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『NEWSを疑え!』第363号(2015年1月19日特別号)
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【価格】1,000円/月(購読料のうち半分は、研究所の活動に対する維持会費とお考えいただき、ご理解をいただければ幸いに存じます。)
【発行日】2015/1/19
【発行周期】毎週月曜日、木曜日
【次回配信予定】1/22
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【今回の目次】
◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・これが米中央軍ツイッター乗っ取り事件の実態だ
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・「電話閣議」の前にやるべきこと(小川和久)
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◎テクノ・アイ(Techno Eye)
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・これが米中央軍ツイッター乗っ取り事件の実態だ
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
1月12日、米軍の中央軍司令部のツイッターのアカウントと動画共有サイトYouTubeのチャンネルが乗っ取られた。中央軍司令部が中東での米軍の行動に関する宣伝に使ってきたものだ。
ハッカーは「サイバー・カリフ国」を名乗り、イラクとシリアの「イスラム国」に対する忠誠を宣言し、米軍の機密文書だという画像や、「イスラム国」の宣伝映像を発信したが、必ずしも「イスラム国」の支持者でない可能性も高いと見られる。
しかし、今回のアカウント乗っ取りで米軍の機密が漏れた可能性は低く、兆候もない。ハッカーが乗っ取ったコンピュータは、米軍のものではなく、ツイッターとYouTubeのものだったからだ。
米中央軍のツイッター・アカウントとYouTubeチャンネルは、米東部時間の1月12日午後12時30分ごろ乗っ取られ、2時間以内に停止された。その間、ツイッターには、「米兵よ、われわれはやって来る。背後に気をつけろ。ISIS」といったメッセージ、中国と北朝鮮に関する米軍のシナリオだというパワーポイント画像、米軍の兵器の価格に関する文書などが表示された。
ここでまず、ハッカーが「イスラム国」の支持者や関係者でない可能性が浮き彫りになる。仮にハッカーが「イスラム国」の支持者であれば、現時点で「ISIS」という名称を使うこと自体が不自然だ。ISISとは「イラクとシャーム(大シリア)のイスラム国」を指しているが、「イスラム国」と支持者は2014年6月29日、この国名から「イラクとシャーム」という地名を削除しているからだ。
ツイッターで表示した文書や画像にしても、米国の国防総省や議会が以前から公開していたものや、誰でも公開情報から作成できるものだ。そもそも、中国と北朝鮮は米中央軍の管轄外なので、両国に関するシナリオと称する画像は、ハッカーが米中央軍の機密を入手した証拠にはならない。
ハッカーが「中国に関する米軍のシナリオ」だという画像。
左上のロゴはマサチューセッツ工科大学リンカーン研究所
(下)のものなので、同研究所が作成した資料とみられる。
したがって、ハッカーが米中央軍のコンピュータに侵入した証拠はないし、「イスラム国」について知識のある支持者だという証拠もないのが現状だ。
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