岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/08/09
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今日は岡田斗司夫のゼミ室通信をお届けします。
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今日はDMMオンラインサロン【岡田斗司夫ゼミ室通信】から、7/29公開 特別講義をお届けします。
トップは手間を惜しんじゃいけない
<今までのお話>
脱走から戻ったアムロは独房に入れられたままです。
カイやハヤトがブリッジに来て、ブライト・ミライ・セイラたちと話した日の夜。
寝ているリュウに、セイラから連絡が入ります。
カイ・シデンとハヤト・コバヤシ、ハワード・マクシミリアンの4人が脱走したと。「リュウ、追いかけて!」。
セイラさんに叩き起こされて、リュウさんは「全くどいつもこいつも勝手な真似しくさって。」とブリブリに怒りながら走って行きます。
ホワイト・ベースのハンガー(格納庫)に行き、車に乗る。
車をガーッと出そうとしている所に、ブライトが向こうから走って来て
「リュウ、頼む。」って言うんです。
いや、頼むって言うんだったら、お前が行けよ!って思うんですけど、ここがブライトさんの弱いところなんですよ。
(俺はどうせ人望がないから、行っても帰ってくれない。ここは人望あるリュウに行ってもらおう)
この発想がいけないんです。人望がなくても行ったほうがいいんです(笑)。
やっぱり20代30代40代の頃は、ついつい「そういうことは人望のある○○さんに行ってもらって」とか、考えちゃうんですよね。
でもトップの人間はそういう時に、手間を惜しんじゃいけない。
というか、言うことを聞いてくれないかもという怖さを抑えて、ちゃんと行かなきゃいけない。
でも、そんなこと、俺がわかったのも50過ぎてからだから(笑)。
この時のブライトを俺は責めるわけにいかないんですけどね。
(中略)
リュウが行った後、ブライトとミライが、ハンガーで本音を語りあうシーンが入ります。
「ハヤトもあれではっきりした奴だしな。」といブライト。
「あたし達、アムロのことをそんなに贔屓にしてたのかしら?」と訊くミライに、「みんながひとつ、考え落ちしてたのさ。」とブライトが答えます。
「考え落ち?」と聞き返すミライ。
「アムロがいない間、指揮者としての僕はひどく不安だったってこと。」と言うブライトに、「不安?」とミライがまた聞きかえします。
これは富野演出でよくやる手法ですね。
相手の言葉尻の同じ単語を繰り返すと言う、まるでカウンセラーみたいな聞き方です。
そうすることで、視聴者にとって、今、何の話をしているのかが、はっきりわかる。
「みんなが考え落ちをしてる。」っていうブライトにミライが、「考え落ち?」と聞き返す。「考え落ち」ってちょっと難しい言葉だから、ミライが聞き直すことで、視聴者の注意を引き、わかりやすくします。
「指揮者としての僕は、不安だった。」とブライト。
「不安?」とまた、ミライが聞き返す。
「君も星回りのいい女性だと思っている。しかしアムロだ。あいつがいなくなった時感じた不安というのは、これは絶大だ。一体何なんだろうな?」とブライトがようやっとここで本音を話します。
カイとかハヤトは、ブライトがアムロを贔屓したから不安になって出ていったわけです。
ところがそれが本当に不安の原因だっただろうか?。
それぞれが考えている自分の“表面的な”動機とは違って、その奥にもう1つ隠れている動機があるだろうと、ブライトは指摘してるんですね。
それが考え落ちです。
アムロがいなくなった時の不安が、ブライトにはとても大きかった。
だからブライトはアムロにキツくあたって独房に入れと言ったのです。
今、アムロに対して身びいきだと思っている奴ら、あの時アムロが逃げた時に怒った奴らも同じ。なぜそんなに怒ったのか、なぜそんなに身びいきだと思っているのかと言うと、アムロがいなかった時にすごく不安だったから。
人間として自分の弱さに気がつくという、すごい成長を今、実はブライトがしている。
そういう大事なシーンなんです。
ブライトはその不安をはっきり口に出して認めた。
そういう成長があったんですよ。
カイやハヤト、セイラもその不安を感じてるはずなのに、気づかないフリをしている。
だからこそ余計に、アムロに頼っているように見えるブライト、アムロを贔屓にしているブライトを認められないわけなのです。
アムロがいなかった時に感じた心の不安が、実はすごく大きいからこそ、そこでブライトに対して怒ったり、もうこの船の中でやっていけないというふうに、不満を口にして脱走したんです。
でもそれは、自分でも気が付かなかったことだから仕方ないな。
そう思って、ブライトは頭かいてるんですよ。
本当にね、すごい難しいセリフ、難しい人間関係をやろうとしているのです。
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