岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/01/23

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2015/09/13配信「『めだかボックス』をみた僕が西尾維新の『物語』シリーズを想像で語る」の内容をご紹介します。
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2015/09/13の内容一覧

イワシ型のネットテロリズム

 アメリカはアメリカで銃器を手放せない理由がある。日本は日本で、ネットを手放せない理由というのがある。
 その結果、両者ともそれぞれの武装に応じたテロが起こりやすい社会になってる。その社会はもうこういうもんだと思って、お互いにそれを前提に諦めて社会っていうのを作るしかない。これが落としどころです。
 その結果、僕らの社会というのは、銃器テロの場合は信念とかがあって、直接人を傷つけるものですから、社会性があるテロ、思想性があるテロっていうのが起こりやすい。
 ところがネットテロの場合、社会性とか思想性ってあまり関係ないんですね。だからサイバーテロ部隊っていうのが、対処チームが対処しにくいのはそこだと思う。

 僕はネットテロの本質というのは「イワシ化」だと思う。イワシ化っていうのは僕自身が、内田樹先生と対談した時に出した言葉なんですけど。
 現代の僕たち自身の社会の構造っていうのは、どこにも中心がない。それはイワシがぐるぐる群れているのと同じで、群れてる中心に支持してるイワシがいるわけでない。
 群れがいきなり別れる時も、別れる原因があるわけではなくて、ひたすらぐるぐるぐるぐる回っている。
 でも一生懸命回っているイワシは回っていることに意味があるに違いないと思っていて、より内側へ内側へ行こうとするんだけど、それが一瞬別れてしまったら、なんでなのかわからなくなってしまう。
 それと同じで、ネット社会というのは自分たちが一生懸命何かやってる、たとえばツイートでもこのツイート拡散お願いしますってやってるときっていうのは、しなきゃいけないってそのとき思ってるんですけど、あとで思い返すと、そのときなぜしてたのかわからない。
 いちおう思想的に説明できるんでしょうけど、それよりは今これをしなきゃいけない、今こいつを叩くのが正しいとか、今この人を助けるのが正しいとかイワシ的な心理に追い込まれてる。
 集団心理でもなんでもないんですね。何かネットの中で大きな流れがあったら、その中に乗って早く動かないとダメなんじゃないのかというのが僕の考えるイワシ化なんですけども。
 これがイワシ的な、ネット時代のネットテロリズムの本質なんですよ。
 
 銃器テロリズムっていうのは思想があったり、犯罪があったりするんですけど、イワシ型のネットテロリズムっていうのは、中心がなく思想性がなく、その時にあった大きな盛り上がりとか、平たい言葉でいえばノリですね。ノリが中心であって。
 なので主犯もいなければ責任をとる人もいないっていう、不思議な構造になっています。なので、僕たち自身がイワシ化する状態にあるので、どうしてもネットを深く使っているとテロリスト予備軍になるのか、何かの運動のサポーターになるのか、どっちかになりがちなんですね。だから今回の佐野さんのパクリ疑惑って、朝日新聞の従軍慰安婦報道ってあったじゃないですか。
 朝日新聞が従軍慰安婦はいた、みたいな記事をいっぱい載せて、結局それは日本の国益におおいに反したんですけど。朝日新聞は朝日新聞でそれをやれば部数増になる、部数が増えるというのと、同時に社会正義にも燃えてたんですね。
 あの時代はとにかく疑いがある程度のことでも、昔日本がやっていた悪いことは徹底的に膿を出していこう、もしそれが違うっていう意見があったとしても、いや、そんなことはない、あの当時の日本人はそこまでやったにちがいない、というような、もうほとんど、今は自虐史観という言葉があるんですけど、この時はどちらかっていうと、過去あったことをすべてさらけ出して、だって戦後すぐに流行った言葉が「一億総懺悔」だったんです。一億の国民がみんな全員で懺悔しよう、すごいですよね、「進め一億火の玉だ」と言ってた朝日新聞が、二ヶ月後に一億総懺悔っていうのを出したくらいですから。
 そのくらいメンタリティというのは変わっちゃったんですね。

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