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8月30日に星出、サニータ両宇宙飛行士の船外活動(EVA)行われましたが、
電力切替装置(MBSU)交換において、ボルト固定がうまくいかず完了できなかった
ため、追加のEVAが9月5日20時06分から翌6日2時34分まで実施されました。
船外活動時間は6時間28分でした。
■作業前の準備
前回の作業終了後から、地上では対策チームがMBSU固定のためのチームが結成され
ボルト取り付け方法の検証や、効率の良いMBSUの設置方法など検証されました。
ボルトの取り付けに関する検証 画像:NASAより
MBSU設置の検証 画像:NASAより
その一環に、地上側で「ISSにあるものを利用して作れる」
ボルト受け口のゴミの除去を行う為のツール作成検討がなされました。
そして考えられたのが、ワイヤをばらして作られた
ワイヤブラシツールと、歯ブラシを利用したクリーニングツールです。
ワイヤブラシと、歯ブラシクリーナー 検証用のACMEボルト 画像:NASAより
これは、地上で作成方法をまとめ、その後
ISSのクルーに伝えられ、星出宇宙飛行士達が作成しました。
(家で似たようなことをやる場合は、使い古しを使ったりしますが
今回の歯ブラシが新品か使い古しかどうかは、残念ながら確認出来ませんでした。)
■電力の冗長度が低くなったISS
MBSUはISSに4つあり、8系統ある太陽電池パネルからの電力を管理します。
1つで2系統管理となりますが、今回その一つ、MBSU-1が停止状態となり
全体の25%が使えなくなりました。
また、別途障害で9月2日にMBSU-3に接続している、太陽電池パネル1系統途中にある
DCユニットの調子が悪くなり、さらに12.5%供給の減っている状態となり
ISS全体として62.5%しか電力が使えない状態となっていました。
そのため、電源を回復するための追加EVAが素早く行われた経緯となります。
■船外活動
今回の船外活動での最も重要な作業は、MBSUの交換です。
星出宇宙飛行士はロボットアームに固定し、仮止めしているMBSU-1のネジの取り外しを行いました。緩めるときも、すぐには取れずに何度かトライして、外すことが出来ました。
MBSUの画像 画像:NASA/JAXA
MBSUにはボルト止める箇所が2つありますが
ボルト止めが出来なかった穴は、汚れている状態となっていました。
窒素ガスのブロアー 画像:NASA
ワイヤブラシでのクリーニング 画像:NASATVより
まず、カメラで状態を確認した後、作成したワイヤブラシでクリーニング。
窒素ガスボンベでチリ破片の清掃を行い、グリスがついている歯ブラシでクリーニング。
同サイズのボルトを使用して、ボルト穴の山を慣らすことを兼ねて、締まることを確認しました。
清掃とテストを行ったうちに、再度MBSUを取り付け作業。
星出さんが手締めを行い、無事設置することが出来ました!
交換したMBSU-1の稼働もうまくいき、ISSの電力が25%分回復しました。
(DCユニットは現在調査中ですが、後日EVAで交換される可能性があります)
MBSU交換後は、オプションの追加作業として
ISS のロボットアーム・ステーション共通カメラ/照明装置(CLPA)の交換を行い
船外活動を終了しました。
船外活動中の星出宇宙飛行士 バイザーをあげています 画像:NASA
http://spaceflight.nasa.gov/gallery/images/station/crew-32/html/iss032e025152.html
■今後の日本に関するイベント
追加EVA作業により、係留が延期されていた、こうのとり3号機(HTV-3)ですが
分離は13日(木)0時50分頃となりました。
再突入は14日(金)14:24頃となります。
小型衛星の放出に関してもおって、発表があるでしょう。
■宇宙飛行士の活躍
これは、私見ですが・・・
アポロ12号のピート・コンラッド宇宙飛行士は、月に降り立った事よりも
トラブル続きであったスカイラブを回復させた事に対して、飛行士キャリアのハイライトであると感じていました。
アポロ11号のニール・アームストロング宇宙飛行士のキャリアに関しても
アポロ以前、ジェニミ宇宙船でドッキングシステムをテストしていた際に
ドッキング側の機器故障が発生。宇宙船のコントロールを失いかけた状態を回復させ、無事に緊急帰還したことが大きく評価されていました。
宇宙飛行士は、通常時に安定してパフォーマンスを出すことも重要でしょうが
トラブルシュートの時にこそ「飛行士がそこにいる」重要性をより感じるのでしょう。
星出さんは今回の対応により、大きな経験を得ており、コントロールセンターからの評価も非常に高いと感じられます。
また、今後のMBSU交換の指標となるでしょう。
現代の宇宙飛行士でもトラブルの際にも慌てず、地上と密接に連携し、対応出来る能力が重要です。
