とし
    ては一応認めたが、宣言で認める権利を有する先住民族ではない、その権利
    は認めないようにして立ち上げたのが懇談会だったそうです。また懇談会メ
    ンバーに1人とはいえ当事者が入ったのも画期的であり、当事者の声をいっ
    さい聞かない文化振興策だったと語ります。
     石井さんによれば、日本政府は土地を与えたと言うが、数年以内に農地を
    開発しないと没収されたそうです。農地として与えたのは、ほとんど使えな
    い土地でした。もともと日本の所有権などの枠組みにおさまらない狩猟採集
    民族であるアイヌに、生活形態を変えろということだったのです。
     そして明治時代は、右手に銃、左手に鍬を持った屯田兵と開拓民によって
    奥地へと追いやられました。今は声をあげられるが彼らはできなかった。そ
    して日本政府はアイヌモシリ(土地)を日本に編入し、生活形態も合わない
    からいっそう周辺部に追いやられる。貧しい暮らしを続けるか、暮らせずに
    土地を離れるしかなかったと語ります。
     寺中さんによれば、世界中で不条理な立場に置かれた先住民族が権利を主
    張すると、わがままと見られるという問題があるそうです。少数派で大きな
    声になりにくいことから、先住民族の権利宣言ができて権利を認めていこう
    ということになったが、多くの国では土地所有権や資源問題に関係するの
    で、そこに制限をかけようとするそうです。
     石井さんは「私たちは自決権と先住権を望んでいる。カナダも米国も先住
    権として土地を返還している。日本だけが認めずに懇談会をつくってアリバ
    イづくりをしている」と批判します。
    
    先住民族の問題とは、生活・生命・生きること
    
     寺中さんは、せめて懇談会の半数はアイヌの声が反映できるようにし、土
    地などの先住権は認めることが最低限度のことだと思うが、それを政府に認
    めさせる運動はどうなっているか尋ねます。
     石井さんは、自身は「原住アイヌ民族の権利を取り戻すウコチャランケの
    会」で活動しているが、個人の力では限界があるし、箱物に頼っているアイ
    ヌの組織自体に力がないと語ります。政府はアイヌが25000人と国連に報告
    しているが、結婚したりして家族が増えているのに25000人のまま。開拓民
    としての道民は570万人に増加し、闘っても嫌がらせされるだけという状況
    は道外でも同じ。だから黙って日本人のふりをして暮らしている。札幌でも
    そうだし、今年から北海道アイヌ協会は公益社団法人になって、それもあり
    運動しづらいと語ります。
     寺中さんによれば、人種差別撤廃委員会でマイノリティの人口を明らかに
    するように勧告されているが、政府はとりあえず数字を提出するだけで調査
    はしたことがないそうです。それを受け、石井さんは、日本にはアイヌ研究
    者は多いが、その成果をきちんと発表していない学者が多く、アイヌがどう
    いう状況にあるか情報が出回りにくいとし、政府は単に文化の担い手として
    のみ焦点を当てている、実際に生きているアイヌの権利が侵害されていると
    批判します。
    93年に他界した山本エカシ(長老)は「この島を売った覚えもないし貸した
    覚えもない」、またアイヌ初の国会議員だった萱野茂さんは「もし貸したの
    ならば証明書を見せろ」と叫んだが、アイヌは今でも生きているということ
    を主張していこうと思っていると石井さんは語り、そのために多数派の日本
    人の支援や政府への声もあげてほしいと要望します。
     寺中さんは、問題はそこで生活し困っている人々がいることであると語り
    ます。また、先住民族の問題は血の問題だと誤解されているが、そうではな
    く生活・生命・生きることの問題だと語ります。また文化振興にしても、人
    を守ることで文化が守れるということがなかなか通じないと批判します。司
    会者は、圧倒的多数の中でひっそりと暮らすしかないという状況も一つのヘ
    イトスピーチの表れだろうと語ります。
    
    沖縄と福島は日本の未来を左右する小さな針
    
     次に沖縄の金城さんに電話がつながりました。
     国連の人権規約に基づいて、教育・言語・領土問題について政府は真摯に
    向きあえとの勧告が出されたが、勧告に罰則がないから問題が進まないのだ
    と金城さんは言います。
     翁長那覇市長は昨年1月に政府に建白書を持っていったときに、「中国の
    スパイ」とか「沖縄の人間は死ね」などと言われた、「これはヘイトスピー
    チだ」と金城さんは憤ります。そして、自民の大物だった翁長市長がなぜ
    オール沖縄で対決するのか、よく考えてみてほしい、憲法9条は虫食いで
    腐っているのだと語りました。
     また、沖縄と福島は日本の未来を左右する小さな針だと金城さんは言いま
    す。両者がどう動くかによって日本の運命が決まる、日本国家と国民が沖縄
    と福島を馬鹿にするなら、この小さな針を飲んでみよ、命を取るぞ、と警告
    を発しました。
     金城さんは最後に、現人神だったヒロヒトに対しては徹底して許せないと
    いう歴史認識を持っているが、いまの天皇は人格的に尊敬するし日本のどの
    政治家よりも平和主義者と思うと語ります。
    
    最後に、お二人との話を終えて寺中さんが感想を語ります。
     中央との意識のギャップがあり、そのギャップがそのまま抑圧にもつな
    がっている構図があるように感じられる。国連が先住民族として認めている
    にもかかわらず、日本政府がそういう扱いをしていない。同じパターンは、
    これまでの政策の中で意識的に切り分けて排除してきたものとして旧植民地
    出身者に対してもある。同化して排除してきた問題と、意識的に排除してい
    る旧植民地の問題、両者とも国連からマイノリティの問題だと勧告されてい
    る。政府は勧告を受け止めて、きちんとした人権政策や差別撤廃に向けた対
    策をしていかねばならないと述べて放送を終えました。
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●3.今後の反レイシズム情報
    --------------------------------------------------------------------
    ★公式サイト 学習会カレンダーにも順次掲載致します!
    http://www.norikoenet.org/workshop.html#callendar
    ★集会・デモ・カウンター・セミナーなどのお知らせを掲載します。
    日時、会場、タイトル及び内容、主催者、主催者の連絡先などを400文字以
    内で、お送り下さい。件名に「のりこえねっと通信掲載希望」と明記して下
    さい。
    
    1)「反ヘイトスピーチ裁判」李信恵さんの在特会らに対する第一回口頭弁論
    
    李信恵さんの在特会らに対する損害賠償事件。ぜひ、たくさんの方に、裁判
    を見守って頂きたいと思います。
    
    日時:10月7日(火)11:00~
    場所:大阪地方裁判所大法廷(京阪電鉄なにわ橋駅から徒歩約5分)
    傍聴券について:
    (場所) 2カ所に分かれて配布されます。
     原告側は、本館の正面玄関前(南側)
     被告側は、別館の南玄関前
     http://www.courts.go.jp/osaka/about_tiho/syokai/index.html
    (時間)
     10:15~ 整理券配布
     10:30  抽選、発表→整理券を傍聴券に交換→法廷へ
    
    
    2)JCJ出版部会例会<慰安婦問題と「朝日」バッシング>
    
    日時:10月10日(金)18:30~
    会場:岩波セミナールーム3F
    (地下鉄半蔵門線、都営新宿線・三田線、神保町下車)
    講師:藤田博司(元・共同通信論説副委員長)+篠田博之(「創」編集長)
    会費:500円
    主催:日本ジャーナリスト会議 出版部会
    
    
    3)朝日新聞の「慰安婦報道」検証と右派メディアのバッシング 
    
    日時:10月10日(金)18:30~21:00
    会場:スペースたんぽぽ(水道橋駅徒歩5分)
    http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=336
    講師:西野瑠美子、金富子
    会費:300円
    主催:人権と報道・連絡会(03-3328-7609)
    
