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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『シン・ゴジラ』で考える、戦後日本と核兵器の関係」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『シン・ゴジラ』で考える、戦後日本と核兵器の関係」

2017-08-05 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/08/05

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2016/08/07配信「『シン・ゴジラ』のテーマを掘り下げる~ネタバレ御免の一問一答SP」の内容をご紹介します。
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    2016/08/07の内容一覧

    『シン・ゴジラ』のなかでの核兵器の意味

     『シン・ゴジラ』のクライマックスちょっと前ですね、つまりゴジラを凍結させれるかもわかんない、ヤシオリ作戦の少し前にですね、主人公の矢口くんの親友の赤坂さんと矢口くんの間の会話があります。
     それはヤシオリ作戦があるのはわかるんだけども、もう国連軍、多国籍軍の核攻撃、熱核攻撃を東京にさせるべきだっていう赤坂さんの主張と矢口さんのですね、いや、そんなことをやらせてはいけないという主張のぶつかり合いですね。
     で、赤坂さんが言うのはですね、ほとんど普段聞けないような話なんですね。
     我々日本に今必要なのは何なのかわかってんのかと。もうゴジラが来て、こんだけ首都を破壊したんだぞ。もう日本の株価っていうのはどん底にまで下がってるし、日本の国債だって誰も買う奴はいないし、もうこのまま日本っていうのはデフォルト起こすかもしれない。
     デフォルトっていうのは何かって言うと、国家の破産宣言だと。そうなると敗戦よりつらい経済的な終わりが待ってるんです。
     もう日本っていうのは終わってんだよ。その日本をもう一回復興させるには国際社会の理解と同情が必要なんだ。そのための核攻撃なんだって言うんです。
     この赤坂さんの言い草は何かって言うと、もう一回アメリカに罪悪感を与えようっていうことなんですよ。
     つまり、日本に対して戦後、ものすごくアメリカっていうのは優しくしてくれた。それはもちろんアメリカの謀略、戦略っていうのもあるんでしょうけども。何よりも日本に来た進駐軍っていうのもそうですし、日本に対する援助っていうのも、そん時のアメリカ人の優しさっていうのは、ヨーロッパの復興の時の比ではないんですね。
     とにかくアメリカ中の色んな食料業者が日本に対して無条件で食料を送ったりしてた。
     つい、この間まであんなに忌み嫌っていた日本になんでそんなことをしたのかって言うと、どっかに核攻撃に対する負い目とか罪悪感があるからだ。
     そういうふうなものをもう一回利用することを考えること。そういう一般市民だったら絶対に考えられないし、理解できないことを決断するのが政治家の役割じゃないかっていうのを赤坂さん、ガーンと言うわけです。
     どこかに核攻撃に対する負い目とか罪悪感があるからだと。
     そういうものを、もう一回利用することを考えること。「そういう一般市民だったら考えられないし、理解できないことを決断するのが政治家の役割じゃないか!」というのを、赤坂さんはガーンと言うわけです。
     俺もこれを映画館で見たときに「すごいことを言い出したな」と。
     つまり、それはよく悪役が「人間なんて、滅びてもしょうがないんだ!」とか「人間なんてクソだ!」なんていうことを言いますよね。
     でもそうじゃなくて、正義の味方側の友達が悪魔の囁きをするという、すごいシーンですね。
     それは国際支援と国際社会の同情を得るしか、ここまで追い込まれた日本には取れる手段がないという。“罪悪感”による同情を引くための熱核攻撃の許容ということなんです。
     さて、それは今の日本の繁栄というのは、広島と長崎の犠牲と、その共犯者意識っていうのは変なんですけども、「広島と長崎にだけ犠牲を強いた、残りすべての日本国民の共犯者意識によってるんじゃないのか?」というのが、クライマックスでの、作者・庵野秀明としての発言だと思うんですね。

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