二回のEVA、一度目はうまくいかず引き返し、準備をおこない、対応を行い、完了する。
途中過程でどのような心境であったのかも含め、無事地上に戻ってきたら、是非お話を聞いてみたいところです。
二回にわたる船外活動、おつかれさまでした。
■参考情報
NASA Williams, Hoshide Complete MBSU Installation
http://www.nasa.gov/mission_pages/station/expeditions/expedition32/exp32_eva3.html
NASA ISS On-Orbit Status 09/05/12
http://www.nasa.gov/directorates/heo/reports/iss_reports/2012/09052012.html
nasaspaceflight.com ISS program approve new EVA following MBSU-1 installation failure
http://www.nasaspaceflight.com/2012/09/iss-program-recovery-plans-mbsu-1-installation-failure/
SPACEFLIGHT NOW Spacewalkers to try power repair again Wednesday
http://www.spaceflightnow.com/news/n1209/02eva/
JAXA 星出宇宙飛行士、作業を完遂して船外活動を終了(2012年09月06日)
http://iss.jaxa.jp/iss/jaxa_exp/hoshide/news/120905_eva_end.html
JAXA 星出宇宙飛行士、2回目の船外活動を開始(2012年09月05日)
http://iss.jaxa.jp/iss/jaxa_exp/hoshide/news/1200905_eva_begin.html
アンドルー・チェイキン「人類、月に立つ A MAN ON THE MOON」
(NVS関東 きみ@Lica )
電力切替装置(MBSU)交換において、ボルト固定がうまくいかず完了できなかった
ため、追加のEVAが9月5日20時06分から翌6日2時34分まで実施されました。
船外活動時間は6時間28分でした。
■作業前の準備
前回の作業終了後から、地上では対策チームがMBSU固定のためのチームが結成され
ボルト取り付け方法の検証や、効率の良いMBSUの設置方法など検証されました。
ボルトの取り付けに関する検証 画像:NASAより
MBSU設置の検証 画像:NASAより
その一環に、地上側で「ISSにあるものを利用して作れる」
ボルト受け口のゴミの除去を行う為のツール作成検討がなされました。
そして考えられたのが、ワイヤをばらして作られた
ワイヤブラシツールと、歯ブラシを利用したクリーニングツールです。
ワイヤブラシと、歯ブラシクリーナー 検証用のACMEボルト 画像:NASAより
これは、地上で作成方法をまとめ、その後
ISSのクルーに伝えられ、星出宇宙飛行士達が作成しました。
(家で似たようなことをやる場合は、使い古しを使ったりしますが
今回の歯ブラシが新品か使い古しかどうかは、残念ながら確認出来ませんでした。)
■電力の冗長度が低くなったISS
MBSUはISSに4つあり、8系統ある太陽電池パネルからの電力を管理します。
1つで2系統管理となりますが、今回その一つ、MBSU-1が停止状態となり
全体の25%が使えなくなりました。
また、別途障害で9月2日にMBSU-3に接続している、太陽電池パネル1系統途中にある
DCユニットの調子が悪くなり、さらに12.5%供給の減っている状態となり
ISS全体として62.5%しか電力が使えない状態となっていました。
そのため、電源を回復するための追加EVAが素早く行われた経緯となります。
■船外活動
今回の船外活動での最も重要な作業は、MBSUの交換です。
星出宇宙飛行士はロボットアームに固定し、仮止めしているMBSU-1のネジの取り外しを行いました。緩めるときも、すぐには取れずに何度かトライして、外すことが出来ました。
MBSUの画像 画像:NASA/JAXA
MBSUにはボルト止める箇所が2つありますが
ボルト止めが出来なかった穴は、汚れている状態となっていました。
窒素ガスのブロアー 画像:NASA
ワイヤブラシでのクリーニング 画像:NASATVより
まず、カメラで状態を確認した後、作成したワイヤブラシでクリーニング。
窒素ガスボンベでチリ破片の清掃を行い、グリスがついている歯ブラシでクリーニング。
同サイズのボルトを使用して、ボルト穴の山を慣らすことを兼ねて、締まることを確認しました。
清掃とテストを行ったうちに、再度MBSUを取り付け作業。
星出さんが手締めを行い、無事設置することが出来ました!