    
    4)
    シンポジウム「「多文化共生」の現在を問う~誰にとっての、何のための
    「シティズンシップ」なのか~」
    
    日時:10月12日(日) 13:00~18:00
    場所:青山学院大学 総研ビル12階大会議室 ※受付は11階です。
    (渋谷駅徒歩10分、銀座線表参道駅徒歩5分)
    講師:テッサ・モリス=鈴木、韓栄恵(ソウル大)、伊予谷登志翁、毛受敏
    浩、鄭暎恵、小倉和夫
    参加費:無料
    主催・参加申込:青山学院大学国際交流共同研究センター
     E-mail:info@jripec.aoyama.ac.jpまで
    
    
    5)SJFアドボカシーカフェ第31回 外国人と生活保護 
    
    日時:10月14日(火)18:30~-21:00
    場所:若松地域センター 2階  第1集会室
    (大江戸線・若松川田駅 河田口 徒歩2分)
    発言:奥貫妃文さん(相模女子大学人間社会学部専任講師)
        大川昭博さん(移住労働者と連帯する全国ネットワーク運営委員)
       寺中誠さん(東京経済大学現代法学部講師)
    参加費:一般1,000円 / 学生500円 
    主催:ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)
    http://socialjustice.jp/p/20141014/ 
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●4.今週のヘイト街宣・デモ Pick Up
    
    カウンター行動(抗議行動)される際は、十分お気をつけ下さい。
    経験が少ない方は、複数での参加をお勧めします。
    
    1)生活保護法適正化支持デモ+街宣
    ●日時:10月12日(日)13:00~集会 14:00~デモ 御堂筋南下 15:10 解散
    ●場所:新町北公園(大阪市営地下鉄西大橋駅徒歩9分)
    ●主催:生活保護法の適正化を目指す市民によるデモ行進実行委員会
    ●協賛:そよ風・関西支部、在特会・大阪支部
    ※「朝鮮人よ、自活能力の無い4万人を居住させてやっている日本に『感謝
    してみろ』」というコールを行う弱者いじめのデモです。
    
    2)「防犯パトロール」
    1)のデモ終了後、鶴橋付近を嫌がらせして歩くとの告知もあります。
    17:30~20:00。呼びかけは水平社博物館差別街宣で150万円の賠
    償金命令を受けた川東大了氏で「途中で疲れた、或いは、満足したらそこで
    終了する」とのこと。
    
    3)朝日新聞不買デモ
    ●日時:10月13日(月)13時集合 13:30出発
    ●場所:水谷橋公園(東京都中央区銀座1-12-26)
    ●主催:朝日新聞は買わないでくださぁいデモ実行委員会
    ※「慰安婦の正体は韓国人売春婦だー」という元慰安婦のハルモニたちを貶
    めるコールをするデモです。
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●5.新聞・雑誌記事・Webより
    
    1)書泉グランデが「嫌韓」本PRで炎上、ツイート削除・謝罪へ
    livedoor NEWS  9月29日
    
     神保町の大型書店・書泉グランデの公式アカウントが、桜井誠氏の新刊
    「大嫌韓時代」をTwitterでおすすめし批判を集めていた件で、経営元であ
    る書泉は9月26日、「決してあってはならないこと」と公式サイトで謝罪し
    た。該当ツイートは現在、すでに削除済み。
    
    「大嫌韓時代」を紹介する際、「隣国が嫌いな方、なぜ嫌われているのか気
    になる方や、植民地支配、戦勝国気取り、領土問題、反日、それらについて
    疑問をお持ちの方にオススメです」とツイート。「排外主義をあおってい
    る」「差別ではないか」などの批判が寄せられていた。
    
    「新刊書籍のご紹介をさせていただいた内容に、特定の主張を支持するかの
    ような表現がありましたことは、様々な思想を扱う知識の場である一書店と
    して、決してあってはならないことと考え深く反省しております。また、そ
    のような誤解をお客様に与えてしまいましたことにつきましては、決して弊
    社の意図するところではなかったため、恐縮ながら該当ツイートはすでに削
    除させていただいております」(公式サイトより)
    
    http://news.livedoor.com/article/detail/9302292/
    
    ------------------------------------------------
    
    2)帝塚山学院大:大学爆破の脅迫文 朝日OB教授が辞職
    毎日新聞 9月30日
    
    ◇大阪府警、威力業務妨害容疑で捜査
    
     帝塚山学院大(大阪狭山市)に今月13日、元朝日新聞記者の教授を辞め
    させないと大学を爆破するという内容の脅迫文書が複数届いたことが捜査関
    係者への取材でわかった。従軍慰安婦報道を検証する朝日新聞の8月の特集
    記事で、この元記者(67)は吉田清治氏(故人)の虚偽証言に関する記事
    を最初に執筆したとされていた。元記者は文書が届いた日に教授を辞めた。
    大阪府警は威力業務妨害の疑いで捜査している。
     捜査関係者によると、文書は全て大学キャンパスに郵送され、大学を運営
    する法人理事長、学長、教授会などに宛てられていた。
    (略)
    http://mainichi.jp/select/news/20140930k0000m040144000c.html
    
    -----------------------------------------------------------
    
    3)ヘイトスピーチ団体と安倍内閣閣僚との2ショット写真で舛添知事、関
    係性を非難せずに擁護
    IWJ Independent Web Journal  9月30日
    
     東京都の舛添要一知事は9月30日(火)、都庁で定例の記者会見を行な
    い、ヘイトスピーチ団体と安倍内閣閣僚との関係性や、渋谷~六本木間の都
    バス24時間運行廃止などについて、それぞれ見解を示した。
     東京都内や全国各地で近年繰り返されているヘイトスピーチに対し、舛添
    知事は批判の声をあげ、対処していく姿勢を示している。国連の人種差別撤
    廃委員会も法規制を求め、大阪市の橋下徹市長もヘイトスピーチに批判の声
    をあげている。
     これに関連し、今月3日に発足した第2次安倍改造内閣のうち、山谷えり子
    国家公安委員長と松島みどり法務大臣が9月25、26日にそれぞれ日本外国特
    派員協会で会見した。山谷えり子大臣は、ヘイトスピーチ団体との親密関係
    をはじめ、ヘイトスピーチ問題で、記者から集中砲火を浴びた。 
     松島大臣も、このヘイトスピーチ問題をはじめ、記者から様々な質問がぶ
    つけられた。
     安倍総理や山谷大臣らが、ヘイトスピーチ団体と2ショート写真を撮って
    いたこともわかっており、ネット上にもその写真が出回った。
     海外のメディアなどは、その団体と安倍内閣との親密さを「問題」だと報
    道している。
     この件について自身の見解を求められた舛添知事は、「政治家の仕事は結
    果を出すことなんで、前を向いて仕事をしてもらいたいと思います。過去、
    どうであれ、どういう思想をもっていようと、どういう歴史的な考え方を
    もっていようと、職責をしっかり果たすということに、全力を挙げるべきだ
    と思います」と話し、安倍内閣を擁護。
    「政治家の仕事は結果を出すこと」と発言した舛添知事だが、日本の警察
    は、ヘイトスピーチ団体を守るかのような警備を敷いたり、ヘイトスピーチ
    団体が暴行を働いても、逮捕に踏み切らなかったりしているのが現状だ。そ
    んな中、ヘイトスピーチ団体との親密関係がささやかれている山谷大臣が、
    警察行政のトップとして、ヘイトスピーチの規制や取り締まりの強化をでき
    るのか、甚だ疑問である。
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/171798
    
    ---------------------------------------------
    
    4)「憎悪表現」の対策検討
    公明新聞 10月1日
    
    ヘイトスピーチ党プロジェクトチームが初会合
    
     特定の民族や人種への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)につい
    て、公明党のヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチーム(PT、遠山清彦座
    長=衆院議員)は30日、衆院第2議員会館で初会合を開き、防止策を検討した。
    冒頭、遠山座長は「近年、日本ではヘイトスピーチが大きな社会問題になっ
    ており、国際社会からも厳しい指摘がなされている」と強調。その上で、
    「複雑な要素が入った難しい問題だが、人権を重視する公明党の立場から、
    さまざまな観点で検討を進めたい」と述べた。
     同PTは今後、有識者や専門家と意見交換を重ねた上で、年内にPTとしての
    考え方をまとめ、政府へ提言する予定。
    https://www.komei.or.jp/news/detail/20141001_15064
    
