岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/30

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/10/22配信「2049公開記念!『ブレードランナー』は、35年前の『シン・ゴジラ』だった?!」の内容をご紹介します。
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2017/10/22の内容一覧

電気羊から離れていった『ブレードランナー』

 80年の4月から、リドリー・スコットとファンチャーは、共同で脚本を書き始めます。結局、12月まで、8か月かけてやりました。
 ここで、映画全体の世界観は、リドリー・スコットがダン・オバノンから教えてもらった『ヘビーメタル』というバンドデシネ雑誌のイメージで行こうということに決まります。
 ところが、リドリー・スコットは、監督になってから、ガンガン、手を加えはじめます。

 リドリー・スコットは、「とりあえず、警官の下請けとか、警官というのは、あまりにもありきたりな設定だ。もっと格好いい職業はないか?」ということで、別の言葉を探します。……まあ、これも、『ブレードランナー』について書いているどの本にも載ってる話なんですけど。
 そこで、ウィリアム・バロウズの『ブレードランナー』という小説のタイトルを気に入って、ここから「ブレードランナー」を取ることに決めるんですけども。調べてみたら、他にも『ブレードランナー』というタイトルの本があったんですね。アラン・E・ナースという人が書いているSF小説なんですけども。もう一冊の『ブレードランナー』という名の本は、どの雑誌でも紹介されてないんですよね(笑)。

(パネルを見せる。ウィリアム・バロウズ、アラン・E・ナース、それぞれの『ブレードランナー』の表紙の画像)

 ウィリアム・バロウズの本の表紙はそこそこ格好いいんですけど。アラン・E・ナースの方は……(笑)。
 このアラン・E・ナースの小説っていうのも、実はすごい変な話で。これね未来の医者の話なんですね。未来では医者が少なくなってきて、医者を患者のもとへ運送する役が必要になった。「医者を運ぶ時に、同時に手術道具のメス、ブレード、刃も運ばなければいけない」ということでブレードランナーと呼ばれるという話なんですけど。まあ、そんな小説があったんですよ。すごい表紙ですよね。
 この両方から、タイトルの権利を、それぞれ5000ドル、今のお金に換算すると50万円、当時のハリウッドでいうと100万円くらいの金額で買って、クリアしました。

 ここまでの流れをまとめると。
 まず、原作のタイトルは、もともと『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』だったんですよ。
 でも、これを映画化しようと考えた当初のファンチャーは、これをこのまま使うのは長すぎるから、次に『アンドロイド(仮)』というタイトルにしてたんですね。
 だけど、このタイトルでは、出資者からの評判がよくない。なにより、「アンドロイド」って言うと、みんな機械で出来たロボットみたいなのを考えてしまう。なので、さらにその次の案として、『デンジャラスデイズ(仮)』にしたんですよ。
 で、そこからさらに、バロウズの小説から取った『ブレードランナー』というタイトルになったんですけど。

 この、ブレードランナーというタイトルについても、リドリー・スコットはまだ気に入らなくて、途中で、「『ゴッサムシティ』という名前にしたい」と言い出すんですね。『バットマン』シリーズの舞台である、犯罪の巣窟・ゴッサムシティですね。
 だけど、バットマンシリーズの原作者のボブ・ケインから、「絶対にこの名前は貸さない。ゴッサムシティというのはバッド・マンのものだ!」というふうに断わられた。
 なので、リドリー・スコットは、しぶしぶブレードランナーに戻したんですけど。
 でも、当時のインタビューでは、リドリー・スコットは、「俺はまだ諦めていない。ゴッサムシティというタイトルにできるかもしれない。とにかく、ブレードランナーというタイトルは、あんまり気に入ってない」って言ってて、変える気満々だったんですよね(笑)。

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