岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/04/04
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/03/18配信「『ルパン三世 カリオストロの城』最後の解説(後編)」の内容をご紹介します。
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2018/03/18の内容一覧
- 前説
- なぜカリオストロ伯爵はクラリスとの結婚と指輪を望んだのか?
- 伯爵の3つの目的を検証する
- 伯爵の目的その1「2つのカリオストロ家の統一」
- 伯爵の目的その2「秘められた財宝の正体とは?」
- カリオストロ家の年表
- 伯爵の目的その3「伯爵はクラリスを愛していたのか?」
- 岡田斗司夫の妄想を語るシリーズ
- 『作画汗まみれ』での作画監督 大塚康生の述懐
- 幻となった『カリオストロの城 完全版』を妄想してみる
- なぜルパンはクラリスを連れて行かなかったのか?
- 映画やアニメに絶大な影響を与えた『ストリート・オブ・ファイヤー』
- 「あなたの心です」という恥ずかしい台詞の意味は?
伯爵の目的その2「秘められた財宝の正体とは?」
大公家を滅ぼしたはずの伯爵は、なぜもう一度、両家を統一する必要があったのか?
その最もわかりやすい説明としては「ご先祖さまが残したという秘められた財宝を手に入れるため」でしょう。
その財宝の正体が何だったかは、伯爵自身にも最期までわからなかったんだけど、とりあえず「すごいお宝だ」ということだけは聞いていた。そして、そのお宝をゲットするには両家を統一しなければいけないから、伯爵はクラリスとの結婚を望んでいる、というわけですね。
じゃあ、その財宝とは何だったのか?
映画のラストを見たらおわかりの通り、カリオストロ伯爵すらも最後まで知らなかった宝の正体とは「ローマ遺跡」だったということになっています。
(中略)
ここで描かれるローマ遺跡は、ヨーロッパに残っている普通のローマ遺跡とはちょっと違うんですよ。何が違うかというと、柱のてっぺんとか建物の屋根などが金色なんです。
最初に結論を言っちゃうと、湖に沈んでいたこのローマの遺跡は、実は「黄金都市」だったんですよ。
ルパンは、それに気付かずに「ローマ人がこの地を追われる時、水門を築いて沈めたものを、あんたのご先祖様が密かに受け継いたんだ。まさに人類の宝ってヤツさ、俺のポケットには大きすぎらあ」なんて言うし、映画を見ていた僕らも、その言葉をすっかり信じちゃうんですけども。このシーンは、実在するローマ遺跡とは明らかに違うものとして描いてあるんです。
(中略)
これは、ローマ遺跡という隠れた宝を見つけるための鍵である、クラリスのはめている指輪です。
その一部分をクローズアップすると、ゴート文字で「光と影、再び1つとなりて蘇らん。1517年」という言葉が書いてありました。
ここで年号まで指定されているということは、「この1517年に何かがあったせいで、この遺跡を湖に埋めることにした」というわけですね。
では、その1517年に一体何があったのか?
さっきのルパンの説明に照らし合せると、「クラリスのご先祖様は、ローマ人が去っていった後の都市をよそ者の手から護るために1517年に湖に隠した」ということになるんですけど、それだと変なんですよ。
というのも、1517年というのは、実は「ルネッサンスの世紀」と呼ばれるような、ヨーロッパ中でギリシャ・ローマの文化の再評価が最も盛んだった時期なんです。
その150年前だったら、隠しておかなければ蛮族に襲われて破壊されただろうし、理由もわかる。
その50年後だったら、スペイン王のカール5世というヤツが「ローマ劫略」という宗教戦争を起こして、ローマの遺跡を壊しまくるというエゲツないことをやっていたので、隠さなければならないのもわかる。
でも、宮崎さんがわざわざ指定した、この1517年という時代は「ローマ遺跡というのは素晴らしいものだ!」と、しきりに言われていた時代なんですよ。そんな時期に、クラリスのご先祖様がローマ遺跡を隠す理由はまったくないんです。
もう一度、ローマ遺跡の絵に戻ります。
ここに描かれている建物は、屋根の上や柱の所々が金色に輝いています。なぜかというと、大理石の上に黄金を貼っているからですね。
これとよく似た光景が『天空の城ラピュタ』でも描かれています。ラピュタの中に兵隊がワーッと入って行く時に、興奮した兵隊たちが壁とか柱から金を剥がしていたシーンって覚えていますか? あれは、金を剥がしてたんですよ。
昔の神殿建築の金色の部分というのは、金色の塗料を塗っているのではなく、薄い金を貼っていたんです。だから、彼らは、ラピュタの壁面に貼り付けてあった金をバリバリ剥がして持ち去ろうとしたんです。あれは、石の上に純金が貼り付けてあったからこそのシーンなんですね。
このローマ遺跡も、それと同じように描いてあります。つまり、この金色の部分というのは、実際に本物の金が貼ってある状態なんです。
おそらく、上カリオストロ家というのは―――。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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