    ---------------------------------------------
    
    5)(耕論)ヘイトスピーチへの処方箋 樋口直人さん、師岡康子さん、阪
    口正二郎さん
    朝日新聞DIGITAL  10月2日
    
    全国に広がるヘイトスピーチ(憎悪表現)。今夏、国連の二つの機関が相次
    いで日本政府に対処を求めた。だが、法規制には慎重論もある。どんな処方
    箋(せん)が必要なのか。
    
    ■極右を保守から切り離せ 樋口直人さん(在特会を調査した社会学者)
    
     社会でうまくいかず、鬱積(うっせき)した感情のはけ口を求めて差別デ
    モに加わる――。街頭でヘイトスピーチを垂れ流す差別デモの参加者につい
    て、こんな解釈を何度もメディアで見聞きしました。実は私も、あれは不満
    や不安が産み落とした排外主義運動だと思い込んでいた。
     ところが、現場に行くとどうも雰囲気が違う。2011年から1年半か
    け、在日特権を許さない市民の会(在特会)の活動家ら34人に話を聞い
    て、ようやく実像が見えてきました。通説の多くは根拠の乏しい神話である
    ことがわかったのです。
     学歴では大卒(在学中・中退を含む)が24人。京大卒や東工大卒のエン
    ジニアもいました。雇用形態も、正規が30人に対して非正規は2人。普通
    の会社員に多く出会いました。職業をみるとホワイトカラーが22人、ブ
    ルーカラーは6人でした。
    「移民が増えると摩擦も増え、排外的な運動が広がる」というのは欧州の定
    説ですが、日本の場合はこれも違った。摩擦がなかったどころか、日常生活
    で外国人との接点すら持っていない人がほとんどでした。実は在日コリアン
    の実情をほとんど知らない人々が起こした運動だったのです。
     では、なぜ在日が標的になるのか。日本に最近やってきた外国人ではな
    く、長く日本で暮らし、地位も確立した「モデル・マイノリティー」たる在
    日が攻撃されるなんて、欧州の極右運動の常識では理解できません。ここに
    日本の排外主義の特質があります。
     発端は00年代前半、韓国や中国、北朝鮮への憎悪に火がつきました。日
    韓W杯や反日デモ、拉致問題がきっかけです。その矛先が、国内の在日に向
    けられた。歴史修正主義に出会ってゆがんだ目には、在日という存在は「負
    の遺産」で敵だと映った。東アジアの近隣諸国との関係悪化が端緒だったの
    です。
     憎悪をあおる舞台装置がインターネットでした。韓国発のネット情報をゆ
    がめて伝えたり、「在日特権」なる完全なデマをばらまいたり。反差別法が
    ある欧州ならすぐに監視団体が削除させるような妄想が、何の規制もないま
    ま拡散していった。
     その情報源になったのが右派論壇です。「嫌中憎韓」は右派月刊誌レベル
    では00年代前半に始まっていた。つまり右派論壇が垂れ流した排外的な言
    説を、ネットが借りてきてデフォルメし広げた。さらに00年代後半に登場
    したネット動画が、憎悪を行動に転換させた。憎しみはヘイトスピーチとい
    う形で街頭に飛び出していったのです。
     ひどい言葉をまき散らすヘイトスピーチですが、これを「病的な人々の病
    的な運動」と見ていては事の本質を見誤ります。意外に普通の市民が、意外
    に普通の回路をへて全国各地で大勢集まった。それなりの筋道のある合理的
    な行動なのです。ここに、この極右市民運動の新しさと怖さがあります。
    ヘイトスピーチの法規制は、実は保守が極右との関係を整理できるかどう
    か、という問題だと考えています。極右は常に、ナショナリズムにおいて保
    守の右から強硬な主張をする。その境目に「防疫線」を引き、正常な政治と
    市民生活から極右を切り離す必要があります。
     さもなければ、保守はより右に引っ張られる。国際社会からも、安倍政権
    はやっぱり極右なのかと見られます。それではまともに国を運転していけま
    せん。きちんと損得勘定できるリアリストが、政権内部で頑張れるかどうか
    ですね。
     欧州なら極右政党と呼ばれるべき政党も、すでに次々と日本で誕生してい
    ます。まともな保守政権でいるためには、対象を限定したうえでヘイトス
    ピーチの法規制に踏み込むべきです。それで規制が弱くなったとしても、極
    右を切る、という意志を政権が示す政治的な効果が大きいのです。(聞き
    手・萩一晶)
    
    
    ■放っておけば暴力に発展 師岡康子さん(弁護士)
    
     ヘイトスピーチをする側は、相手は同じ人間ではない、汚い存在だと攻撃
    します。それも民族や国籍という、変えることができない、あるいは難しい
    属性を突いて口汚く侮辱する。ゴキブリやうじ虫にたとえる。差別デモを見
    たら、ひどいと感じる人がほとんどでしょう。
     ただ、法律で規制するとなると異論が出る。「言論には言論で対抗すべき
    だ」とか「自由な批判を萎縮させる」とか。ヘイトスピーチがもたらす害悪
    がいかに深刻か、十分に伝わっていないんだなと思いますね。
     たとえば京都朝鮮学校の事件では、街頭宣伝を聞いたショックから今でも
    1人で留守番できない子がいます。苦痛や恐怖、絶望をもたらす、「魂の殺
    人」とも呼ぶべき行為なのです。近隣との関係も破壊された学校は移転を余
    儀なくされました。
     こんな差別はすぐに止める、というのが国際人権法の考え方です。放って
    おくと社会に差別が広がり、物理的な暴力につながりますから。確信を持っ
    て差別している人たちは、法律で強制的に止めるしかない。
     1965年に人種差別撤廃条約ができたのも、ネオナチの運動が欧州で広
    がり、またユダヤ人虐殺に発展しかねないという危機感からでした。翌年に
    は自由権規約ができ、いずれもヘイトスピーチを禁じています。日本は両方
    とも加盟している。にもかかわらず、ヘイトスピーチを「違法」として規制
    する義務を政府は規約の批准から35年もサボってきた。新法で規制するほ
    どの差別はない、との主張が理由の一つです。実態調査をして具体的な根拠
    を示して言うのなら、まだわかりますよ。でも、それすらしていない。
     それは戦後、この国自らが在日コリアンを差別し、民間の差別も放置して
    きたからです。その責任が問われるから、現実から目をそむけてきた。定義
    があいまいなまま法規制に走れば、権力がこれを乱用して表現の自由を危う
    くしかねない、という心配は私もあります。ヘイトスピーチ規制の名の下
    に、政府批判を弾圧した例は海外で実際ありますから。
     その危険を避けるには、まずは土台となる差別禁止法をつくることです。
    今回の国連勧告でも、そう求められています。
     日本社会には就職や入居など多くの場面で外国人への差別がある。特に在
    日への差別は、植民地支配への反省が戦後、十分になされなかったことが根
    底にあります。まず差別を違法とする差別禁止法をつくり、その中にヘイト
    スピーチ規制を位置づける。規制の対象は明確に限定する。権力が乱用でき
    ない仕組みを工夫すればいいのです。
     残念ながら時間はかかるでしょう。しかし今の危うい政治状況を考える
    と、この正攻法で進むしか道はない。そう考えています。(聞き手・萩一晶)
    
    
    ■法規制、拡大や乱用懸念 阪口正二郎さん(一橋大学教授)
    
