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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「究極の自由主義者「リバタリアン」って何だ?」

2017-09-05 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/05

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2016/07/17配信「ハインラインの世界~政治論炎上の根源を理解する最上の教科書」の内容をご紹介します。
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    2016/07/17の内容一覧

    個人より大きなものを拒否するリバタリアンの「絶対自由」

     ロバート・A・ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』から、合理的無政府主義、リバタリアンっていうのを考えてみたいと思います。
     革命戦士であるヒロインのワイオという女の子は、月の未来のためなら命をも投げ出す値打ちがあると熱弁するんですね。しかし主人公のマンは反対して、どのような政府や集団の命令によっても、自分は命を投げ出さないし、金だって一円も払うつもりはない、と言い張る。
     しかし同時にマンは、自分の家族とか自分の仲間のためだったら喜んで命でも金でも投げ出すと言うんですね。ワイオは「矛盾してるじゃないか、あなたは国のために、みんなの未来のためには命も金も出さないと言う。どこが違うの」。マンは「説明しにくいんだけど、俺が言ってるみんなっていうのは、俺が責任を持ってるみんなのことであって、俺が責任もたないようなみんなは知らないよ」というふうに言うんですね。
     これに対してもうひとりの登場人物、教授は「合理的無政府主義」という言葉で説明します。教授は、たとえば国家による死刑というのを認めてないんですね。死刑にすべき人間がいたら、自分で殺すよと教授は言うんです。
     自分で殺してその責任は自分で負う。たとえば、そいつを殺すことでみんながいけないことだって言ってお前の財産を没収するとか、お前も殺すとか言われるんだったら、それは従うよ。
     でもそうでない限り、殺すべきだと思ったやつがいたら、俺はさっさと殺すし、その責任はとる。むちゃくちゃな考え方に聞こえるんですけど、この話のなかではこの考え方が、アメリカがアメリカたる根底というのを作ってるのがわかります。
     国家が決めるあらゆる法律っていうのは受け入れるが、守るとは限らないというふうに合理的無政府主義と説明しています。
     個人しか信じない。個人より大きいサイズの政府や国家はすべて不安的な存在として頼らない、というふうに語られています。これを言い換えると、弱者への福祉を政府へ任せないということなんです。
     なんで政府なんていう個人より大きいものに弱者への福祉という大事なものをまかせるのか、そんなもの自分の財布から出せばいいじゃないか。大きな政府による福祉という考え方は、みんなが自分の財布からちょっとずつお金を出してその使い方を政府が決めることなんですけど、合理的無政府主義者、リバタリアンっていうのはその大きな政府が決定していることをまるで信用しないんですね。
     大きな政府が決めてる、みんなから集めているお金っていうのは影響力がでかいかもしれないけど、それより小さくてもいいから、自分は弱者に福祉しようと思ったらそいつに直に渡すよ。たとえば赤十字に寄付したりするかもしれないけど、国家に税金を取られて、その税金が福祉に使われるなんて、まっぴらというふうに考える。
     リバタリアンっていうのは、納税とか兵役を拒否してるんです。ものすごい極端な考え方です。

    (中略)

     リバタリアンっていうのは、ウィキペディアによると、絶対自由主義というふうに翻訳されています。リバタリアンの項目を読むと、リバタリアンは個人の完全な自治を標榜し、究極的には国家や政府の廃止を理想とする。
     すごいですね、国家や政府の廃止ですよ。
     また自立の倫理を重んじ、つまり自分の生き方、自分の道徳を自分で決める、献身や軍務の強制というのは肉体や精神の搾取であり、奴隷と同じであると唱え、徴兵制と福祉国家には強く反対する。なお、暴力・詐欺・侵害などが起こった時、それを起こしたものに強制力の行使には反対している。つまり、私刑とかリンチはありだっていうふうに言ってるんです。
     同じ自由っていう言葉をベースにした政治思想でも、リバタリアンとリベラルはまったく違います。リベラルは弱者への福祉が基本であって、大きな政府を望むんですね。金持ちや政府からいっぱい税金を取り立てて、それを弱者に配分しようとするのがリベラル思想。
     今の日本ではおもしろいことに、右翼も左翼もみんな大きな政府っていうのを望んでるんです。たとえば安倍政権っていうのは、保守系大国主義であって、その主張は昭和の右翼とそんな変わらないんです。違うのは景気対策とか、軍備拡大とか、外交重視ってことなんです。
     これらは国家の力が大きいことを目指してます。リバタリアン思想とまったく逆で、じつは左翼と同じなんです。左翼と同じく、国を大きくして政府を大きくする。ただその使い道の、路線対立があるだけなので、安倍政権、今の保守勢力と革新勢力との政策論争がうまくかみ合わないのは、ほとんどどっちも大きい国思想だからですね。
     おもに今の保守勢力っていうのは宣伝の上手さもあって、国民に、ポピュリズムにはすごく合致してる。

     冒頭で言った、なぜニコ生で政治を語ると炎上するのか。これポピュリズム問題だからです。今の安倍政権と流しで言っちゃいましたけど、ポピュリズムに安易に合致してる、まったくクリエイティブがない、なのでクリエイターから批判が多いんです。
     国民感情にはすごく合致してる。なので中国とか韓国がけしからんことを言ったりやったりして、これはかなわんと思ってる、当たり前の国民感情にすごく似てるので、一見して市民感情と同じ考え方の政府に一見見えるんですけど、それは違うと僕は思います。
     これは国民感情にすごく近い考えなんですね。それを批判すべき左翼も大国主義。金持ちや大企業から金をとるという考えとかが違うだけですね。
     でも、それを福祉や教育に大きく厚くはりたいというふうに言うんですね。福祉を増やして欲しがって、なおかつ自分たち以外のうまくやってるやつに罰則として金をガバッととって欲しいという、嫉妬心で考える人が一番アピールするものですね。今の左翼政権って言ってもいいですし、非主流、野党政権もどっちもポピュリズム政権なんですね。

     それに対してリバタリアンっていうのは、まあなかなか説明するのが難しいと言いましたが、成熟してないんです。
     リバタリアンにも色んな段階があります。
     軟派と硬派って言ってるんですけど、軟派なリバタリアンの代表格はホリエモンですね。軟派なリバタリアンは、国家や組織に縛られず、裏をかいて個人が自由に生きることを目指す。つまりできるだけルールとかが及ばないところを見つけて、そこの中で自由に生きようという消極的なリバタリアンの代表がホリエモンだと思っています。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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