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大隅良典教授、『日本の将来の科学』を心配する必要はありません
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大隅良典教授、『日本の将来の科学』を心配する必要はありません

2016-10-06 23:15

     ノーベル賞。今年も日本人が選ばれてびっくりぽんです。

     そんな大隅良典教授が「日本の将来の科学」を繰り返し心配されているそうです。

     【ノーベル医学・生理学賞】大隅良典教授が心配する『日本の将来の科学』と繰り返し強調したこと

     でも、大隈教授にはぜひ安心してほしいのです。誰かこれから書くこと伝えてほしいです。

     大隈教授の心配は、「役にたつ」研究ばかりしていてはいけないということです。研究の分野では、「役にたつ」のかということが厳しく問われるようになってきているけど、それだけが科学ではないということです。

     確かに大学の研究はどんどんそういう方向に追い詰められています。大学の研究費はあらかじめ与えられるのではなく、いわゆる競争的資金の比率が増えて、それはつまり、「役に立つ」研究に分配されます。

     それだけでは科学はだめなことはみんな知っていますので、どの研究者も「役に立つ」研究を標榜して競争的資金を獲得しますが、それで得た設備や人材で、はるか将来のための研究も机の下でやります。もしもその行為まで咎められるようになったら、大学は研究所としては終わることでしょう。

     でも、実際年々その傾向は強まっているでしょうから、大隈教授の心配はごもっともです。

     しかし、心配する必要はありません。一方ではもっとすごい勢いで「役に立たない」研究が増えているからです。

     って、ニコ動の人なら常識ですけど、ニコ動始めちまたでは「役に立たない」研究が盛んにされています。#才能の無駄遣い、#なぜベストを尽くしたのか、#人類には早すぎる動画、などの多彩なタグの元、様々な「役に立たない」研究が行われています。

     それら全てが大学の研究に対してレベルが低いわけではありません。理由は二つ。

     ・ITなどの技術で個人でなんでもできるようになってきた。

     いろんなことがちょっとのお金でできるようになってきて、大隈教授のいう「知的好奇心で調べずには居られない人」たちは、大学にいなくても、めいめい調べるようになっています。

     ・みんな賢くなってる

     日本の地道な教育によって、日本人の平均的な学力はじわじわあがっています。ですから、多くの人が大学で行われているような研究並の研究を遂行できる力を備えるようになっています。

     先日、目をみはる研究の記事が流れました。

     16歳の高校生が「蚊に刺されやすい妹」を独自に研究した結果…世界的大発見!
    蚊に刺されやすい人は、足に必ず存在する菌「常在菌」の種類が非常に多いということを突き止めました!

     これ、蚊の専門家でなくても、研究者全員、身の毛がよだってないですか?

     いいですか?

     私が蚊の専門家としましょう。もし私がこの「蚊に刺されやすい」人に出会っていたら、きっかけはあったかもしれません。でもまずそういう人になかなか出会えないですよね。

     しかも、この研究の過程をみてください。妹さんの持ち物どんどん使ってますよね? 靴下など極めてプイベートなものまで。「蚊に刺されやすい」人に出会ったとしても、そんな実験はなかなかできないですよね?

     しかも、足の常在菌の培養とか、直接虫ではない分野もからんでます。もし、今虫の分野は菌も調べるのが常識ならすいません、でもそうでなければ、その点においては、蚊の研究家も高校生もある意味同じ土俵にいるわけです。

     私が蚊の研究家だとしたら、いったい研究家とはなんなのかと頭を抱えてしまうと思うのです。というか、私は蚊の研究家ではないけど、もう研究とはこういうものになってきているということです。

     研究で何か大きな成果を出したかったら、何かの研究分野に属してしまうより、広く構えて自分の前に訪れる研究チャンスをつかんだ方がいいかもしれないのです!

     ある研究テーマがあったら、選ばれた研究者だけがそれに取り組むより、社会の無数の「知的好奇心で調べずには居られない人」たちで取り組んだ方がいいという時代になっているのです。

     一方でクラウドファンディングも発達しています。ニコ動である研究が「面白い!」と思われれば、「役に立つ」かは別にして、投げ銭する人が出てきます。研究のエコシステムもでき始めているのです。

     今後はこれがどんどん発達するのです。

     研究者たちは、「もっと科学に税金を」と訴えますが、税金は日本人全員から出ていますから、科学なんかよりもっと優先すべきものがある(たとえば「保育所」と言われたら?)と思う人たちに反対されます。

     ですから、「役に立たない」研究が面白いと思う人たちにお金を出してもらうようにする方がよっぽど早道です。

     しかも、そういう人たちで固まって、その中でぐるぐるお金回した方が、みんな景気がよくなります。いわゆる地産地消と同じ考えです。ぐるぐる回るエコシステム作ったもん勝ちです。

     そうやってどんどん科学のエコシステムを作っていけば、巨大な加速器だって作れるようになるでしょう。かならず文句言われる税金なんかにへつらう必要はなくなるのです。

     ということで、大隅教授にはぜひこういう草の根研究とそれを支えるエコシステムの支援をしていただきたいと思います!!


    《ワンポイントミライ》(

    ミライ: 大学も税金以外の研究費がどんどん増えるといいですよね。

    フツクロウ: ホウじゃのう。税金を使うせいで、日に日に管理コストがあがっとるからの。

     
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