    「死ね」「日本から出て行け」といったヘイトスピーチはひどいものです。
    人種や性別、性的指向など属する集団を理由に攻撃する憎悪表現に、言論と
    しての価値はありません。
     昨年10月、朝鮮学校周辺での差別的な言動に対し京都地裁は損害賠償を
    命じました。しかし、「朝鮮人」といった不特定多数に向けたヘイトスピー
    チについて、法的な責任を問えないのが現状です。
     目の前で起きている被害を新たな法律をつくって防げ、という主張は理解
    できます。ただ、例えば「在日韓国・朝鮮人には特権がある」という発言は
    文脈によっては政治的な表現となる可能性があり、法律での規制は妥当では
    ありません。政治的な表現の自由が守られなければ、民主社会でなくなるか
    らです。乱暴な言葉を用い政治的表現がなされることがありますが、民主主
    義を守るためにある程度は社会がコストを負担する必要があります。
    日本での法規制は慎重にすべきです。取り締まるにしても対象を明確にし、
    なるべく限定的な内容にすべきでしょう。
     1970年代後半、ユダヤ系住民が多く住む米シカゴ郊外の村にネオナチ
    の団体がナチスの軍服を着てデモを計画したとき、村が条例によって規制し
    ようとしたことがあります。米自由人権協会は表現の自由に関わるとして団
    体への支援を決め、連邦地裁も条例が違憲という判決を下しました。米国で
    は表現の自由に対する意識が強く、ヘイトスピーチの法規制はありません。
     一方、ナチスによるユダヤ人排斥を経験した欧州では、刑事規制があるド
    イツをはじめ法規制が主流です。65年に人種関係法が制定された英国で
    は、人種に対する憎悪表現の文書や言葉の使用が規制され、86年の公共秩
    序法で演劇や映像の記録物など表現手法の対象を広げたほか、2006年に
    は宗教的憎悪にも拡大されています。
     法規制が一度導入されると、対象が次々に拡大される可能性があるので
    す。今年8月末、自民党がヘイトスピーチの法規制を含めた防止策を検討し
    た会合で、国会前の脱原発デモなどの規制を求める意見が出されました。9
    月1日に高市早苗政調会長(現総務相)は国会周辺のデモについての法的規
    制を否定する談話を発表しましたが、デモ規制に飛躍させようとする姿勢で
    は信頼を置くことはできません。
     ヘイトスピーチの法規制という外科的処置が実施されたとしても、根本的
    な問題解決のカギは教育です。中学や高校では近現代史の授業時間が短く、
    朝鮮半島の歴史や日本との関係がきちんと教えられていません。問題の本質
    を知り、人々の意識を変えない限り差別は残ります。(聞き手 編集委員・
    川本裕司)
    
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11380563.html
    
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    6)在特会にネオナチ、閣僚スキャンダル――日本の「ヘイトスピーチ」に手
    厳しい海外メディア (1/3)
    Business Media 誠 10月2日
    
     日本人の多くは、英語記事でどう日本が報じられ、評価されているのか知
    らないのでは。先週安倍首相が国連総会で演説を行ったが、それに合わせ
    て、海外メディアが日本の「ヘイトスピーチ」に関する記事を公開した。そ
    の内容はどういうものなのだろうか。
     9月25日、ニューヨークの国連本部で行われた国連総会で安倍晋三首相が一
    般討論演説を行った。安倍首相は国連加盟以来の日本による貢献を強調し、
    国連改革を実現して、日本が常任理事国入りする意思を表明した。
     今回の安倍首相による国連での演説を世界はどう報じたのか。欧米の大手
    メディアは、安倍首相が中国と韓国との関係改善を求めたことや、エボラ出
    血熱への対策を強調したことなどを報じている。また日本の英字紙では、内
    閣改造で女性閣僚が増えたことを評価したUN Women(ジェンダー平等と女性
    のエンパワーメントのための国連機関、参照リンク)のプムズィレ・ムラン
    ボ=ヌクカ事務局長のインタビューなども報じられている。
     国連総会によって安倍首相と日本に関する報道が増える中、それに関連し
    て日本の「ヘイトスピーチ」について報じた記事もいくつかあった。日本へ
    の注目度が普段よりも高まったタイミングで報じられたこれらの記事は、
    今、世界の人たちが日本について何を“知らされている”のかを知るいい機会
    だ。ここ最近で掲載された2つの記事を紹介したい。
    
    ○日本でヘイトスピーチが盛り上がった理由
    
     まずは英エコノミスト紙の記事(参照リンク)だ。「政治家たちは、2020
    年にオリンピックが行われるまでに非日本人、特に朝鮮民族に対する『言葉
    による虐待とあからさまなヘイトスピーチを抑える』という圧力にさらされ
    ている」と指摘する。日本には帰化していないコリアンが50万人おり、“歴
    史的に日本に敵視されてきた人たち”としている。
     同紙は、国会も裁判所も対応に向けて動きを見せていることに触れ、現在
    の日本でヘイトスピーチ騒動が盛り上がっている理由として、次の3点を挙
    げていた。まずは歴史問題が原因となっている日韓の緊張関係。次に北朝鮮
    の日本人拉致問題。そして3つ目は、2012年に再登板した“ナショナリスト”
    である安倍晋三首相だという。
      自民党は国外の日本に対するイメージを改善する必要性を分かっているも
    のの、最近、山谷えり子・国家公安委員長兼拉致問題担当相が在特会(在日
    特権を許さない市民の会)の関係者と写真に収まっていたことなどが明るみ
    になるなど、それもうまくいっていないと伝えている。
      非常にコンパクトにまとまった記事で、淡々と事実を述べており、日本人
    から見ても違和感なく読める新聞らしい仕上がりになっているところは評価
    できる。ヘイトスピーチが盛り上がった理由は私も同意するところだ。ただ
    1つ付け加えるとすれば、インターネットというテクノロジーが、点在して
    いたであろう人たちを結びつけて集団を作り、過激化させた部分があると感
    じている。
    
    ○安倍政権と在特会、ネオナチの関係
    
     もう1つは米Webメディアのデイリー・ビーストだ。デイリー・ビーストは
    最近まで米ニューズウィーク誌のネット版として運営されていただけに、世
    界的にそれなりの影響力がある。
     その記事は「この金曜日に国連で講演をする予定の安倍晋三首相だが、あ
    まり歓迎されないだろう」と始まる。そして、国連人種差別撤廃委員会が安
    倍政権に、外国人に対するヘイトスピーチを止めさせるよう促したことを指
    摘している。
      記事の内容は、基本的にエコノミスト紙とそう変わらないが、こちらのほ
    うがよりエッジが効いている。というのも、デイリー・ビーストは在特会と
    住吉会(また日本青年社、記事中では「ニホンセインシャ」と記されている
    が誤りだと思われる)との関係があると言及し、さらに安倍政権閣僚と在特
    会幹部、そしてネオナチ団体との関係について詳しく説明しているのだ。そ
    の閣僚とは、警察行政のトップである山谷国家公安委員長や稲田朋美・自民
    党政調会長、高市早苗総務大臣である。
      同記事は、在特会の幹部を「まるでKKK(米国の白人至上主義の秘密結
    社、クー・クラックス・クラン)の幹部のようだ」と呼び、サンデー毎日が
    報じた稲田政調会長と在特会の関係を指摘した上で、彼女がクールジャパン
    戦略担当でもあることから「日本ではどうも、人種差別がカッコいい(クー
    ル)らしい」という皮肉まで書かれている。
      デイリー・ビーストがこのスキャンダルに対して、ここまで手厳しいのは
    理解できる。もちろん外国人読者を引きつける話題という部分もあるだろう
    が、それよりも、国政を担う人たちの認識の薄さが信じられないのではない
    か。私もそう思う部分がある。
    
    ○日本の政治家は写真撮影に寛容だが……
    
     以前、ある欧米諸国の大使と食事会で同席したことがある。大使とフレン
    ドリーな雰囲気でプライベートな話などをしていたところに、別の参加者が
    「写真一緒にいいですか?」と大使に聞いた。
     すると大使は「写真は基本的に誰とでもダメという規則になっている」と
    言い、秘書らしき人物がニコッとしながら「ダメです」と告げた。不特定多
    数の人たちと出会う大使などになれば、どんな怪しい人と写真を撮るか分か
    らないため――ということらしい。
    (略)
     http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1410/02/news009.html
    