交換したMBSU-1の稼働もうまくいき、ISSの電力が25%分回復しました。
(DCユニットは現在調査中ですが、後日EVAで交換される可能性があります)
MBSU交換後は、オプションの追加作業として
ISS のロボットアーム・ステーション共通カメラ/照明装置(CLPA)の交換を行い
船外活動を終了しました。
船外活動中の星出宇宙飛行士 バイザーをあげています 画像:NASA
http://spaceflight.nasa.gov/gallery/images/station/crew-32/html/iss032e025152.html
■今後の日本に関するイベント
追加EVA作業により、係留が延期されていた、こうのとり3号機(HTV-3)ですが
分離は13日(木)0時50分頃となりました。
再突入は14日(金)14:24頃となります。
小型衛星の放出に関してもおって、発表があるでしょう。
■宇宙飛行士の活躍
これは、私見ですが・・・
アポロ12号のピート・コンラッド宇宙飛行士は、月に降り立った事よりも
トラブル続きであったスカイラブを回復させた事に対して、飛行士キャリアのハイライトであると感じていました。
アポロ11号のニール・アームストロング宇宙飛行士のキャリアに関しても
アポロ以前、ジェニミ宇宙船でドッキングシステムをテストしていた際に
ドッキング側の機器故障が発生。宇宙船のコントロールを失いかけた状態を回復させ、無事に緊急帰還したことが大きく評価されていました。
宇宙飛行士は、通常時に安定してパフォーマンスを出すことも重要でしょうが
トラブルシュートの時にこそ「飛行士がそこにいる」重要性をより感じるのでしょう。
星出さんは今回の対応により、大きな経験を得ており、コントロールセンターからの評価も非常に高いと感じられます。
また、今後のMBSU交換の指標となるでしょう。
現代の宇宙飛行士でもトラブルの際にも慌てず、地上と密接に連携し、対応出来る能力が重要です。
二回のEVA、一度目はうまくいかず引き返し、準備をおこない、対応を行い、完了する。
途中過程でどのような心境であったのかも含め、無事地上に戻ってきたら、是非お話を聞いてみたいところです。
二回にわたる船外活動、おつかれさまでした。
■参考情報
NASA Williams, Hoshide Complete MBSU Installation
http://www.nasa.gov/mission_pages/station/expeditions/expedition32/exp32_eva3.html
NASA ISS On-Orbit Status 09/05/12
http://www.nasa.gov/directorates/heo/reports/iss_reports/2012/09052012.html
nasaspaceflight.com ISS program approve new EVA following MBSU-1 installation failure
http://www.nasaspaceflight.com/2012/09/iss-program-recovery-plans-mbsu-1-installation-failure/
SPACEFLIGHT NOW Spacewalkers to try power repair again Wednesday
http://www.spaceflightnow.com/news/n1209/02eva/
JAXA 星出宇宙飛行士、作業を完遂して船外活動を終了(2012年09月06日)
http://iss.jaxa.jp/iss/jaxa_exp/hoshide/news/120905_eva_end.html
JAXA 星出宇宙飛行士、2回目の船外活動を開始(2012年09月05日)
http://iss.jaxa.jp/iss/jaxa_exp/hoshide/news/1200905_eva_begin.html
アンドルー・チェイキン「人類、月に立つ A MAN ON THE MOON」
(NVS関東 きみ@Lica )
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