「いいね!」で学ぶ、世界一わかりやすいお金の仕組み(その3) の続きです。
お金は「いいね!」と同じような仕組みを持っているため、売れるものはますます売れるし、大半のものは売れないという構造を持ちます。それはそのまま個人の収入の差にもなるでしょう。
本当にそのような構造を持っているか、データで見てみましょう。
国税庁の民間給与の実態調査結果を使います。
図14に所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布というのがあります。
なんか平成22年って少し前のグラフですね。なんで少し古いの拾っちゃったのかよくわかりません。ごめんなさい。もう作っちゃったのでこのまま使います。
このグラフを読み取って、ロングテールのグラフを作ったものがこれです。全世帯数が4864万であることも使っています。
このデータによると、全国で収入の多い世帯から並べた時、2000万円だと、58万番くらいになります。
1000万円では580万番くらい。
500万円だと、2100万番くらいです。
これを(その3)で紹介したニコニコ動画再生数のグラフと比べるとよく似ていることがわかります。
やはり、お金の世界も「いいね!」と同じ無慈悲な超格差社会なのでしょうか。
(注:グラフは「いいね!」のグラフでなくニコ動の動画再生数です。「いいね!」のデータは持ってないので代用です。多分そんなに変わりませんが、すいません)
それを調べるには、このグラフを眺めるよりもっといい方法があります。
それは
ゼロから学ぶロングテール(その4)〜ロングテールの本質=規模別合計〜
で紹介したこのようなグラフを比べることです。
ニコ動には、1000万を超える化け物のような動画がいくつかありますが、それらの再生数を全部合計しても、再生数全体からすると、0.1%にしかなりません。
一方再生数が5桁つまり 1万から10万の動画は大量にありますから、それらの再生数を合計すると、全体の35%にもなります。つまり、適当に動画を見ると、3本に1本は再生数が5桁のものなのです。
グラフを見ると、中央の3つの範囲が大きな割合を占めています。再生数1000から100万までの合計で、90%になります。つまり普段見ている動画の大半はこの範囲に入ることになります。
さて、同じグラフを世帯所得で作ってみます。
ニコ動再生数とすごくよく似たグラフができました。
しかし、ここで注目すべきは横軸です。ニコ動再生数のときは、横軸の区切りは10倍でした。「1万から10万」といった風にです。しかし、世帯所得の方では、横軸の幅は「500万円から1000万円」とおよそ2倍です(一部「200万円から500万円」と2倍でないところがあります)。
中央の主要な3つの範囲を合計すると全体の91%をカバーすることになります。日本の全世帯が得ている所得の9割は、所得が200万円から2000万円の世帯に行き渡っているということです。
ニコ動再生数では9割をカバーするのに、再生数は1000から100万と1000倍もの広がりを見せていましたが、世帯所得では10倍です。
もちろん所得が200万円の世帯から見れば、同じ日本人の世帯のくせに、所得2000万円もあるとはなんて格差だと思って当然ですが、もしも、お金が、その原理である「いいね!」に忠実に振る舞っていたなら、今の感覚で2000万円の所得がある世帯は、20億円もの所得があることになります。
そんな格差社会、考えただけでも恐ろしいですが、昔奴隷制度があった頃は、実はそれくらいあったのかもしれません。
そして、今も、世界の地域によっては、100倍くらいは格差がありそうだという衝撃的なデータがあるのです……。
(つづく)
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: いやー、ちょっとそのデータ見てきましたけど、もう次行きましょうよ、次。ここで雑談してる場合じゃないですよ。
フツクロウ: ホッホッホ。まあそう急くなて。どうせ来週の月曜じゃ。