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    7)ネット中傷防止へ監視 県人権指針改定へ素案     千葉県
     YOMIURI ONLINE  10月3日
    
     千葉県は人権侵害防止の基本方針を示した「県人権施策基本指針」を10
    年ぶりに改定することを決め、2日、素案を公表した。インターネット上の
    中傷を防止するための監視のほか、差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表
    現)の防止に向けた異文化尊重の教育を進めることを初めて盛り込んだ。
     2004年の策定後、初の改定。素案に対する意見募集を11月4日まで
    行い、年度内に正式策定する。
     ネットを巡る人権侵害については新たに項目を設け、詳しく対策を明記し
    た。スマートフォンの普及で「誰もが簡単に加害者にも被害者にもなる危険
    性がある」と指摘し、子供の利用頻度が高い掲示板の監視を行い、人権侵害
    があればプロバイダーに対して削除を求めるとした。北朝鮮による拉致問題
    にも触れ、県民が関心と認識を深めるような啓発を行うとした。
    
    http://www.yomiuri.co.jp/local/chiba/news/20141002-OYTNT50384.html?from=tw
    
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    8)ヘイトスピーチ問題 来年2月に橋下市長に答申へ 大阪市審議会
     産経West 10月3日
    
     街宣活動で民族差別などをあおる「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)問題
    で、大阪市が取るべき方策を考える市人権施策推進審議会は3日、市役所で
    第1回検討部会を開き、今後のスケジュールを確認した。検討結果をとりま
    とめ、来年2月に橋下徹市長に答申することを目指す。
     部会は弁護士や大学教授らで構成。この日は市側から市内での街宣活動や
    デモ行進の状況について説明があった。
     ヘイトスピーチの抑止策を検討する橋下市長が9月に同審議会に諮問。ヘ
    イトスピーチ問題をめぐり、橋下市長は「在日特権を許さない市民の会」側
    と面談する意向も示している。
    
     http://www.sankei.com/west/news/141003/wst1410030085-n1.html
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    9)大学への脅迫を断じて許してはならない
    五十嵐仁の転成仁語  10月4日
    
     なんという世の中になってしまったのでしょうか。気に入らない教員の排
    斥を求めて、大学を脅迫する卑劣な行為が相次いだというのですから……。
     戦争に言論弾圧はつきものです。大学の自治や学問の自由、報道の自由へ
    の攻撃は戦争への道にほかなりません。
     特定秘密保護法の制定によって情報の秘匿と報道の統制が図られ、朝日新
    聞たたき(バッシング)によってマスメディアを委縮させ、大学を脅迫して
    教員を辞めさせる。このようなことが、今日の日本社会で堂々と行われ、し
    かもそれが異常なことだという危機意識が極めて薄い。
    これが現実なのです。こうして、戦争への道は掃き清められるということで
    しょうか。
     一昨日の『朝日新聞』の社説「大学への脅迫 暴力は、許さない」によれ
    ば、「かつて慰安婦報道に関わった朝日新聞記者が教授を務める帝塚山学院
    大(大阪狭山市)に9月、別の元記者が非常勤講師を務める北星学園大(札
    幌市)には5月と7月、それぞれの退職を要求し、応じなければ学生に危害
    を加えるという趣旨の脅迫文が届いた。警察が威力業務妨害の疑いで調べて
    いる」といいます。
     脅迫文には、「辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。釘を入れ
    たガス爆弾を爆発させる」「元記者を辞めさせなければ天誅(てんちゅう)
    として学生を痛めつける」などと書かれていたそうです。北星学園大には
    「爆弾を仕掛ける」という内容の電話もあったといいますから、このような
    脅迫を行ったのは1人や2人ではないでしょう。
    そればかりではなく、家族までもがネット上に顔写真や実名をさらされ、
    「自殺するまで追い込むしかない」「日本から出て行け」などと書き込まれ
    ているといいます。断じて許すことのできない蛮行だと言わなければなりま
    せん。
     これに対して「社説」は、「朝日新聞は8月、過去の慰安婦報道につい
    て、女性を強制連行したと証言した吉田清治氏(故人)に関する記事を取り
    消した。間違った記事を掲載してしまったことに対して多くの批判が寄せら
    れており、真摯(しんし)に受け止めている。しかし、だからといって学生
    を『人質』に、気に入らない相手や、自分と異なる考えを持つ者を力ずくで
    排除しようとする、そんな卑劣な行いを座視するわけにはいかない。このよ
    うなことを放任していては、民主主義社会の土台が掘り崩されてしまうだろ
    う」と指摘しています。
    その通りだと思います。このような卑劣な行為が放任されてはなりません。
    警察は刑事事件としてきちんと捜査し、犯人を捕まえて処罰していただきた
    いものです。あわせて、このような社会的な風潮を生み出し、言論による
    「脅迫」や「恫喝」を行っているに等しい右派論壇とそれに同調している新
    聞、雑誌、週刊誌の責任をも問いたいと思います。
     昨日の『毎日新聞』は「大学への脅迫 看過できない卑劣さ」という「社
    説」を掲げ、「今回の事件の背景には、一部の雑誌やネット上に広がる異論
    を認めない不寛容な空気がある。各地で深刻さを増すヘイトスピーチ(憎悪
    表現)にも相通じる現象だ」と指摘していました。大学への脅迫やヘイトス
    ピーチの「背景には、一部の雑誌やネット上に広がる異論を認めない不寛容
    な空気がある」というのです。
     昨日の『東京新聞』は「こちら特報部」で特集を組み、さらに詳しく「朝
    日バッシング」の「深層」を明らかにしています。そこには、「国動く時、
    排除の論理」「新たな『戦前』の序章?」という見出しが出ていました。
    出版物に「売国」「国賊」「反日」などの見出しを付ければ売れるというの
    です。商売での「小銭稼ぎ」に目がくらんで、出版人やジャーナリストとし
    ての良心や誇り、矜持を捨て去って良いのでしょうか。
     学生を「人質」に取り、暴力をちらつかせて大学を脅迫し、気に入らない
    教員を追い出そうとするようなことが許されれば、大学の自治も学問の自由
    も失われてしまいます。新聞記者時代の報道を理由に、このような理不尽な
    攻撃がなされれば報道の自由に対する脅威となり、ジャーナリストの自己規
    制や委縮を引き起こすことになるでしょう。
     日本における自由と民主主義は重大な脅威にさらされていると言わなけれ
    ばなりません。右翼的風潮に迎合して売れ行きを伸ばすために、一部の学
    者、評論家、出版人、ジャーナリストなどがそれに加担してしまったのは何
    とも残念です。
    http://igajin.blog.so-net.ne.jp/archive/20141004
    
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    10)【論壇】問われる社会のかたち 寄稿 斉藤正美
    北陸中日新聞 10月4日
    
    止まらないヘイトスピーチ 排外主義運動北陸でも
    
     「朝鮮人は殺せ」「反日害国人」などと訴えるヘイトスピーチが社会問題
    化している。このように特定の個人や集団に対して、国籍・人種・民族・宗
    教・性別・性的指向などに基づき、差別的な言動をする排外主義運動の現状
    を報告したい。
     内閣府の世論調査によれば、二〇〇〇年代にほぼ50%を維持していた韓
    国に親しみを「感じる」との意見が、「感じない」が60%になるという急
    降下が一二年に見られた。今や韓国、中国を「反日」と決めつける言説が並
    ぶマスコミ媒体もある。
     排外主義運動の主張は、「慰安婦の強制連行はなかった」など歴史認識に
    関しては安倍晋三首相や橋下徹大阪市長らと違わない。穏健派保守の中には
    「ヘイトスピーチ」はやり過ぎだが、「留飲が下がる」という人もいた。
     男女共同参画を批判する保守運動について共著「社会運動の戸惑い」をま
    とめた後、排外主義運動の研究をしようと仲間から声がかかった。
    
