世界一わかりやすい経済活動の話(その6)の続きです。
ミライ:(その6)では、今景気を良くするために「狭い意味でのビジネス」を広げていかなければならないが、社会がそれに集中できてないという話でした。
フツクロウ: ホウじゃ。その問題については、冨山 和彦さんの『なぜローカル経済から日本は甦るのか』などで取り上げられているような、グローバル経済とローカル経済の違いを理解すると捗るかもしれん。ローカル経済ではたとえば駅の北口と南口にスーパーがあるとして、片方のサービスや価格が劣っているとしても、駅を乗り越えてまでいい方に行く手間を考えれば悪い方で我慢するということが容易に起こる。
まず、ローカル経済はグローバル経済とは違った仕組みで動いていることを認識しなければならない。しかし、メディアや政府や学問で対象になるのはグローバル経済ばかり。ここに最初の大きな問題がある。
ミライ: そうですね。ローカル経済の仕組みなんて聞いたことないような。
フツクロウ: 今回のシリーズは全てローカル経済を意識しとるぞ!
ミライ: なるほど〜、そういうことだったんですね。
フツクロウ: ホッホッホッ。しかも、「上場企業の経済活動が日本のGDPに占める割合は30%程度」である上、そういったグローバル経済とローカル経済の関わりがゆるくなっておる。つまり、ローカル経済は、グローバル経済が良くなるのを待っていても仕方ないんじゃ。なってもローカル経済は大して良くならんのじゃ。これがもう一つの問題。
ミライ: グローバル経済ばかり気にしていても仕方ないのですね。
フツクロウ: そう。そして、もう一つは、政府の支援もあてにできないということ。政府もローカル経済が大事だということはわかっておるから、「地方創世」に大々的に取り組もうとしておるが、(その4)でも話したように、税金というのは景気を良くする効果は非常に低い。
あるいは、ちょうど見つけたこの記事もわかりやすいの。
タダでおカネをもらえれば活性化しそうなものですが、ズバリ、地方創生に必要なのは「おカネそのもの」ではなく、「おカネを継続的に生み出すエンジン」なのです。
ミライ: お! なんか似たようなこと書いてありますね〜。
フツクロウ: ホッホッ。問題はわかっておるんじゃよ。でも政府としても効果がないからといってなにもしませんとはなかなか言えんからのう。ぶっちゃけ、大してできないので小さくなりますって小さくなるのがええと思うんじゃがの(苦笑
ミライ: うむむむむむ。みんなグローバル経済に目がいってローカル経済に集中できてない、グローバル経済が良くなってもローカル経済が良くなるわけでもない、政府の支援も上手くいかない。八方塞がり!!
フツクロウ: ホッ! じゃから、価値観の違う間での取引、狭い意味でのビジネスじゃよ、お嬢ちゃん。
ミライ: ハッ。確かにずっとそれやってたんでしたっけ。
フツクロウ: ホウじゃ。ここからはまず(その3)の復習じゃ。
ミライ: ハハー。
フツクロウ: 価値観の異なる間での取引がビジネスを生むという話をしてきたわけじゃが、昔はたとえば流通でその仕組みを作っていた。ミカンの産地ではリンゴを高く売り、リンゴの産地ではミカンを高く売る。間に卸しなどが入ることでそうなっておったし、人々もそれは仕方ないことだろうと受け入れて買っていた。
ミライ: はい。
フツクロウ: じゃが、流通が効率化し、 IT の発展で物の値段が全国でだんだん均一になることで、そのような仕組みは取れなくなってきた。同一物は同一価値という価値観が広く広く行きわたるようになってきている。これでは経済活動をしていても物々交換しているのと同じような効果しかない。良い景気が良い景気を生む連鎖は起こりにくい。