岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/03/29

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/11/13配信「トランプ当選の理由とNスペ宮崎駿復活生実況」の内容をご紹介します。
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2016/11/13の内容一覧

刑務所・戦争を民営化したアメリカ、次はトランプによる政治の民営化

 結論からいうと、僕はドナルド・トランプのことをかなり評価しています。
 たぶん、去年の秋くらいから評価していたんですけども、それはなんでかっていうと、政治を民営化しようとしているから。つまり、第45代アメリカ合衆国大統領として評価しているのではなくて、株式会社アメリカ合衆国の初代社長として評価しているんですね。
 トランプがやろうとしているのは、僕は「政治の民営化」だと思います。たとえば刑務所、アメリカでは刑務所が民営化されています。これは、いろんな本で紹介されているし、ニコ生で言ったこともあるんですけど、なんでかっていうとどんどん刑務所に収監される人が多くなってるからですね。
 放り込まれる人が多くなってきて、たとえば州によってはスリーアウト法という法律があると。これはなにかというと、3回逮捕されて有罪になったら、一生刑務所に放り込まれるという法律ができちゃった。州によっては、ホームレスが犯罪であるということもある。
 1回仕事をクビになってホームレスになったら、ホームレスは犯罪だから逮捕されちゃうわけですね。そうすると、これでワンアウト。ホームレスになって逮捕された人が刑務所から出てきたときに雇う人がいるかというと、そりゃ、いないですよね。なので、またホームレスになるしかない、そうするとまた逮捕される、これでツーアウト。それで出所して、一所懸命就職活動をする。でもこの人には2回逮捕歴があるんですよ、そうすると今のアメリカでは、2回逮捕歴がある人間を雇う人間がいるのかと、ほぼいないんですね。なので、隠れながらホームレスをすることになる。
 2か月くらい前にTBSテレビの「クレイジージャーニー」で、ラスベガスの地下に住む人たちがオンエアされました。なんでラスベガスの地下に住むのかというと、逮捕されないためなんですよ。
 ホームレスと言いながら、その人たちはラスベガスの地下道に住み、コンビニに行って働いたりしてるんですね、でも住むところがない。今のまま警察に捕まっちゃったら、コンビニで働きながらちゃんと収入を得ていながら「住む家がない」というだけの理由で逮捕されてしまう、そうするとスリーアウトになっちゃうんですね。そうすると無期懲役で、一生刑務所生活になってしまう。
 アメリカでは今、お金持ちのあいだで刑務所経営が大ブームです。刑務所経営をしませんか、というそういうコンベンションがしょっちゅうアメリカで開かれていて、そこにはプライベートジェットやアメリカ中の金持ちが集まってきて、民営化された刑務所を私有するしようとしている。なんでそんなことをするのかっていうと、まず補助金がすごいから。なかの受刑者たちに労働させるんです。
 じつは受刑者たちには権利で、たとえば、石鹸は支給されるんです。シャワーを浴びる権利はある、石鹸は支給される、でも、その石鹸というのは極端に性能が悪いというか、粗悪な石鹸なんですよ。そこでシャンプーを使いたい、良い石鹸を使いたいと思うと、全部、刑務所内の売店で買わなければいけない。
 じゃ、どうやって稼ぐのかというと、刑務所ではすごい格安の労働力というのを提供させるわけですね。「リアルカイジ」というコメントがあったんですけど、本当にその通りです。17年くらい前まではアメリカでテレホンセンターに電話すると、中国人が出てきて、怪しげな中国なまりの英語で対応したわけですね、「ハイハイ、電話アルカ、デハ、ダイヤル3ヲ、オスヨ」というふうな感じで英語で対応していたのが、今、めちゃくちゃ綺麗な英語で対応する。
 それはなんでかっていうと、もうテレホンセンターみたいなものは中国に出すんじゃなくて、アメリカの受刑者のほうが、刑務所に放り込まれている犯罪者のほうが安いからなんですね。そうやって、安い労働力として、そして一生刑務所から出れない、終身受刑者たちを奴隷のように使いながらという制度がアメリカではまわり始めている。
 こういうふうに刑務所経営が儲かるとわかっているので、アメリカでは民営化を始めたんですね。僕はこの例で説明していることでわかるように、僕はトランプが大統領になるというふうなことはああそうだろうなと思うし、トランプはそこそこいい大統領になると思うんですけど、同時にこういうふうにアメリカはなっていくだろうというですね、絶望感も自分のなかにあるというのをちょっと理解してほしいんですね。

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