    「世論変えた」動員成果喧伝
    
     二〇〇九年八月、富山市で私自身も参加した「戦争と女性の人権を考える
    集い」に、関西から抗議に来た「在日特権を許さない市民の会(在特会)」
    を目の前にして覚悟が決まった。その後、在特会をはじめとする排外主義運
    動の集会やデモ、在特会らが京都朝鮮学校を襲撃した事件の裁判傍聴に通
    い、在特会に代表される運動関係者や支援者、それに対峙(たいじ)する人
    たちに聞き取りを行って来た。
     排外主義運動に関わる人たちと何度も会って話を聞くうちに、政治的な対
    抗行動を繰り返し、ネット発信で巧みに動員する運動のあり方全体を検証す
    る必要があると思うようになった。
     在特会が設立された〇六年には、勉強会を開いても五~十人しか集まらな
    かったというが、京都の朝鮮学校裁判の判決で暴言による名誉毀損(きそ
    ん)などで約千二百万円の賠償金が課された後の今年六月に彼らが開いた集
    会では、百人募集のところが満員、「嫌韓」の世論をもって「行動する保守
    運動が世論を変えた」と運動の成果を喧伝(けんでん)していた。
    
    平和、人権 戦後市民運動の歴史は
    
     民主党が政権を奪取した後の〇九年十二月、東京九段会館における排外主
    義運動の集会で聞いた発言は、私の意表をついた。「左翼はギターを弾き歌
    を歌うものから、街頭でデモするもの、糾弾するもの、爆弾を投げるものな
    どいろんな運動がある。運動が幅広くある。そうやって左翼はとうとう政権
    をつくった」。排外主義運動は、左翼や連合国軍総司令部(GHQ)がつ
    くったと称する「平和憲法」などの「戦後民主主義体制」を捨て去るべきと
    する一方、運動手法は、左翼をモデルに運動の立て直しを目指していた。
     排外主義運動は、安倍首相をはじめ現閣僚メンバーらを擁す日本会議など
    の主流保守運動を、論壇や講演会が中心の「きれい事保守」と批判し、自ら
    はデモ、街宣、集会、行政交渉などの行動を頻繁に行う。動画共有サービス
    やツイッターなども積極的に活用する。
     旭日(きょくじつ)旗を掲げる一方、スーツ姿などで「普通の市民」をア
    ピールも。三十~四十代が多く、女性もリーダーなど目立つ位置にいるが、
    職業や学歴などは他の運動とさしたる差異はない。ただし、主流保守と同様
    の歴史認識を持ち、在日コリアン、韓国、北朝鮮、中国などを激しく批判
    し、日教組、マスコミも敵視している。
    
    「普通の市民」担い手が強調
    
     北陸地方では排外主義運動はなじみが薄かったが、今年に入り変わった。
    既存の保守や一部マスコミと連携して、福井、金沢、魚津、高岡などでの
    「慰安婦」問題などのパネル展示、福井市の姉妹都市、米カリフォルニア州
    フラトン市での「慰安婦の碑」の阻止、ネットを通じて外国人労働者に反対
    する運動などが現れた。少なくない数の外国人労働者や在日コリアンが暮ら
    す北陸にも排外主義運動が進出し、「慰安婦は捏造(ねつぞう)」などと歴
    史を書き換えたり、外国人排斥の主張を広めたりしている。
     彼らは在特会のような「ヘイトスピーチはしない」と言うが、在特会など
    とつながりは強い。担い手の世代や性別、「市民」を強調し、ネットを多用
    するなどの運動の特徴も全国の排外主義運動と共通する。
    
     こうした運動が北陸にも浸透して来ている今、人権や平和の問題に取り組
    んで来た戦後の市民運動の歴史を再確認し、在日や外国人などのマイノリ
    ティーの問題に、共に取り組んでいく時にきている。私たちが問われている。
    
     さいとう・まさみ 富山大非常勤講師。専門は社会運動論。お茶の水女子
    大大学院博士課程修了。主な著書は「社会運動の戸惑い フェミニズムの
    『失われた時代』と草の根保守運動」(山口智美・荻上チキと共著、勁草書
    房)。「口述史料が映す米騒動の女性労働者 警察資料を越えて」を近刊準
    備中。富山県南砺市生まれ。
    http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/bunka/list/201410/CK2014100402000215.html
    
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    11)時代の正体(31)ヘイトスピーチ考 自治体の責務(上) 差別に
    協力して良いか
    神奈川新聞  10月4日
    
     在日コリアンを差別するヘイトスピーチ・デモが5日、川崎市内で再び行
    われる。昨春から6回にわたりデモを主催してきた男性が呼び掛けるものだ
    が、市は集会場所として公園の使用を許可した。市は「規制する法令がない
    以上、許可はせざるを得ない」と説明するが、識者からは「自治体には差別
    をやめさせる義務がある。公園の使用許可は差別に加担することになる」と
    指摘する声が上がる。
    
    
    ■□■
    
    「そもそも問題の設定の仕方が間違っている」。法学者で東京造形大教授の
    前田朗さんはそう切り出す。
    「『自治体はヘイトデモを規制できるか』という問いを立てれば、憲法は集
    会や表現の自由を保障しており、根拠法令がない以上は規制できないという
    結論になる。だが、規制か自由かという二者択一の問題ではない。正しい問
    いは、自治体はヘイトデモに協力しても良いか否か、だ」
    「朝鮮人を殺せ」「在日を日本からたたき出せ」と街中で唱えるヘイトス
    ピーチ。規制以前の問題としてその中身をまず問うべきだ、という問い掛
    け。公園の使用を認めた川崎区の担当者は「拒否の根拠となる法律や条令は
    なく、手続きに不備がない以上、不許可にはできない」と漏らすが、前田さ
    んは「デモの会場を提供することは差別と暴力の扇動に加担し、協力してい
    ることになる。その認識が薄いと言わざるを得ない」と話す。
     では、前田さんのいう「間違い」はなぜ起きるのか。「それは人種差別撤
    廃条約の存在が念頭に置かれていないからだ」
     日本を含む国連加盟国の9割が批准する同条約は人種差別を定義し、差別
    根絶に向けた取り組みを締約国に求める。2、4条では、政府が人種差別を
    しないことだけでなく、政府が民間の差別をやめさせること、協力してはな
    らないこと、非難することを義務付けている。
     ここでいう政府には地方自治体も含まれることを踏まえ、前田さんは言う。
     「公共施設の使用申請があった場合、行政は顧問弁護士に相談する。ほと
    んどの弁護士は条約のことを知らない。だから表現の自由を理由に、貸し出
    さなければ訴えられるとアドバイスする。だが、許可を与えた結果、デモで
    人権侵害がなされれば、被害者から損害賠償請求の訴えを起こされると考え
    るべきだ」
    
    ■条約の要請
     「国際社会の認識はヘイトスピーチを禁止すべきものとしており、地方自
    治体も差別をやめさせる義務を負っている。それは職員の良心の問題ではな
    い」。弁護士の師岡康子さんも「差別を止める責務」を説く。9月30日に
    開かれた神奈川人権センター主催のセミナーで、県内自治体の職員を前に続
    けた。
     「日本の法律の仕組みでは、加盟した条約はそのまま国内法になる。憲法
    98条で順守義務がうたわれており、条約は一般の法律より上位に位置付け
    られる。だから法律も条令も、条約に合致するように解釈しなければならない」
     その好例として引き合いに出すのが、2013年10月の京都地裁判決
    だ。京都朝鮮第1初級学校の前で「スパイの子」「キムチくさい」などと繰
    り返した街宣活動は民法上の不法行為にとどまらず、人種差別撤廃条約に違
    反する人種差別と認定した。
     なかでも評価するのが、街宣を行った在日特権を許さない市民の会(在特
    会)のメンバーらに学校の半径200メートル以内での街宣を禁止したこ
    と。「在特会を差別が目的の団体と認定し、差別が目的であると分かれば、
    条約に基づき公共施設の使用申請を拒否できる、拒否しなければいけないと
    いうことを示している」
     では、川崎で行われているデモはどうか。主催は個人の男性で、在特会の
    メンバーではない。だが、「KILL KOREA!」というプラカードを
    掲げ、「在日をたたき出せ」というシュプレヒコールを響かせる様子は在特
    会のデモと変わらない。参加者には在特会神奈川支部のメンバーもいて、昨
    年5月には在特会の桜井誠会長もマイクを握り、在日の排斥を叫んだ。
     ヘイトスピーチが社会問題となって以降、デモの告知サイトに「死ね、殺
    せ等の文言は厳禁」という記述が見られるようになったが、前田さんは「過
    去にそうした差別デモを行ったグループがまたやって来たというだけで当事
    者は精神的な被害に遭う」と指摘する。
    
