岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/04/11

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/11/20配信「『この世界の片隅に』誰もが評論を諦める高難易度作品を語るよ!!宮﨑駿あなたが川上量生にそれを言っちゃいます?」の内容をご紹介します。
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2016/11/20の内容一覧

キャラクターを信じさせる描写①綿密な取材

 この片渕監督、主人公の「すず」というキャラクターをずーっとね、「すずさん」というふうにインタビューでも呼んでるんだよね。それくらい、実在するものとして作者、映画監督のなかに住んでいる。
 ひとえに、この「すずさん」というキャラクターを実在させるというのかな、信じさせるために3つのポイントを立てたと言ってるんだね。1つ目は徹底した現地取材、広島の街とか、呉の街の取材がすごい。これまでみたアニメのいわゆる聖地っていうのがあるじゃん、つまり、ある地方都市とかをすごいちゃんと背景とかで描いたので、そこが聖地になりましたというのが、言い方申し訳ないけど、はっきり言ってそんなのがバカみたいに見えるくらい、描写がすごい。
 とくに、その時代にタイムスリップしていったとしか思えない、ホントにもう存在しないわけだよ、だって広島なんて原爆で消えちゃった街だし、呉もそうなんだけども、B29の爆撃で、絨毯爆撃でほとんど街が燃えちゃったんだ。だから今はない、もう僕らが見ることはできない街っていうのを、あらゆる資料を調べに調べて存在させたんだよ。その描写がものすごい。

(中略)

 あと「仮現運動」というのがあって、これは心理学用語なんだけど、この「すずさん」を信じさせるための三つのポイントのふたつ目ね、仮現運動。
 仮現運動というのはなにかっていうと、点が2つ点滅して、交互についたり消えたり、ついたり消えたりしていると、人間の眼にはこれが動いているように見えて、おまけに残像まで見えてしまう。こういう見えていないものを補完して動いているように見えるっていうのを仮現運動というふうに言うんだけども、アニメーションの原理というのはこの仮現運動でできてるんだ。
 監督がインタビューで答えてるんだけど、これまでのアニメーションというのはロングレンジの仮現運動でできていた、だから、中抜きというのが存在する。中抜きっていうのはどういうことかっていうと、原画で大きい人間の動きをやった時に、途中で、動画で本来埋めるべきところをわざと動画を抜いちゃうんだ。そうするとスピーディーに動いているように見える。

(中略)

 ところが今回、『この世界の片隅に』で使われたのはショートレンジの仮現運動で、人間のものすごい細かい、小さい動きを、あえてなかの作画を一杯入れることによって人間の眼に残像現象を起こすという実験をやってるんだ。それが冒頭の、たとえば行李(こうり)っていう大きい荷物をすずが担ぐシーンとかで、ものすごいゆっくりした動きをやってるんだけども、めちゃくちゃリアルに動いて見えるし、動きがかわいらしいんだね。

(中略)

 だから『この世界の片隅に』という一作で、ジブリっていうのは過去のアニメになったなって、僕は思ったよ。映画とかアニメって残酷だよね、たった1本で、そこまで時代というのができちゃうんだよ。『シン・ゴジラ』のおかげでアクション映画、パニック映画というのが変わってしまうのと同じように、『この世界の片隅に』のおかげでたぶん、日常アニメっていうのもそうだし、あらゆるアニメーションの最前線でいっぱい表現やっている人とか劇場やってる人はすごいショックだと思うよ。あー、なんか俺ら、これからなにを作ればいいんだろうというふうに。

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