岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/03/07
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/02/18配信「シャーデンフロイデの謎とサイコパスのススメ!」の内容をご紹介します。
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2018/02/18の内容一覧
- 本日のお品書き
- シャーデン・フロイデとは何か?
- オマキザルを使った不公平実験
- サルは目の前の結果だけで怒る
- サルはズルいものが罰されても分からない
- レイク・ウォビゴン効果「うらやましい」を認めない
- 意地悪なオランダの心理実験の結果
- シャーデン・フロイデの仕組み
- オキシトシンが起こす脳内現象
- サンクションへの欲望 ざまあみろの心理学
- 人を見下げる喜び
- 高校生を対象にした恐怖の心理実験『THE WAVE』
- サードウェイブとミルグラム実験「「善き人」はもっとも残酷」
- 日本では、不安になりやすい人の方が生き残りやすかった?「SS型仮説」
- オキシトシンのダークサイドを明らかにした「サードウェイブ実験」
- 優しく立派な人ほど非人間的な命令に従うことを示した「ミルグラム実験」
- サンクションで得するもの
- オーバーロード仮説「君は人のために死ねるか?」
- 人間には4つの「性格基」がある
- まとめ サイコパスのすすめ
サードウェイブとミルグラム実験「「善き人」はもっとも残酷」
ムザファー・シェリフっていうトルコ系アメリカ人の心理学者がいます。あまり知られてはいない人なんですけども、この人はいくつか面白い実験をしました。
その1つが「泥棒洞窟実験」と呼ばれる実験です。
この「泥棒洞窟」っていう言葉には、まあ、大した意味はないんですよ。単に、泥棒洞窟という名前の子供に人気なキャンプ場で行われたからそう呼ばれているだけなんですね。昔、泥棒たちが隠れ家にしていたという伝説のある洞窟なんですけど。
シェリフ達は、そこでサマーキャンプをやってワイワイ楽しんでいる子供たちを対象に、ある実験を行いました。
どんな実験かというと、まず、ある子供達をグループとしてまとめて、共同生活をさせました。これを「グループA」と仮に呼びましょう。
グループAには、ハイキングなどの体験をさせて仲間意識を高めていきます。さらに、1週間が経った後、「実は、近くに「グループB」という別の少年達がいる」ということを教えます。そして、これを教えてから1週間後に、グループAとグループBの綱引きの対抗戦をさせました。
すると、どうなったのかというと、このグループAとグループBは、誰に言われたわけでもないのに、お互いにものすごい敵対心を抱いて、もう、手の皮から血が出るほど綱引きをやったんです。おまけに、綱引きの最中にも、相手に石を投げたり、残飯をぶつけたり、ひどい罵声の言葉を浴びせたり、妨害工作をやりまくりました。
この後に、「これからキャンプが解散した後、友達にするんだったら、今のグループがいいか、相手のグループのメンバーがいいか?」とを問うと、もちろん、ほとんどすべての子供達が「自分たちのグループがいい!」って叫び出すように答えたんですね。
ほんの2週間あまりで、それくらい自分たちのグループへの忠誠心というのが上がったんです。これはなぜかというと、グループBという存在があると知らされた瞬間から、敵意が高まり、それと同時に、団結心が上がったからなんですよ。
さて、このまま解散させたら、いくらなんでも子供達に悪影響があるので、この実験の最終段階は、いがみ合うそれぞれのグループの人間関係修復のために使われました。
そのために、「両グループ一緒に映画を見る」とか、「一緒に食事をする」とかの企画をしたんですね。ところが、一緒に映画を見ても、一緒に食事をしても、ご飯を投げあったり、映画を見るのを邪魔し合ったりして、逆に余計に仲が悪くなったんですよ。
そこで、最終的に心理学者たちは、2つのグループに共同作業をさせたわけですね。2つのグループで力を合わせなければ解決できないような、「キャンプに必要な飲料水のタンクの修理させる」とか、「ぬかるみにハマった食料運搬のトラックを全員の力を合わせて押して、ぬかるみから出す」というふうなことをやったんです。
すると、もう、みるみるうちに敵対心でいっぱいだった2つのグループの仲は良くなったんです。キャンプが終わる時に、AグループとBグループは、それぞれ別々のバスで帰ることになっていたんですけども、「あいつらと別のバスで帰るなんて嫌だー!」って、みんな泣き出して、別れ際にも「俺達は親友だ!」って抱き合うくらいの、まあ、大クライマックスを迎えたそうです。
この実験のポイントは、「AグループBグループという仕分けに、実は何の意味もないこと」なんですね。
集められた少年たちは、元々の住んでいる地方や生まれも違えば、人種も違う。まあ、心理実験としてわかりやすくするために、白人の子供だけが集められたんですけども。その中には、ドイツ系もいれば、オランダ系もいれば、イギリス系もいれば、イタリア系もいるんです。
この実験が行われた1960年代というのは、まだまだ白人間でも民族差別がいっぱいあった時代なんですよ。白人の男の子といえども、「イタリア人はああだ」とか、「ドイツ人はこうだ」と言い合う風潮はあったんです。
ところが、彼らをランダムに2つのグループに分けた瞬間に、それぞれが所属するグループへの忠誠心というのがすごく強く出てきてしまったんですね。
子供達は、勝手に自分たちの独自の旗や自分達が守るルールというのを作って、自分たちを縛りだした。そういうものを作ることによって、「自分たちは特別だ」と思うようになった。これによって結束が固まっていったんですね。
僕がこれを見て思うのは、「よさこい」とか「だんじり」とかって、こういう構造で出来てるってことなんですよ。
人間というのは、住んでいる場所ごとのちょっとした小さいサークルごとに分けることで、意味もなく、グループへの結束力というのを持つようになる。こういった側面を、良いように見ると、お祭りでお神輿を担いでいる集団みたいになるし、悪いように見ると、急に相手のことを悪し様に攻撃するような連中になる。
「人間には良い人と悪い人がいて、良い人はお神輿を担いで、悪い人はギャングになる」っていうわけじゃないんですよね。「ギャングになるヤツと、お神輿を担ぐヤツとは、まったく同じヤツらだ」というのが、この実験ではわかってくるわけです。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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