    ■害悪の認識
     街中で差別落書きが見つかれば、自治体の職員が消す作業を行い、再発防
    止の啓発も行う。だが、ヘイトスピーチは野放しのままだ。
     横浜市の人権担当の職員は「国が法律で規制していない以上、市単独では
    やりづらい。在特会は市役所へ抗議に押しかけるなど各地でトラブルを起こ
    していると聞く。目立ってもめ事になり、ほかの仕事ができなくなる事態は
    避けたいのが本音だ」と明かし、「ヘイトスピーチがどれだけ深刻なもの
    か、十分認識できていないのは否定できない」と認める。
     師岡さんは自治体のできること、やるべきことの例として、人種差別禁止
    法を制定するよう国に要望を出す▽人種差別を許さない宣言を採択する▽公共
    施設の利用条約に人種差別行為に利用する場合の禁止条項を入れる▽差別禁
    止条例を制定する-などを挙げる。
     そこで強調するのはやはり、ヘイトスピーチがもたらす害悪の深刻さだ。
    「差別街宣を受けた京都の朝鮮学校の子どもは4年たった今も一人で留守番
    ができない。廃品回収の車を目にすれば街宣車を思い浮かべて体をこわばら
    せる」
    「たたき出せ」と呼び掛け、差別を広めることが地域社会に刻み付ける亀
    裂。否定できない属性への攻撃と恐怖で当事者に反論の言葉を失わせる沈黙
    効果。「少数者を黙らせ、それによって社会から排除する。これは民主主義
    の基礎自体を壊すものだ」
     問いは、表現の自由とは何のために守るべきものなのか、に行き着く。
     前田さんは言う。「憲法の前文には平和主義、国際協調主義が、13条に
    は個人の尊重、14条には法の下の平等がうたわれている。表現の自由をう
    たう21条をもって、憲法のこうした基本原理をひっくり返すことはできな
    い。行政はヘイトスピーチの中身に立ち入らず、中立の立場から表現の自由
    は大事だという。だが、先の戦争の反省に基づいてつくられた憲法は中立で
    はない価値理念に満ちている。その原理との整合性を考えれば、少数者の表
    現の自由を守るためにヘイトスピーチを規制するというのが正しい解釈だ」
    http://www.kanaloco.jp/article/78560/cms_id/104924
    
    
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    12)時代の正体(32)ヘイトスピーチ考 地方議員の務め(下) 言葉
    の力を信じて発信
     神奈川新聞 10月5日
    
     国はヘイトスピーチを規制する法律をつくるべきだ-。東京都国立市の市
    議会が人種差別を禁じる法整備を求める意見書を国に提出した。提案者の上
    村和子市議(59)は「誰もが安心して暮らせるよう、地域から声を上げて
    いくのは当たり前で、地方議員の務め。ほかの地方議会にも続いてほしい」
    と話す。
     国連の人種差別撤廃委員会がヘイトスピーチを規制するよう日本政府に勧
    告したのは8月下旬。意見書提出に迷いはなかった。
    「ヘイトスピーチは人権侵害であり、差別は表現の自由には当たらない。国
    連の勧告はまっとうなもの。意見書だって特別な内容じゃない。マイノリ
    ティーが安心して暮らせなければ、誰もが安心して暮らせるまちにならない」
     上村さんが案文を練り、議長を除く市議20人のうち19人が署名欄に名
    前を連ねた。「私は1人会派だが、自民も公明も共産も関係なく賛同した。
    少子高齢化を迎え、誰もが社会的弱者になり得る時代、国立市が『誰も排除
    しないまちづくり』を掲げていることもすんなり採択できた背景になった」
     それが必ずしも当たり前ではないと、すぐに気付いた。ヘイトスピーチ規
    制を求める「全国初の意見書」とNHKで報道されるや抗議の電話が市役所
    にかかってくるようになる。3日間で50件。過去にない事態だった。
     予感はあった。
     弁護士の師岡康子さんを講師に「ヘイトスピーチとは何か」と題した学習
    会を公民館で開いたのは、その1カ月前。裁判で不法行為と認定された京都
    朝鮮第一初級学校への差別街宣を収めたDVDを見た。「ゴキブリ朝鮮人は
    朝鮮半島へ帰れ」「保健所で処分しろ」と叫ぶ男たちの姿に上村さんは思った。
     「一部の過激な人がやっているといった遠い世界の話ではない。問題はこ
    れを許容する社会か否か、だ。差別を下支えする空気にこそ目を向けなければ」
    
     ■殺すを止める 
    
     抗議する人が意見書の全文に目を通しているようには思えなかったが、ほ
    とんどが「特に在日韓国・朝鮮人(コリアン)への人種差別的デモ・集会を
    する団体によるヘイトスピーチのまん延」という一文に怒りをぶつけてきた。
     自宅にもかかってきた。受話器を取ると女性だった。
    「在日は日本の国旗を侮辱して、従わない。もっと好かれる努力をすべき
    だ」と言う。上村さんが友人として知る在日コリアンからは遠く離れた在日
    像。少なくとも死ね、殺せというのは問題ではないかと聞き返すと「嫌われ
    ても仕方ない。在日は税金を払っていないじゃないか」と脈絡なくまくした
    てた。
    「在日の人も税金は納めている。議員である私が言っても、この女性は一円
    も払っていないと言い張る。税金を払っている自分は被害者だ、と」
     いわゆる「在日特権」としてインターネット上に流布し、ヘイトスピーチ
    の現場でもよく聞かれるデマ。事実無根のうそをうのみにし、自らを虐げら
    れた位置に置き、一方的に憎しみを肥大化させていく人たち。上村さんはゆ
    がんだ被害者意識の背後に差別を正当化する蔑視の闇をみる。
    「差別されて仕方のない在日が優遇されているのが許せない、という非常に
    激しい感情だ」
     そして思った、という。「この人は時代が時代になれば在日コリアンを殺
    すだろう。人を殺すには、殺せる自分にならないといけない。ヘイトスピー
    チを許容するということは、在日は差別されようが、何を言われようが、何
    をされようが構わないということだ。いま語られているのは、殺すための理
    由なのだ」
     安倍政権による集団的自衛権の行使容認に危機感を覚え、地方議員の一人
    として異を唱えてきた。戦争ができる国への歩みはしかし、足元の地域から
    始まっているのかもしれないとさえ思う。
    
     ■人の心動かす 
    
     蔑視に基づく「在日はわきまえろ」「好かれる努力をしろ」の叫び。「つ
    まり日本人に同化しろと要求している。そう言う人はその場の空気にすがる
    ように合わせて生きているのだろう」。いまに生きる人々の悲鳴に聞こえな
    くもない。「誰かに死ね、殺せという人は自分の命を慈しむこともできない
    だろう」
     地方議員だから、地域で生活に困窮した人たちと向き合う。老いや病気、
    失職をきっかけに転落はたやすい。
    「自分こそは多数派だという幻想にとらわれている人がヘイトスピーチに走
    るのだろう。誰もが社会的弱者になり得るし、自分も少数派だと自覚できれ
    ば助け合い、支え合うことができるのに。しかし、落後の不安が逆の方向へ
    駆り立てている」
     では、どうすれば。
     いま、恐怖感がある。
    「ヘイトスピーチをする一団が自分のところにも来たらどうなるだろうと考
    えるようになった。マイクの大音量に一人でも反論できるだろうか。だが、
    不安だからこそ発言を続けなければいけないと思う。そうして共感する仲間
    を一人でも増やしていくしかない」
     言葉で人の心を動かすのが政治家の仕事だから、その力を信じる。
     「意見書を出し、抗議を受け、問題の深刻さが見えてきた。思っていた以
    上にこの意見書には意味がある。だから、国会議員には重く受けてほし
    い」。そして、呼び掛ける。「意見書に限らなくてもいい。ほかの地方議会
    でも同じ思いを持つ議員に出てきてほしい」
    
    〈ヘイトスピーチを含む人種及び社会的マイノリティーへの差別を禁止する
    法整備を求める意見書〉
    
     国連人権差別撤廃委員会は8月29日、日本政府に対して、ヘイトスピー
    チ(憎悪表現)問題に「毅然(きぜん)と対処」し、法律で規制するよう勧
    告する「最終見解」を公表しました。
     日本が1995年に加入した「人種差別撤廃条約」では、参加国で差別が
    行われていないか、一定の期間を置きながら、国連の人種差別撤廃委員会が
    審査してきました。
     今回の「最終見解」は、日本への審査の総括として、同委員会が8月29
    日に採択したものです。最終見解は、日本のヘイトスピーチの状況にも言及
    しており、特に在日韓国・朝鮮人(コリアン)への人種差別的デモ・集会を
    する団体によるヘイトスピーチの蔓延(まんえん)や、政治家・公人による
    ヘイトスピーチが報告されたことや、メディアでのヘイトスピーチの広がり
    などについて、懸念が表明されています。さらに、そうした行為が適切に捜
    査・起訴されていないことも、懸念点だとしています。
     こうした懸念状況に対して、最終見解は、ヘイトスピーチを規制するため
    の措置が、抗議する権利を奪う口実になってはならないと指摘するととも
    に、「弱者がヘイトスピーチやヘイトクライムから身を守る権利」を再認識
    するよう指摘しました。
     そして、人種及び社会的マイノリティーへの差別的な表明や差別的暴力に
    断固として取り組むことや、メディアのヘイトスピーチと闘うため適切な手
    段をとること、そうした行為に責任のある個人・団体を訴追したり、ヘイト
    スピーチをする政治家・公人に制裁を科すことなどを、政府に勧告しています。
     一刻も早く人種差別撤廃委員会の31項目の勧告を誠実に受けとめ、ヘイ
    トスピーチを含む人種及び社会的マイノリティーへの差別を禁止する新たな
    法整備がなされることを、国立市議会として強く求めます。
    
    http://www.kanaloco.jp/article/78596/cms_id/105038
    
    
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●6.のりこえねっと動画アーカイブ公開のお知らせ
    
     のりこえねっとTVも放送を開始してから10か月が経過し、放送回数も50
    に届こうとしています。内容についても、多くのゲストの方の協力を得て、
    ヘイトスピーチ・レイシズムに対抗する番組として、中身のあるものができ
    たのではないかと考えております。しかし、のりこえねっとTVは、ニコニコ
    動画の生放送を利用しているため、アカウントを作成しログインしなければ
    視聴できず、放送後1週間で視聴できなくなるということもあり、多くの方
    に見て頂けませんでした。
     そこで、のりこえねっとでは公式サイトに動画集として「のりこえねっと
    動画アーカイブ」ページを公開し、これまで放送してきた番組をアーカイブ
    として見られるようにしました。まだすべての放送をみることはできません
    が、近日中にはご覧いただけるようにします。
     現在2014年6月4日~9月22日の番組が公開されております。
     このアーカイブのほとんどの番組には、放送の詳細レポートもあわせて掲
    載してありますので、これを読むだけでも概要がわかります。
     以下のURLをクリックするとご覧いただけます。のりこえねっとの公式サ
    イトトップページからも「動画集」のリンクがあります。
    
    http://www.norikoenet.org/movies.html
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●7.ヘイトスピーチまんが&シナリオコンテスト
       漫画大賞が決まりました
    
    「あなたと私とヘイトスピーチと」 こいけひろむ (ペンネーム)
    
     のりこえねっと・TRAIでは、なぜ彼らはヘイトスピーチをするのか、ヘイ
    トスピーチをされた人はどう感じるのか。ヘイトスピーチについて多くの人
    に知ってもらい、考えてもらうための漫画及び原作シナリオを募集してきま
    した。このたび、漫画大賞が決定しましたので、お知らせします。
     受賞作については、近日中に発行する予定です。発行が決まりましたら、
    あらためてお知らせします。
    
    http://www.norikoenet.org/manga_contest.html
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●8.ボランティアスタッフ募集(リサーチ、TVスタッフなど)
    
    のりこえねっとができて1年。これまで多くの皆さんに支えられて活動を進
    めてきました。しかし活動領域の大きさに比べると少ない人数での運営のた
    め、いろいろとご心配・ご迷惑をかけてきたことと思います。そこでより一
    層活動を充実するため、以下のボランティアスタッフを募集します。応募資
    格は、のりこえねっとの趣旨に賛同し、継続的に活動に参加できる方です。
    TVスタッフ(イベント時のボランティアは別)ボランティアスタッフの参加
    申込・お問い合わせはのりこえねっとのお問い合わせフォーム
    
    https://www.norikoenet.org/mail_form/contact2.html
    https://www.norikoenet.org/mail_form/contact4.html
    
    にご記入し送信ください。またこれ以外でも「こんなことならやれる」とい
    う方いたらお気軽にご連絡下さい。
    
    1)リサーチ(調査)スタッフ
    
     今後ヘイトスピーチ規制を求めていくためには、どれだけヘイトスピーチ
    が行われているかということや新聞報道などの基礎的データ収集が必要で
    す。また毎週放映しているのりこえねっとTVは、毎週幅広いテーマでヘイト
    スピーチについての番組を放送していますが、番組制作のためのデータ収集
    も必要です。そのための調査できる方を募集します。WEBを中心にリサーチ
    していただきますので、のりこえねっと事務所に来られない方でもOKです。
    
    2)TVスタッフ
    
     のりこえねっとTVは、毎週幅広いテーマでヘイトスピーチについての番組
    を放送しています。一緒に番組を制作、放送してみませんか。特に以下のよ
    うな技能での経験をお持ちの方を大歓迎します。
    ●インターネットTVでの配信
    ●ビデオカメラでの現場取材
    ●ドキュメント番組制作
    むろんこれらに携わったことがない方でも歓迎です。
    毎週月曜日の夜、午後7時~11時までのりこえねっと事務所(東京都新宿区
    大久保)まで来られる方が対象になります。
    
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ●9.編集後記
    
     2週間ぶりにのりこえねっと通信を担当しました。遅めの夏休みでフラン
    スに行ってきました。そこで感じたのは、フランスもさまざまな民族・国籍
    の住むところだということ。宿泊したホテルがあったモンマルトル近くはア
    フリカ系にルーツを持つ人たちでいっぱいでした。アジア系も町にあふれて
    いて、地下鉄のアナウンスもフランス語・英語・スペイン語・中国語・日本
    語と流れていました。日本もそうなる日が近いのか、それとも鎖国して世界
    から見捨てられるのか、今の私たちの選択がこの国の未来のかたちを大きく
    変える予感がします。
     2回にわたってのりこえねっと通信の編集をお願いしたHさんありがとう
    ございました。
    (か)
    
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ■のりこえねっと通信 0049号 2014年10月6日発行
    info@norikoenet.org
    発行:のりこえねっと事務局
    運営団体:のりこえねっと
    
    〒169-0072
    東京都新宿区大久保2-7-1大久保フジビル 311 ペンの事務所気付
    Tel.03-5155-0385/Fax.03-5155-0383
    
    公式サイトURL http://www.norikoenet.org/
    Twitter https://twitter.com/norikoenet
    
    ◆お問い合わせは、上記の公式サイト、最上部の各種
     「お問い合わせフォーム」よりご連絡下さい。
    
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